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野良猫を見る目

猫と一緒に生活をするようになり、猫を見る目が変わった。もともとは、猫に対してなんとも思っていなかった。幼い頃から特に好きでも嫌いでもなく、強いて言えば犬が怖かった。そして猫アレルギーを持っている。周りに猫を飼う人はいなかった。

結婚してから初めて、猫と暮らすようになった。そのことは以前に触れた。

飼っている猫について、今は家族の一員と見ている。でも猫ならなんでも好きといった、いわゆる猫好きではない。それでも猫と暮らすようになり、多少なりとも猫の生態を知り、猫を見かけるたびに思わず目で追うようになった。今何をしているのだろう?と。

猫の習性というものがあり、それはあまり個体差がない。だから目で追っていると、何をしようとしているかわかることがある。人の家の猫でもそうだし、道端の猫もそうだ。つまり猫と暮らすようになってから、今まで全く関心を払うことのなかった野良猫に、意識が向くようになった。

野良猫は、野生動物とは言い難い。どちらかというとホームレスに近いのだろうか。野良猫を見かけると、どこで寝て、どこで食事を得て、どういう生活をしているのかに思いを馳せる。自分の家で暮らす猫たちは、生活圏は非常に狭いものの、食事と温度管理の効いた寝床が安定している。野良猫はその反対だ。あの日見かけた近所の野良猫は、自由の代わりにこの冬の季節をどう乗り越えているのだろう?

動物を飼うということについて、あまり考えたことがなかった。ペットと共生するとは、どういうことなのだろう。ポーランド人は世帯の9割ぐらいが動物を飼っていると聞いたことがある。ドイツ人も犬を飼うイメージがある。なんらかの見解があるに違いない。しかし、ペットとの共生についてすごく興味があるわけではない。わざわざ調べたり本を読んだりする気にはなれない。ときどき気になる程度。うちの猫や、道端の猫のことをどう見ればいいのか。

都市部において、野良で暮らす動物は珍しい。犬は駆除される。鳥はそもそも飼われることが少ない。飼われるか、野良か、どちらかじゃないだろうか。猫のように、野良がいたり飼われていたり、その中間があったりするのは珍しい気がする。だからふと、どちらがいいのか?どのような状態が理想なのか?と思ったりする。

動物を飼うという行為は、人間の勝手でしかない。同時に、動物のすみかを追いやったのも人間の勝手だ。猫をどう扱うべきか、なんて問に正解はないのだろう。でも野良猫をみるたびに「こいつはどう過ごしているのか?」ということが頭をよぎる。自宅にいる猫と比べてしまう。餓えたり寒さに苦しんだりすることがないようにと、無責任にも願ってしまう。

自分が世話をすることは出来ない。それが良いのかどうかもわからない。でも気にかかる。どちらかと言えば野良猫のような暮らしをしていた自分と、重ねてしまうのだろう。

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