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ホステルを渡り歩いていた

海外のホステルに初めて泊まったのは、ニューヨークのクイーンズだった。それまでは単身で旅行するときも、ドミトリーではなく普通の個室に泊まっていた。しかしニューヨークは物価が高すぎて、ホテルに泊まる余裕がなかった。

初めて泊まったホステル。同室だったのは中国人、韓国人あたり。みんなこっちの大学生で、英語が堪能だ。休みを利用してニューヨークに遊びに来ているとのことだった。僕はその当時英語が全然話せなかったから、なんとなくで喋っていた。

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それからカナダへ移動して、住む家が決まるまでの数日をホステルで過ごした。当時30歳だったけれどユース(若者向け)ホステルに泊まった。ここでは同室になったキプロス人2人と室内で酒を飲んでいた。「室内へのアルコールの持ち込みはダメだったんじゃ…」と言うと「ルールなんてクソだ!」と言われた。二人ともアメリカへ留学しており、休み中の旅行にカナダへ来ていた。僕がなんのあても目的もなくカナダに来ていることを話すと「クレイジーだ」と言われた。

その後は各地を旅行するたびにホステルに滞在した。カナダ国内のケベック州、ヨーロッパ、オーストラリア、タイ、イスラエルなど。タイやインドには日本人宿と呼ばれる日本人旅行者ばかりが泊まるホステルがあったと思う(どこにでもあるのかな?)。僕はいまだに行ったことがない。日本人宿は基本的に、日本人旅行者に教わったりガイドブックを見て行くみたいだ。僕のようにbooking.comしか使ってない旅行者はなかなか行き当たらない。


ホステルのいいところ

便宜上ホステルと言っているが、呼び方は様々で一般的にはゲストハウスと言ったりもする。オーストラリアではバックパッカーズと呼ばれた。厳密な定義はそれぞれあるかもしれないけれど、要するに相部屋のこと。ここでは全部ホステルと呼ぶことにする。なんでわざわざ相部屋に泊まるのか。もちろんいいことがあるから。

コミュニケーションがとれる

ホステルのいいところとして、旅行者同士が気軽にコミュニケーションとれるというところがある。同室の旅行者に限らず、キッチンを共有したり食事のテーブルも共有するから、話しかけられることが多い。一緒に食事をしたり、外に飲みに行ったりすることもある。旅行者はアジア人もヨーロピアンもフランクな人が多い。

宿のスタッフはアルバイトだったり、旅行者が宿代の代わりにスタッフをやっていたりするから(オーストラリアではフリーアコモディションとかフリアコとか言った)、スタッフと話すことも多い。会話については、英語ができないとさすがにしんどいと思う。日本人同士で話すことも極稀にあったけど、僕が滞在したホステルには日本人がほとんどこなかった。

安い

他に、ホステルのいいところと言えばなんといっても値段が安いところ。北米やオーストラリア、北欧なんかは物価が高すぎて、むしろホステル以外泊まれない。1泊2泊だったらなんとかなるけれど、長期旅行中であれば1週間2週間泊まることはざらにある。

1泊1万円なら、6泊すれば6万円だ。ワンルームの家賃一ヶ月分かかる。これが貧乏旅行者にとっては死活問題となってくる。今まで一番安かったのはタイのホステルで、一泊650円。これは特別安いわけではない。タイにはもっと安いところがいくらでもある。ここだと30日、一ヶ月宿泊したところで2万円以内の出費におさまる。ワンルームの家賃の三分の一だ。

ホステルの嫌なところ

いいところがあれば当然嫌なところもある。天秤にかけてどちらを取るか。いいところに魅力を感じればホステルを選ぶ。これから挙げる嫌なところが耐えられなければ、ホステルに泊まることはないだろう。

汚い

ホステルの嫌なところは、なんと言っても汚いところ。シャワー、トイレは共同になる。同室の旅行者が汚いと、部屋も汚い。臭いと最悪な気分になる。逆に汚いのが平気な人だったら、むしろ快適かもしれない。というかそもそも潔癖の人は長期旅行や海外生活は無理です。日本が一番清潔。

