ぬいぐるみを作ってみた!
X(当時Twitter)の相互フォロワーさんから「そぼろのおとぼけぬいぐるみ」という本を勧めていただいて、でも何処にも売っておらずたまたまAmazonで中古を見つけた配偶者からその本を買って貰った。
当初は母、配偶者にぬいぐるみを作って貰おうと思っていたのだが母がコアラの型紙を作った時点で「無理」と言い放った。トレスして更に画用紙に型紙迄は完璧に作ってあるのに!?しかし配偶者が作ってくれた。最近そのコアラの縫い目からペレットが出て来てしまった。
私は何年間も2023年末まで「線維筋痛症」に悩まされており酷い時はペンも持てないほど手が痛かったり、全身の5~6箇所が常に痛くて何もやる気になれずにいたのだが、昨年末不思議な事に肺炎で入院し、退院してから突然線維筋痛症から解放された。何がきっかけかはわからないが「突然」治ったのでいまだに信じられない気持ちだ。
話を戻すが、そのコアラの縫い目からペレットが出て来た話をした直後に私は猛烈に自分でぬいぐるみを作ってみたいと思った。誰の手も借りずに、自力でぬいぐるみを作ってみたいと。夜の19時台に配偶者が飲み物を買いに行くついでに百均で何か布を買ってきて欲しいと伝えた。カラーボックス用のボックスカーテン、クッションカバー、ハギレなど数点買ってきて貰った。
ボックスカーテンは水色でハリのある生地だったのでなんとなくコアラを縫いやすそう、そう思い母が茶封筒に保管していたコアラの型紙を出して貰いチャコペンで適当に縫い代分をだいたい1cm…と思いながらパーツ用生地に線を引いた。我が家はミシンが既に臨終しているので何でも手縫いをするしかない為、飼っているフクロモモンガの寝床は母が手縫いで作ってくれている。その生地がモフモフのぬいぐるみみたいで可愛い(何故モフモフの生地かというと、フクロモモンガの爪が引っ掛かり怪我に繋がるので)
また話が逸れてしまった…本題に戻ろう。
「ほんでこれは何枚作るんじゃ…」と私は空間に向かってぶつくさ言いながらそれぞれのパーツの布を切った。私は基本的に機械は説明書をほぼ読まない…何故なら「使えばわかる」から。スマホ音痴だが機械にはやたら強い。ぬいぐるみとなると説明書を読まねばならない…それがとんでもなく面倒に感じてしまったが「説明書をちゃんと読みね」と配偶者から念押しされてしまった。
大量の布切れに囲まれた私は一瞬頭を抱えて「ああああああああぁぁぁ」とクソデカボイスで奇声を発した。
ぬいぐるみ評論家を名乗り始めたのは昨年からだが、ぬいぐるみを作った事は1度もない私。正直言うと以前もぬいぐるみを作りたくて何を思ったのか5ちゃんねるに飛んで、そこで「ぬいぐるみなんてコの字縫いが出来れば作れる」と読み「コノジヌイ…?」という感じでコの字縫いが何かを更に調べるも未解決のまま断念した過去がある。今回の表記はコの字とじだ…つまりコの字縫いを…ついに…する事になるのだ……。
先ず耳を作る。もうその時点で形はガッタガタである。説明書を読む云々の前に私は裁断すら碌に出来ていなかったと気が付いた。家庭科は裁縫が苦手だったのでエプロンを作る授業というか確か休み期間の宿題は母に土下座をしてゴースト製作者をして貰った…小6の授業で作ったトランクスみたいなショートパンツはなんか知らんけど我ながら上手くいって26歳まで夏場になると穿いていたがアレは奇跡だった。あと物持ち良過ぎだろ…。
私はありとあらゆる「大変だったがやり遂げた事」を考えながら縫い進める事にした。受験から卒業までざっくり思い返してみたり…実習とか、試験勉強で発狂したよなぁとか…でも受かったよねぇ…とか丸々1年ほぼ日手帳に日記を書いているじゃないかとかイージーからハードまで色々思い出しては「私でも出来る!!」とたまに謎に叫んでいた。
そこまでしてぬいぐるみ作りをしているとは家族の誰も知らない話だ。
しかし私についに試練の時が来た…「コの字とじ」だ。流石にわからんので手先が器用で何でもだいたい作れてしまう配偶者に教えて貰いながら、しかし自力で「こう通して出すの?」等と訊きながら無事にぬいぐるみの背を縫い閉じる事に成功した。しかし衝撃的だったのはコの字とじではない。顔のパーツである。うっかりしていた…のっぺらぼうのコアラが出来上がってしまった。
何とか後頭部のど真ん中からのアプローチで、鼻は咄嗟に配偶者の黒い靴下の踵の丸くなった部分を切り取って巾着のように縫い絞った物を付ける事に成功した。更に目を親の仇のように刺繍というより黒い塊が出来るようにしつこく縫いまくり、口を真一文字に赤い糸で縫った。凄い無表情っぷりだったが一応、完成した。
「ぬいぐるみィ1号」
凄い…笑えるいや笑えない…へっっったくそやんけェ!
まあInstagramでお披露目するのではないしな…笑えるならそれで良い、とXにポストしてみた。温かいリプライが心に沁みました。その節はありがとうございました。しかし飽き性の私がまさかぬいぐるみを完成させるとは家族は微塵も思っていなかったらしく「みィの事、舐めてたわ」と母から言われてしまった。試験の事やら何やら考えていた話をして笑われた。作家様たちはどんな気持ちで作っているんだろう…。
その日の夕刻…母が手芸屋さんの袋を私に手渡した。
「まさか作るとは思いもよらなかったわ、また気が向いたら作るかも知れないと思って買ってきた」と。中には黄色いボア生地が入っていた。実は昨日ぬいぐるみィ1号を作り終えた後にペラペラのハギレで何か作ろうと適当にフリーハンドで布を切って縫いかけで力尽きて爆睡したのだが、それを見た母が「私がまだ何かを作ろうとしている」と察知して気を利かせてくれた様子。正直、その気持ちが嬉しかった。次こそはちゃんとしたコアラを完成させようと思っていたのだが…
黄色いボア…これは…私の好きな色……!!!
