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俺たちのfacebook(2024/9)

モリチンさんの晴耕雨読 吟 でもfacebookの話をされていて、ちょうど僕もfacebookについて思い返していたところでした。僕はmixiよりもTwitterよりもfacebookをよく利用したと思う。どうだろ、mixiも大学生のときはよく使ったかな。

mixiの話になってしまうけど、mixiの画期的だったところは、まだwebサービスが一般的じゃなかった時代に、パソコンで使うwebサービスが一般人の間で普及していたところだと思います。スマートフォン以前でした。どうなんだろ、なんだかんだでiモードとかで使ってる人口が多かったんだろうか。とにかくmixiはネットウォッチャーのためのサービスではなく、そこいらにいる普通の人が使っていました。そういうwebサービスはそれまであまりなかったと思う。webには引きこもりとパソコンオタクしかいなかったから。

さて、facebookです。俺たちのfacebookと銘打ったのは、まさにfacebookと同時代に自分たちがSNSというものを知り、親しんでいったからでした。開発者のマーク・ザッカーバーグは僕の1個上で、すごく広い枠でくくれば同じミレニアル世代です。今でも有名人で、ときどき名前は聞く人ですが、当時(facebook当時というと2010年頃)は時の人でした。大学在学中に立ち上げたサービスが、全世界でユーザー数6億人にまで膨れ上がり、マーク・ザッカーバーグとfacebookについて本が何冊も書かれ、デヴィット・フィンチャー監督作の映画にまでなった。デヴィット・フィンチャーは「ファイトクラブ」とか「ドラゴン・タトゥーの女」の監督。

映画「ソーシャル・ネットワーク」について。映画の内容は事実と異なる部分が多いと、公開時から話題になっていました。その後ニュース等で見かけるザッカーバーグ本人の映像も、映画の俳優が演じた印象とはやや違った。まず本物は声が低い。映画のザッカーバーグは声が高かった。総合的に見て、実物のザッカーバーグのほうがまともそうでした。

映画「ソーシャル・ネットワーク」は、僕は結構好きでした。一人のハッカーというかコンピューターオタクが、世界を繋げるサービスを作った過程をエンターテインメントとして劇的に描いています。今見ても伝記的に面白がれるんじゃないかと思います。前に見たのはいつだろっていうぐらい、長らく見てません。今見たらどう感じるか、見返してみたい気持ちもあります。映画「ソーシャル・ネットワーク」は2010年公開の映画です。もう14年前です。

そりゃーfacebookも古くなる。あれだけ親しんでいたfacebookも、今はメッセンジャーを確認するときぐらいしか開きません。アプリを立ち上げることは滅多になくなり、僕のiPhoneのトップ画面にはアイコンが並んでいません。今探したら、3ページ目にあった。一応残ってます。削除はしていなかった。なぜ使わなくなったかというと、使いにくくなったとか人が離れていったとか、いろいろ理由はあるでしょう。でもそういうの全部ひっくるめて「古くなった」の一言で片付けられると思います。14年も前のサービスだから。

僕がどういう使い方をしていたか、振り返ってみます。facebookは自分にとってある意味初めてのSNSでした。mixiはその前に使っていたけど、実名じゃなかったし、メールアドレスや名刺代わりに人とつながるようなサービスは、facebookが初めてでした。むしろ、最初で最後かもしれない。facebook以降も一応SNSと言われたりするサービスは多々あるけど、TwitterやInstagram、ましてやLINEがsnsなわけない。facebookはwebを介して等身大のリアルな人間とつながるサービスだったと思います。それって今も他にないんじゃないかな。

だからFacebook上の友達登録は、実際に対面で会ったことがある人ばかりでした。これが後にも先にも無いように思います。Twitter、Instagramのフォロー相手とどれだけ会ったことがあるでしょうか。中には実際の友達もいるでしょうけど、facebook上の友達は9割以上が実際に会った人で、その場で対面でお互いを友達登録していました。この繋がり方が、自分にとってのSNSでした。

Facebookの最盛期はとにかくユーザーが多かったため、知り合う人がだいたい誰でもアカウントを持っていて、友達登録をすればオンラインでつながることができる、というのも大きな特徴でした。これは国内だけでなく世界規模の話で、例えば旅行先で知り合った人、海外から来ている留学生や旅行者ともつながることができました。かつては一期一会だった外国人たちでしたが、facebook以降は互いに近況が知れて、連絡を取り合うことができるようになりました。会っていない間もお互いの様子がわかり、イイネやコメント程度のやりとりが続いたりして、再会のハードルも下がりました。facebookの最盛期には、調べてみるとアクティブユーザーが17億人でした。この規模でないと、なし得ないことだと思います。

他に、Facebookならではの使い方として、イベント機能がありました。友達登録しているユーザーが立ち上げたイベントが表示されたり、注目しているイベント、参加するイベントを知ることが出来ます。知り合いがいなくても近くで開催されるイベントを調べたり、自分でイベントページを作って告知して参加者を募集することもできます。これもユーザーが多いからこそ成り立っていた機能で、類似のサービスを作ったとしても、もともとイベントに興味がない多くの人には届かないでしょう。

イベント機能と一緒に使って便利だったのが、グループ機能でした。実質コミュニティ機能と言えます。facebookの友達登録は基本個人同士でつながるものでしたが、グループ機能で団体としてタイムラインを共有したり、写真を共有したり、グループ内だけで会話をしたり、報告、告知、イベント開催などができます。facebook全盛時は「SNSと言えばfacebook」というぐらい画一化していたため、グループでもイベントでもfacebookを介して多くの人、名前のある実在の人を集めることが出来ました。僕はコワーキングスペースでスタッフをやっていたときに、facebookのグループとイベントを頻繁に活用してたんですけど、今そういうのが機能する場が無いのは不便ですね。ないですよね、そんな場。facebookに代わるような。

ただ最近知ったんですが、実は一部の間ではいまだにfacebookグループがアクティブに機能していました。僕が最近家の近所の人に誘われて参加した、ライカのユーザーズクラブでは、毎日誰かの撮った写真がアップされています。mixiのグループも、一部のユーザーは今でもアクティブに使っているという噂を聞いたことがあります。きっと似たような感じだと思います。ユーザーはだいたいシニアが多く、若い人はいません。たとえサービスが古びてしまっても、そういうところでは今も根強く現役で活躍しています。

Facebookに限らず、過去に盛り上がっていたサービスはだいたい廃れていきました。Google検索はまともに機能しなくなり、EコマースとしてのAmazonは全然使わなくなりました。でもYouTube、Googleマップ、Androidは今も現役トップランナーで活躍しています。AmazonはAWSが基幹事業になり、プライムビデオもけっこう見ています。KindleやAudibleはそこまでハネてない印象です。facebookはメタに社名変更し、メタバース事業に力を入れてますがまだそんなにという感じでしょう。買収したInstagram、WhatsAppあたりは持ちこたえていると思います。facebookの夢は時代とともに潰え、もう復活することは無いと思いますが、ザッカーバーグとメタ社の今後は本当に陰ながら応援しています。


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