爪のデザインの変遷
ジュエリーにおいて爪とは、石を石座に留める機能を持つだけでなく、デザインの重要な一要素です。 その爪のデザインにも歴史があります。
小さな爪にも歴史あり
下の2点の写真のようなリングをご覧になったことはありますか? これらはかなり違うデザインに見えますが、どちらも「立て爪」と呼ばれる爪のデザインです。上の爪は、戦後の1950年代に日本に登場した、「鬼爪」という別名もある立て爪です。 下の爪は、TiffanyⓇの創業者 チャールズ・ルイス・ティファニーが発表して以来、130年間世界で不動の人気を誇るデザインです。
東洋と西洋のセッティングの共通点と相違点
どちらにも共通しているのは、6本の長い爪がより多くの光を取り込むため、ダイヤモンド本来の輝きを引き出すということです。 しかし、流行の変化により、左の爪はもう殆ど作られていないと言って良いでしょう。 一方、下のデザインは上の鬼爪よりも小さな爪が石の輝きをより際立たせるだけでなく、高さが抑えられているため、着用中にうっかりリングをぶつけてしまう危険性も低く、実用的です。 そのため、現在ではすっかり定番となったこのティファニーⓇセッティングが主流で、左のようなデザインは中古品でしか見かけなくなりました。 こんなに小さな爪も、絶えずマイナーチェンジを繰り返しているのですね。
ジュエリーは記憶や想いを受け継ぐ器
ですが、個人的には、この「おばあちゃんの家で見た」ようなリングをアンティークとして楽しむのも良いものだと考えています。 ジュエリーには、世代を超えて人々の記憶や想いを受け継ぐ器という一面もあるのですから。