ロッキー2

ロッキー2を見ていた。見たのはいつぶりだろう。子供の頃に何度も見た。映画的に名作と呼ばれるロッキー1よりも、子供だった僕はとりわけこの2が好きで、ロッキーが勝利する2のほうがわかりやすかった。今見ても、ありとあらゆるシーンを覚えていた。1のラストの試合後、入院から退院して、病院の前で全身ギプスの車イスの男性にサインをするシーン、雪が降る動物園の、虎の前でプロポーズするシーン、職安で「座ってやる仕事がしたい」と言うシーン、ポーリーが働いていた精肉工場に雇われるが、すぐに解雇されるシーン、家の地下でサンドバッグを叩くシーン、全部覚えている。

このサンドバッグのある自宅に憧れて、保育園を卒園するときにサンドバッグを買ってもらった。おもちゃではなく、スポーツ用品店で本物のサンドバッグとグローブ。当時はマンションに住んでいたから、サンドバッグを吊る場所なんてなかった。使うときは床に置いて、父親が支えていた。僕は4歳から空手をやっており、そのサンドバッグを叩いて、蹴って、転がしていた。後に、中学生の頃一戸建てに引っ越してからは、ガレージに念願のサンドバッグを吊るした。

改めて見返して、ロッキーは周りからすごくバカにされる。コーチのミッキーからも、街のゴロツキと言われる。CMの仕事を受けたときは「字も読めないのか!」と罵られる。仕事を探しても「中卒で資格もなく、前科のある方は…」と片っ端から断れられる。ロッキーの普段の姿は、アメリカにおけるイタリア移民の家系の貧困と、社会から蔑まされる態度と、無学で無教養だけど、悪人にはなりきれない人間の日常を象徴している。

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