もはや黄色いボアからはひよこを連想してしまった私はコアラを作るかひよこを作るか10分程度考えた後、決めた。
ひよこのぬいぐるみを作ってみようじゃないか
なんのやる気かわからないが、前日は叫びながらコアラを作っていた筈の私がひよこを作ろうと無茶な事を思い立ったのだ。多分普段からの「アホ力」が私をそうさせちゃうんだね〜、しょうもない大人になってしまったもんだ。アホというか無理じゃね?って事をやろうとして大事故を起こすタイプ(なので案の定車の免許は持っていません)だが家の中なのでまあ…誰かに迷惑が掛かる心配もないし…やるか…。
実はこう見えて(よく某クリニック勤務時代に患者さんからソフト部だった?と訊かれました…胸板の厚みのせいっすかね)私は美術を小~ギリ高校までやっており油彩画は一応得意…というか好き。彫刻は受賞した。あと何か賞は取ったが美術部では油彩画と彫刻ばっかりやっていたけれど家では禁止されていて…オイルをこぼすやら彫刻で削りカスだらけにするやらで「やるならベランダで」と言われていた為、最近また油彩画を再開したいなと話したら案の定…猛反対された。
で、ぬいぐるみ好きが高じてついにぬいぐるみを自分で作ったわけだが、まさか2夜連続で作り出すとは正直うちの家族は思っていなかったであろう。配偶者が起きたら見せる予定で何故か早朝に目がギラッギラのまま起きている。前回のコアラは5時間、今回は4時間で作ったのでやはり人間はいくつになっても学習能力はあるっちゃある…のだろう。今回はだいたいの工程がわかっていたのでくちばしと羽と尻尾を内側に縫い留める為に予めデザインナイフで切れ目を入れておいた。
適当にフリーハンドでパーツを作って前回の型紙の頭部のサイズだけデカくしたものと、更にデカくしたものを用意してひたすら縫った。イメージ画もなし…ぬいぐるみ作りというか、縫う事そのものは楽しくてルンルンで頭部を縫い上げてくちばしも切れ込みの中に少し入れてがっつり縫った。ぬいぐるみ作りは取り敢えず私には力加減が難しい…前回のコアラは力が入りすぎて顔に入る線が力強く、顔がシワシワだった。
かと言って緩く縫えばそれはそれで多分失敗するのではと思い躊躇しつつも何故か脳内麻薬か何かが出ていたのだろう、ノリノリだった。ドラマ「となりのナースエイド」を観ながらノリノリで縫っていた。配偶者は就寝が早い(普通の会社員の平均的な就寝時間か…)ので私に何か頼まれたらたまらんといった様子で生チョコを食べ、歯を磨き…となりのナースエイドが終わってニュースZEROになった辺りで「じゃあおやすみ〜」と、にこやかに寝室へ消えて行った。
私もにこやか(いや、ニヤニヤしていたはず)におやすみなさい〜と言って、その頃にはもうしこたまひよこの目を黒い糸で縫いまくっていた。これがボア生地だと尚更難しい。刺し目にしようか悩んだ(一応持ってはいる)が、せっせと縫った。目が見えて来ねえ〜〜〜!!というわけで少しだけ目の辺りのボアをカットした。しかしまだぬいぐるみ作り2回目の超初心者なのでくちばしはひん曲がっていた…許容範囲と思う事に。
で、頭部とボディを縫い合わせるべく全てが内側に入り込んだぬいぐるみの皮を「ふんすっ!」と表にした時にちょっとホッとした。手(羽)と尻尾が無事だった。適当に切ってあるので歪みは出たが、ペレットを流し込み綿を詰め「コの字とじ」をしてぬいぐるみィ2号のひよこが出来上がった…わろた…全体的にひん曲がっていて私の性格のようである。しかし妙な達成感を覚えた。そうだ、マラソンを完走した時のようだ。
どうでしょう…このクスッと笑えるぬいぐるみィ2号のひよこ…笑ってくださいどうぞどうぞ。特に目指したキャラもなく下絵もなく適当に作った割には私的にはまあまあだ。いやこれ2体目だからまだ許されるよね…10体くらい作ったら多少上手くなるんかね…?型紙がなくてもすっごく可愛いぬいぐるみを作る作家様もいるけれど私は前回の頭部の型紙の応用を試みたので正確には型紙は存在する(パーツは行き当たりばったり)
今回ぬいぐるみ作りは「私には難しい」と痛感したが、ぬいぐるみ評論家をするなら作り手の感覚も感じたいと思って始めたのだが、趣味になり始めた。ただし私は今後もぬいぐるみはお迎えするし、作家様からお迎えもする。今回の材料費はトータル約1000円だったが、作家様からお迎えするとそれなりの価格はするが、その理由は非常に理解出来る。時間が掛かりまくる上に技術料がプラスされて然るべきなのだから。
ちなみに私のぬいぐるみは販売予定は御座いませんのでご安心ください。しかもちょっと自分で作ったぬいぐるみに愛着が湧き始めていたり…。
全国のぬいぐるみ好きの皆さんも是非、お時間のある時にぬいぐるみ…作ってみませんか?
凄まじく不器用な私でも一応作れたので、1度は挑戦してみるのも楽しいですよ〜!!