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寒い土地に暮らす

京都生まれの京都育ちであるため、ずっと暑い夏と寒い冬を過ごしてきた。この土地の気候は、それはそれでなかなか過酷だと思う。盆地であるため夏は湿度が高く、冬には雪が降り、年間を通して室内で過ごす時間も必然的に長くなる。気候の良い地域で暮らしたい。地中海沿いとかアメリカ西海岸とか憧れます。

どちらかというと、暑い気候のほうが得意だ。旅行するときはだいたい夏、暑い地域を選んでいた。4月5月、灼熱の東南アジア、タイ、ベトナム。8月、モンスーンを迎える酷暑のインド。年中暑いアフリカなど、暑さに苦しむことも多かったが、薄着で荷物が少なくて済むなど利点もある。何より日が長く、外で過ごしやすい。

寒い時期、寒い地域への旅行というと、オーロラのような寒い場所ならではの名所を見るか、ウィンタースポーツを楽しむか、もしくは温泉といった楽しみ方がある。それぞれ好きな人、楽しめる人はいいと思います。僕はなかなか寒いのが苦手で、鼻炎もひどくなるし、日照不足でセロトニンの生成もままならない。スポーツは全般的に苦手。寒い時期に寒い場所への旅行は、なるべく避けてきた。

ただ30歳から1年半ほど、カナダのトロントに住んでいた。極寒の地だ。-27℃まで体験した。みんなこういうスクショを撮る。

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最初は物珍しかったが、やがて寒い環境に慣れてくる。冬は-10℃以下の日々が1ヶ月2ヶ月続くなかで、毎日当たり前のように外出しなければならない。慣れてきたら慣れてきたで、だんだんこの寒さが嫌になってくる。3月頃になり、ようやく0℃を越える日が出てくる。そこでやっと、ずっと凝り固まっていた首の筋肉を緩め始める。

トロントは1年の半分が冬だった。春は4月と5月。夏は6月と7月。秋は8月と9月。そして長く厳しい冬が、10月11月12月1月2月3月と6ヶ月続く。10月の頭には4℃ぐらいまで下がり、3月に入っても雪が積もっている。

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3月のトロント。この日は-6℃

夏は短いけれど本当に過ごしやすく、街中がお祭り騒ぎになる。毎週末どこかでイベントが行われている。半裸で出歩いている人も多い。浮かれる。やがて寒くなってくると憂鬱になる。現地の人は慣れているから、寒い季節も楽しんでいる。こっちは夏が浮かれていた分、余計に鬱屈としてくる。

カナダはアメリカやオーストラリアに比べ、移住しやすいと言われていた。当時は日本人なら2年ほど大学に通い、就職して2年ほど働けば永住権が取得できると言われていた。僕も10%ぐらいはカナダに移住するつもりで、はるばる渡航してみた。結果残りの90%に従って断念した。

当時30歳だった僕が、いまさら海外の大学へ通い、ビザのために2年も勉強する意欲はなかった。学びたいこともやりたいこともない。モチベーションゼロの状態で2年勉強して、就職して、働くなんて!さらにそのために学費と生活費を500万ぐらい稼ぎ費やすとなると、想像しただけでストレスでぶっ倒れる。これは、ナシだ!移住案終了!

カナダという国そのものは、人は穏やかで社会制度も整っており、住みやすいと思う。ただ娯楽は少なく、はっきり言って退屈だ。そして年間半分を占める冬。毎年半年間は凍えてないといけない。ここにずっと住みたいかと考えたとき、答えはNO!だった。

日本以外に永住するなら、年間を通して適度に暖かい土地がいいです。寒い土地は、たまに訪れるのはいいけれど、住むのは厳しい。

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