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「失われた時を求めて」と「プルーストを読む生活」を読む 104

失われた時を求めて

11巻、313ページまで。ヴェルデュラン夫人は、シャルリュス氏に面目を潰された仕返しをするため、シャルリュス氏の恋人モレルに嘘をつきまくる。

夫人の嘘は計算ずくでもなく、故意でもないのかもしれない。もしかすると夫人の口からは、一種の感情的な論理のせいで、あるいはもっと原初的な、自分の生活を愉快にして幸福を維持するために少数精鋭のなかに「波風を立てる」ように仕向ける一種の反射神経のせいで、それが真実かどうかを検証する間もなく、厳密に正確とは言えずとも効果はてきめんのあのような断定がいわば衝動的に出てきたのかもしれない。
11巻 P287

こんな人いたら本当にやっかいだ。人を仲違いさせるためだけの、本当にどうでもいい嘘なんだけど、ただの愉快犯というか害悪でしかない。「モレルを悪く言っているシャルリュス氏」というヴェルデュラン夫人の嘘を信じ切ったモレルは、音楽会を大成功に導き陽気に近づいてきたシャルリュス氏につらく当たる。

動揺するシャルリュス氏。あまりのショックに、その描かれ方がコメディータッチになっている。「ニンフたちの恐怖」のポーズなんて、両手を上げてあたふたふざけている。その場に居合わせたナポリ王妃という人が、シャルリュス氏をかばい手を引いて退散する。シャルリュス氏はそれから病気になり、人が変わったように穏やかになり、それでもモレルを求めていた。「失われた時を求めて」のかなり重要な人物であるシャルリュス氏が、よもやここで退陣かと思った。後に元の様子で復活するらしい。主人公もシャルリュス氏には同情している。

主人公は、自宅で待っているはずのアルベルチーヌが気になり、何度も帰ろうとするがそのたびにブリショに呼び止められ、というやりとりを延々と繰り返している。しかしまあ、ヴェルデュラン家での音楽会のくだりはもうさすがに終わりだろう。11巻も半分を過ぎ、そろそろ舞台が変わるのではないか。社交パートを楽しめないと、この小説は本当に読めない。

プルーストを読む生活

550ページまで。久しぶりに「失われた時を求めて」の引用が出てきた。ヴァントゥイユの曲のくだり。こんな内容あったっけ?追い抜かれているかもしれない。

著者は夏風邪をひいたそうだ。いつも体調悪そうにしているな。しかし、この日記を書き始めてから風邪をひいたのは初めてだそうだ。いつも体調悪そうなのは気のせいだったのかな。

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