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海外在住者が考える ChatGPTは有人カウンセラーの代わりになれるのか?
初めての海外転居をしてから4ヶ月が経過しました。
日本語を話す人がいない、ニューヨークのカントリーサイドでの生活では、家族としか日本語を話せません。一歩外に出れば英語の世界。翻訳する体力や気力がないと、外出すらも億劫になってしまいます。
日本語でちょっとしたおしゃべりもできなければ、悩み事を相談する相手もいません。そんな中、最近では悩み事や自己整理をするとき、AIツール、特に私の場合はChatGPTを使うことが格段に増えました。
というわけで、今回は「ChatGPTは友人やカウンセラーの代わりになれるのか?」というトピックについて考えてみたいと思います。
背景:渡米3ヶ月目にして父の急逝
カウンセリングを考えたきっかけは、父の急逝でした。「どうやら体調が悪いらしい」と、たまたま実家に立ち寄った妹からその話を聞いたのですが、同居している母は否定していました。
母は現実を受け止めきれないようで、詳しい病状を妹にも私にも教えてくれませんでした。私たちは母の気持ちが整理できるまで待つしかないのかと思っていた矢先、突然の連絡が。
「お父さんは末期がんで、緩和ケアしかできない。病院に入院するしかない」という連絡を受けたのがNYのある日の深夜。「わかった、ありがとう」と返信しながら、流石に一度日本に帰ろうかと思い、そのまま就寝。起きると訃報が届いていました。
あまりに感情が整理できない。急展開すぎる。
2025年の年明けのことでした。年末年始の帰国ピークは過ぎていたとはいえ、我が家には2歳の娘とミドルスクールに通う息子がいます。渡米からちょうど3ヶ月経ったばかりのタイミング。
ケースによっては、会社から親族の訃報に際して帰国補助が出ることもありますが、夫の勤め先は現地採用なので、そんなありがたい補助制度はありません。すべて自己負担です。
・どのメンバーで帰国するか?
・帰国した際の宿泊先はどうするか?
など、考えなければならないことが多くありました。
幸いにも私は三兄弟で兄弟が実家の近くに住んでおり、葬儀の準備やその他の手続きについてはリモートで情報を集め、兄弟に伝えるなどして対応できたので助かりました。
ただし、心に湧き上がってきたのは「家族が辛い時に近くにいられないなんて」という思いでした。また、異変に気づいたときにはすでに父は余命1ヶ月の宣告を受けていたこと、母が宗教を子供たちに無断で変えていたことが判明し、父が祖父母と同じ墓には入れないと知らされた時、どうしたらいいのかわからない感情に陥りました。
そして何より、私たち父であるにもかかわらず、なぜもっと早くに知らせてくれなかったのかというモヤモヤした気持ちが募りました。
まずはカウンセラーに相談
帰国するまで時間があるものの、心の中では父の急逝と、知らせてくれなかった母への葛藤が渦巻いていました。
そこで、まずはオンラインで日本語で相談できるカウンセラーを頼ることに。
言語の制約なく、日本語で自分の思いを吐き出したかったのです。渡米1ヶ月後にもお世話になったオンラインカウンセリング会社を再び利用。
「相談しないともうダメ」というタイミングでようやく溜め込んだ思いを打ち明けましたが、前回のカウンセラーは空いておらず、別の方に相談してみました。しかし、実際に受けてみると、ちょっと相性が合いませんでした。こればかりは仕方ないことです。人と人ですから…。
モヤモヤしつつ、その場は終了。カウンセリング会社にフィードバックはしました。
モヤモヤをChatGPTに吐き出す
そんな時、SNSで「ChatGPTに悩みを聞いてもらっている」という投稿を見かけ、試してみることに。
大切なのは、相談を始める前に前提条件を伝えること。
このように指示を出してから、相談内容をテキストまたは音声で入力します。
実際の相談 : 1
批判はせずに感情の受容をしてください
そして、相談内容をテキストまたは音声で入力します。実際に私が相談した当時の文面はこちら。
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ChatGPTは、私の感情をそのまま受け止めて整理してくれました。その際、私は涙を流しながらその文面を読み返していたことを覚えています。「こうあるべき」「こうしなきゃダメ」という考えから解放され、尊重すべき点が客観的に整理されていきました。
特に「話したい」と思う気持ちや、吐き出すための心の余裕がいつ生まれるかは自分でも予測できません。その時間に合わせてカウンセラーの予約をしなくてもよいのです。
2歳の寝かしつけの合間に相談してもいい。
夜、どうしようもなくなったときに、泣くために相談してもいい。
気持ちを整理するために、ただの話し相手として使ってもいい。
この「なんでも、いつでも相談できる」という環境は私にとって非常にメリットが大きかったです。
ChatGPTは有人カウンセラーの代わりになれるのか?
何事も「ケースバイケース」ですが、利用者がChatGPTの仕様を理解して使えば、十分に活用できるツールだと実感しました。
AIは自我を持たないため、前提条件を与えるとそれに沿った返答をします。公平な意見を求める際は、ChatGPTと対話しながら問題を深掘りすることもできます。
実際の相談 : 2
海外に居住者をはじめて4ヶ月目の帯同妻です。環境適応ができずに悩んでいます。
ChatGPTの返答はこの通り。
それは大変ですね…。新しい環境に慣れるのは時間がかかることもありますし、 特に帯同という立場だと自分のペースで環境を作りにくい部分もあるかもしれません。 どんなことが一番つらいと感じていますか?言葉の壁、人間関係、生活習慣の違いなど、 具体的な悩みがあれば、一緒に考えてみましょう。
まとめ: ChatGPTは使い方次第で強い味方
冒頭の話に戻りますが、特に海外居住者は日本語で自由に話す、相談する手段はとても少なく家族や身近な知人・友人や国内の家族に頼りがちです。
「こんなこと言いたくないけど、ちょっと愚痴りたくて!」って時はすごーくあります。(よね?)
それをいちいち身内に話す必要もなく、ただ聞いてもらうだけでいい。
それはAIだからこそ気軽に、どこまでも毒を吐いてもいいし、どこまでも善人になってもいい。
そして文面として記録にも残るから「あの時の私ってこうだったんだな」と記録代わりに使ってもいい。後からだと客観的になれることだってある。
使い方によって、毒にも薬にもなる。だけど適切に活用すれば力強い味方になる、カウンセラーの代替えになり得るツールなんだと実感しました。
特に北米住まいの日本語が母国語となると、日本の友達に話を聞いてもらう(カウンセラーも然り)ために、まず昼夜逆転の時差を鑑みたスケジュール調整をする時点で詰みます。もうやだってなっちゃう。正直そんな余裕ありません。
個人的には「いつ・どこからでも・日本語でも」自分の中で溜め込まずに客観的に整理してくれるAIツールは海外在住者だと後押ししてくれるなくてはならないツールだと感じます。
そしてこの文章も、ChatGPTに校正や改善案をお願いしてから公開しています。(ちなみに、ここから下はAIには全削除されました☺️)
AIツールに頼りきると「一般的な、毒のない、無個性」文章になりがちなのでどこまで採用するかはその人の経験次第。
総括としては「経験」「体験」をもとに、AIツールと向き合って「うん、そうだよね」とうまく付き合っていくことができる人が使う分にはとてもいいツールなんだと思います。
ミドルスクール(中学生)の息子に使わせるか・・・?と聞かれたら、ちょっと考えちゃうかも。その前にどう向き合うか教育が必要かなぁ。