8月4日 鬼剣舞全演目公演
北上・みちのく芸能まつりレポートその4、最終回は鬼剣舞全演目公演。
こちらの記録動画は公式からも出ていないので、写真と文章のみの記事になります。
諏訪神社公演で少し熱中症気味になりましたが、車のエアコンとポカリス◯ット、まだまだ見たことの無い演目が見れる楽しみで復活。演目が全部見れるというだけではなく、様々な団体が演じる演目、共演もあったりするみたいなので、やはりこんなところでヘバッている場合ではありません。
会場で渡されるリーフレットにはしっかりと鬼剣舞についてと演目についての解説が書いてあります。
また、テーマ毎に司会者の解説がとても分かりやすく鬼剣舞の背景や歴史も教えてくれるのでとても良かったです。聞き取れた範囲で書き起こしましたので、是非見てもらいたいです。
第1部 疫病退散・収束祈願
0. 疫病退散の儀
谷地鬼剣舞・二子鬼剣舞・黒岩鬼剣舞
初めてみる演目でした。「0」という番号なので、演目というより儀礼なのでしょうか。YouTubeで岩崎城の合同供養で一番始めにやるものを見たことがありましたが、それと似ている感じはしました。
いつの時代もこうやってその時の願いを祈ることをやっているのかな。心から新型コロナウイルス感染症が収束することを僕も願います。
1. 三人加護
担当団体:谷地鬼剣舞
前日の滑田系鬼剣舞共演、おまつり広場での口内鬼剣舞の「三人加護」で今回のみちのく芸能まつりで3回目の見物になる三人加護。それぞれの違いがとても面白かったです。
2. 二番庭
担当団体:谷地鬼剣舞・二子鬼剣舞・黒岩鬼剣舞
この演目も初めて見る演目でした。多分ですが、三団体が団体毎に固まって踊っているので、ステージ上でも違いが見えてとても興味深かったです。
第2部 祭りだ!!祭りだ!!
ここからテーマが変わって、祭りっぽい、祭りに合う演目が始まるそうです。
3. ムギリ
担当団体:口内鬼剣舞
お花(ご祝儀)を頂いた時に踊るという演目。これも滑田系の踊りだそうで、初めて見ました。お囃子もなんというか、「いぇーい!!」っていう感じの喜びと感謝のテンションが伝わるような(笑)始まりからテンション高めでした。
4. 一番庭の狂い
担当団体:口内鬼剣舞・滑田鬼剣舞
「一番庭の狂い」も初めて見る演目でした。「狂い」と付く演目は◯番庭、刀剣舞に見る演目で、その演目の裏、対?になる演目なのでしょうか。
5. 刀剣舞の狂い
担当団体:岩崎鬼剣舞
「刀剣舞の狂い」は何度か見たことがありました(前日のおまつり広場でも翔南高校や、大群舞の最後など)とても賑やかな演目で大好きです。
6. カッカタ
担当団体:相去鬼剣舞
初めて見る舞、そして面(黄色)。緞帳が閉まっていてその前で踊る。
見るからにして道化っぽい格好で、内容も戯けて見せる楽しい演目。自分の手にツバを付けて臭いを嗅いでウッっとなる演出は分かっていてもクスっとしてしまう。
最後に合図と共に緞帳が上がり、次の演目の「三番庭」へ。そして去っていく。
7. 三番庭
担当団体:相去鬼剣舞・口内鬼剣舞
何度か見たことがある「三番庭」。よく見る定番の演目ですが、カッカタからの繋ぎはとても印象的でした。
第3部 門付
8. 狐剣舞
担当団体:滑田鬼剣舞
前日も見た滑田鬼剣舞の「狐剣舞」。同じ団体の同じ演目を連日見れるのは本当にラッキーだなと思います。やはりこの舞は独特な雰囲気、囃子だなと前日同様思いました。
演目の内容が、まさかお稲荷さんの狐様が代わりに踊っていた内容だったとは。
門付の舞納めの舞とも呼ばれて「狐剣舞」を踊ることがあるそう。
9. 二人加護
担当団体:二子鬼剣舞
こちらも初めて見る演目でした。リーフレットの説明の通りで、「八人加護」と同じ感じの内容を二人で演じていて、より演者の動きに目がいく、緊張感もよりあるように感じました。
10. カニムクリ
担当団体:黒岩鬼剣舞
鬼剣舞の曲芸でびっくりするのがこの「カニムクリ」。初めて見た時はびっくり、自分でも出来るかな。。。と考えて怖くなって想像をやめました(笑)
