初めての一人海外旅行(2024/10)
雑踏一人回です。今回は、初めての一人海外旅行について、振り返ってみたいと思います。
その前に、前回「音楽再生プレーヤーを振り返る」に頂いたコメントを読み上げます。音楽再生プレーヤーって言葉、再生とプレイが二重になっていますね。
こちらは、前回の最後に「何か思い出したことがあったらコメントいただけたら読みます」と言ったので、思い出を振り返ってもらったのだと思います。ラジオドラマをMDに録音っていうのは、まさにMDのカセット的な使い方ですね。深夜ラジオを録音したことは、僕もあったかもしれないです。ドラマではないけど。
MDデッキが搭載されいるバイオ、あったかも知れないです。その昔SONYのバイオシリーズというパソコンのブランドがあって、そこそこ流行りました。薄い紫の筐体で、統一されたデザイン。OSは普通にWindowsですが、当時iMac以降のパソコンでは一番成功したブランドではないかと思います。僕はカメラを内蔵した小型のノートパソコン VAIO C1 が欲しかったのを思い出しました。何に使いたかったんだろ、旅行とかに持っていきたかったのかな。
Ninjinkun は、ご自身の声日記で音楽再生プレーヤーについて振り返ってくれました。
iPodをたくさん持っていたようです。僕は初代iPodというかiPod Classicというか、ハードディスクのiPodは結局一度も持ったことがなかったです。若い頃は音楽たくさん聞いていたような気がする。音楽は若者の市場という印象があるけど、今もそうなんだろうか。30代の頃なんかは前から聞いていた音楽を聴くか、新しいのは流し聞きする程度で熱心に聞いていなかったような気もします。レコードを聞き始めるまでは、フィジカルメディアを買うことから長く離れていたし、ライブなどには基本行かないです。
それでは「初めての一人海外旅行」について話します。このテーマは、カオリさんの声日記「ほどほどのまいにち」の「West LAで初めての一人暮らし」回を聞いて、思いつきました。カオリさんの初めての一人暮らしは大学生の時で、アメリカのロサンゼルスということで、一人暮らし回だけど異国情緒をふんだんに感じる話でした。これを聞いて僕は、初めて一人暮らしをしたときよりも、どちらかというと初めて一人で海外に行ったときのことを思い出しました。
僕の初めての一人海外旅行は、2010年、27歳の頃です。当時僕は会社員で、名古屋に住んでいました。ゴールデンウィークにやることがなく、どういう経緯だったか忘れたけど、ふと海外に行ってみようと思いました。そのときはまだパスポートを持っておらず、渡航の2週間前に取得したのを覚えています。
初めての一人海外は、とりあえず旅行会社HISに申し込みました。担当の人と電話とメールでやり取りしながら、行き先やプランを決めました。休日の日程や予算を考えて、お手頃だったタイ・バンコク2泊、ベトナム・ホーチミン2泊、飛行機チケットとホテルと送迎だけのプランにしました。しかし渡航直前になってタイでクーデターが起こり、治安が悪く渡航を推奨できないということで、急遽ベトナム・ホーチミンの4泊に変更となりました。2010年のタイのクーデターは反政府デモに発展し、非常事態宣言が出て軍隊が発砲し、2000人以上の死傷者が出たそうです。
さて、旅行の当日です。一人で空港へ行き、一人で飛行機に乗るのも初めてでした。当時はまだLCCがなく、青いベトナム航空の飛行機に乗りました。熱帯の東南アジアの気候に合わせて半ズボンで行ったため、機内がとても寒かったのを覚えています。これ以降、飛行機に乗るときは薄着に気をつけるようになりました。
ホーチミンの空港に着くと、ツアー会社の送迎バスに乗り込み市街地へ向かいます。バスの窓から外を見たとき、あまりにも日本と違うため、そこで暮らす人々の生活が想像できず、映画のセットか作り物のように見えました。でも道を歩く人や、家の中にも人がいて、建物はどこまでも続いています。徐々に「ここはテーマパークのような擬似的な遊び場ではなく、人が住んでいる本物の街なんだ」という実感が湧いてきました。この感覚は、今でも海外に行くと起こります。空港から街へ向かう道中の、最初に見る異国の景色に「海外へ来たぞ」という強い実感を得ます。ホーチミンに着くまでの風景は、とにかく道路がボコボコだったり、建物がところどころボロボロだったのが印象的でした。