先程挙げたタイのホステルは、室内にネズミが出た。オーストラリアのホステルでは、電子レンジにゴキブリがいた。そんなところはさすがに長居したくない。ホステルにも比較的きれいなところはあるから、ハズレに当たったらさっさと宿を変えるのが得策。

うるさい

もうひとつキツいのは、うるさいこと。単純に若者が多いからうるさいということもあるけれど、大勢の人間が一部屋で寝泊まりしていたら、中にはイビキをかくのもいるし夜帰ってくる人もいれば出ていく人もいる。騒ぐ人もいる。夜通し誰かが順番にトイレに行く。そのたびにドアが開く。繊細な人は寝れない。僕は寝れなかった。

ホステルに泊まるならせいぜい4人部屋ぐらいまで。僕は30人ぐらいが大部屋一室に寝泊まりする部屋に一週間泊まったことがある。刑務所のほうがマシだと思う。夜出入りできないように門限を設定しているところもある。

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年齢

何歳ぐらいまでだったらホステルを利用できるのか?こういう旅行スタイルは一般的に若者の特権だと思われがちだが、ときどき年配の人も見かける。50代、60代、日本人とも会ったことがある。ただやはり、圧倒的に少ない。宿泊先一箇所に、一人いるかどうか。大多数の旅行者は人種国籍問わず20代。僕は30代になってからしか利用していない。

この先利用することがあるかというと、一人で旅行することがないだろうから、あまり考えられない。お金がある人は、わざわざホステルに泊まったりしない。僕が見かけた50代60代の人は、好きでホステルに泊まっているか、節約のために泊まっているんじゃないかな。

快適だったホステル

そうは言っても、今まで泊まったところはけっこういいところが多かった。無難なのは世界中にある Hostels Internatinal(HIと略されている)。ユースホステルの会員証がなくても利用できる。

エルサレムで泊まった The Post というホステルが今のところベストかも知れない。受付の隣がバーカウンターになっていたり、夜は楽器の演奏をしていたり、スタッフはめちゃくちゃ気さくで親切だった。ラエリーはみんなそうなのかもしれない。施設も新しくきれいだった。部屋は普通。

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打って変わって、モントリオールの Auberge Bishop というホステルは古い教会を改築した建物で、全く違う意味で良かった。ここもたまたまスタッフが良く、泊まったのは2014年だけどいまだにInstagramでコメントをつけあったりしている。ここではケベックへ移住するためにフランス語を勉強している日本人と同室だった。

宿泊先と移動が旅行の醍醐味

若ければ、どこへ行ったってホステルに泊まりたい。単純に、知らない人間同士が男女も人種も混合で、同じ部屋で寝るという体験自体おもしろいと思わない?

ドゥブロヴニクへ行ったときは、同室のオージーに教えてもらって近くの山に登ったりした。旅の行き先も増える。サラエボに泊まったときは、同室のフランス人の女の子とお互いの身の上を朝まで話し込んだ。初対面で話し相手もできる。ニンビンではいろいろおごってもらったし、そのままバイロンベイまで送ってくれた。旅の親切は、何らかの形で誰かに返さないといけないと思う。

どれも、普通のホテルに泊まっていればきっと体験できなかった。若くて英語ができれば、ホステルを楽しむハードルはぐっと下がる。あとは、多少タフな環境に慣れること。それもホステルに泊まっているうちに、ある程度平気になるかもしれない。

写真

写真は…うら寂しいものしかない。誰かと写真を撮るなんてことが全然なかったから…。

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ニューヨーク、クイーンズ:Q4 ホテル アンド ホステル

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カナダ、トロント:HI トロント ホステル

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ポーランド、ワルシャワ:ホステル ウィット

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ボスニア・ヘルツェゴビナ、サラエボ:ホステル スカンディック

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タイ、バンコク:レスト イン

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オーストラリア、パース:ザ シラリー

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オーストラリア、ニンビン:ニンビン ロックス YHA

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