団体によって面を付けていたり、いなかったりするのかな。付けていないイメージあったけれど、今回の黒岩鬼剣舞は面を付けていました。
11. 三番庭の狂い
担当団体:黒澤尻鬼剣舞・御免町鬼剣舞
この演目は前日のおまつり広場で翔南高校が演じていて、それが初めての拝見でした。よく考えると狂い系の演目は「刀剣舞の狂い」以外見た事ありませんでした。
よく見ると小さい子供も混ざって一緒に舞っているのがとても心温まりました。「パンパンッ!」と、手叩きがあったのも印象的で、前日の翔南高校の演目と繋がったのでした。(翔南の演目、「三番庭の狂い」って分からないで見ていました)
第4部 乱舞
恥ずかしながら隣の県なのに、全くその歴史を知りませんでした。南部藩=盛岡藩というのも、実は今回この記事を書く時に調べて初めて知りました・・・(仙台藩を伊達藩と呼ぶような感じなのですね)
農民達の切実な思いと、犠牲の上で思いが積み重なっている舞でもあると改めて感じ入りました。
12. 刀剣舞
担当団体:北藤根鬼剣舞
「刀剣舞の狂い」の方は良く見る演目でしたが、「刀剣舞」自体は初めてでした。流れは「一番庭」に近い雰囲気がありましたが、始めに抜刀し刀で舞う。まさに刀剣舞でした。
13. 宙返り
担当団体:鬼柳鬼剣舞
これは何度か見た事のある演目ですが、見る度に「ひぃぃ!」となってしまう曲芸。刀を沢山持って前転したりしまいにそれに加えて刀を加えて回って。。凄いの一言!
14. 膳舞
担当団体:北藤根鬼剣舞
これも何度か見たことのある曲芸の演目。前日も翔南高校、口内鬼剣舞が演じているのを見ました。これも何度見てもお膳が手にくっついているのでは?と思うほど綺麗に回って、身体も激しく動かして凄いなぁ。
門付で座敷の中で至近距離でやってもらったら凄い盛り上がるんだろうなぁと想像。
15. 八人加護
担当団体:鬼柳鬼剣舞
第4部は、お囃子もステージ上に団体毎に台の上に居て、シームレスに演目を繋ぐ演出。「宙返り」「膳舞」とそれぞれの団体の曲芸が続いて、そして流れるように「八人加護」。
個人的な感想、というかイメージですが「八人加護」もとても仏教的な祈りの印象を強く持ちました。刀を使って繋がってある意味曲芸的なところもありますが、その繋がりの輪踊りが、数珠回しのようにも思たりもしました。
第5部 先祖供養・鎮魂の舞
16. 一人加護
担当団体:御免町鬼剣舞
これまでおまつり広場や、イベントなどでも見たことのある一人加護でしたが、4部と5部の始めの司会者の解説を聞いて、何か見方が変わったと思いました。理不尽な権力に立ち向かい、そして非業の死を遂げた英雄達の舞かぁ。一揆というと、子どもの頃に歴史の授業で習って、傘連判状作って首謀者を分からなくするとかへぇ大変だなぁとか、思ったりしていたのですが、この齢になって、なんとなく想像力を働かせることができるようになって。さぞかし大変な時に文字通り命を賭けた行動で闘い、首謀者は必ず処刑されるということを知っていても皆の命や将来を救わんとする気持ち。そういうものもこの舞にも伝わっているのかと思うと奮えるものを感じます。
17. 胴取 ・ 18. 一番庭
担当団体:岩崎鬼剣舞・岩崎新田鬼剣舞
最後の演目は「胴取り」が入っての「一番庭」
胴取りが太鼓を鳴らし踊って、透過する幕の後ろで一番庭を踊っている演出がとても格好良く、途中から胴取りが捌けて、幕が上がり一番庭が浮き出してくる感じはとても面白かったです。
鬼剣舞といえば「一番庭」、それに全ての基本が入っているというのは、何度も何度も見ていると、何となく染み出してくる感覚のように理解していく気がしています。この舞には基本の型と、芯になる祈りが入っているんだろうと朧気ながらですが思えるようになってきました。
今回、初めて鬼剣舞の全演目を見ることができてとても面白かったし、勉強になりました。
第63回 北上・みちのく芸能まつりレポートシリーズ
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