旅行プランを決めるとき、観光地のど真ん中であるドンコイ通りのすぐ裏にあるホテルを選んでおり、送迎バスはそこに到着しました。パックツアーになっているので、ガイドの人がチェックインの手続きをしてくれたのか忘れましたけど、部屋に通されると窓のない部屋でした。一泊5千円ぐらいの個室です。
部屋に入ってまず、ベッドの上に鞄の中身を広げました。旅行に持っていったのは、カメラ、地球の歩き方、着替え、現金、iPhone3GS、それぐらいだったと思います。ホテルにWi-Fiがあったかどうかは覚えてませんが、当時のiPhoneはSIMロックがかかっていて海外で使えるようなものではなく、ポケットWi-FiもなくGoogleマップもなく、地球の歩き方に付いている地図を破って印をつけ、外に持ち歩いていました。
ガイドブックをそのまま持ち歩いて開いていたら、すぐ観光客とわかって狙われる!と思ったのです。初めての一人海外はかなりビビっていました。他にもカメラを盗られないようにシャツの中に入れたり、目線が合わないようにサングラスを掛けたり、ただ道を歩くだけでもかなり注意していました。だいたいの日本人は、最初「海外は危険だ」「スリやひったくりに遭う」「脅されたり詐欺に遭う」という海外危険情報が刷り込まれていると思います。僕もそういう海外初心者の挙動をしていました。
ベトナムも最近はカードや電子マネーが流通しているのかわかりませんけど、2010年当時はまだ現金が当たり前です。行ってまずやることは、現金の両替でした。ガイドブックに「古い札は店で受け取ってもらえないから、両替のときに交換してもらうように」という注意書きがあり、両替所の人にそのようなことをカタコトの英語で言うと、「よく知ってるね」みたいな反応をされてきれいな札と交換してくれました。おそらく、旅行初心者がよくやりがちなんだと思います。初めてのお使いで、店の人に褒められた子供の気分でした。
当時使っていたガイドブックを開いてみると、安心できるタクシー会社の欄に丸がついていました。ホーチミン市内はけっこう街歩きをしましたが、戦争証跡博物館に行くときに流しのタクシーに乗りました。向こうでは一般的なバイクタクシーの客引きを何度も受けましたが、初心者にはハードルが高すぎて一度も乗りませんでした。今はUberなどの配車アプリが使える国が多く、タクシーを捕まえるのも会話のやりとりも値段交渉もいらないため、かなり便利になりました。
旅行中は地図を片手に、とにかく街の中を歩きまくりました。博物館に行ったりクチトンネルツアーやメコン川クルーズにも行ったんですが、街歩きをしている時間が一番長かったです。外国の街歩きは、なんというかRPGのゲーム内で世界を徘徊するような感覚があります。ドラクエやファイナルファンタジーでも、訪れた街の中を歩き回り、隠し通路を探したり、通行人と話したり買い物をしたり、新しい街をうろうろ歩き回ることを楽しんでいました。
ホーチミンの街は、ホテル近辺をとにかく端から端まで歩き、ベトナム戦争中は世界中のジャーナリストが宿泊したマジェスティックホテルや、サイゴン川沿い、中心にあるタオダン公園、テト攻勢の舞台になった元アメリカ大使館、バックパッカーが集まるファングラーオ通り、ブイビエン通り、デタム通りなど、今日はこのあたり、今日はこのあたりと目星をつけて歩き回りました。途中で昼間から開いているBARに入ってビールを飲んだり、ガイドブックに載っているようなフォーの店に入ってフォーを食べたりしつつ、写真を撮っている日本人の観光客に声をかけ、写真を手伝ったりもしました。
僕の海外旅行のスタイルは、この初回でだいたい確立したように思います。初めての一人海外はベトナム、ホーチミンでしたが、それ以降も海外旅行に出かけては、とにかく街の中を歩き回るスタイルで旅行をしています。モロッコとか良かったです。モロッコはその数年後2016年に行きましたが、マラケシュのメディナでは道に迷いすぎて頭がこんがらがりました。旅先では迷うのもいい体験です。ジャマ・エル・フナ広場は毎日お祭り騒ぎでした。