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【発達障害グレーゾーンの特徴、困りごとや対策など】

発達障害は、しばしばスペクトラムと表現されます。

はっきりした特徴からうっすらとした特徴まで様々に分布しているということです。

一方で「病院で ASD(自閉スペクトラム症障害)のグレーゾーンと言われました。グレーゾーンなので支援は受けられませんか?」や「ADHD(注意欠如多動症)傾向がある、と言われた私は結局のところ発達障害なのでしょうか?」など、はっきりしない見立てを受けた方の混乱が多いのも特徴と言えるでしょう。

発達障害と診断されずグレーゾーンと言われる理由には、大きく分けて3種類あると考えられます。

  • 発達障害の重さ・軽さを測る数値基準がない

  • 受診するタイミングや環境によって症状の強さが変わる

  • 診断名をあいまいに告げることで告知のショックを和らげたかった


発達障害「グレーゾーン」の意味

発達障害「グレーゾーン」とは、発達障害の症状や特性が見られるものの、診断基準をすべて満たしていないために確定診断が出ていない状態を指します。

「グレーゾーン」という正式な診断名はなく、発達障害の症状や特性の程度は幅広い傾向があります。

グレーゾーンは、「ASD(自閉症スペクトラム症)」「ADHD(注意欠如多動症)」「LD(学習障害)」という3つの障害の診断基準をいくつか満たしているものの、すべて満たしていないだけであって、症状や特性が軽いとは限りません。

発達障害の診断には絶対的な数値が存在しているわけではない上、特性の出方は「スペクトラム=連続体」と言われるように、個人によって濃淡がさまざまです。

また、環境や年齢などにより変化しやすく、医師が断定を避けて「グレーゾーン」「傾向がある」という言葉を使う場合もあります。


大人の発達障害とは?発達障害の種類


大人の発達障害とは、大人になってから発達障害だと診断されるケースを言います。

ただし、「発達障害の特性が大人になって突如表れた」というものではありません。

子どもの頃から特性はあったものの特に問題視はされておらず、進学や就職などの環境の変化によって特性や困りごとが目立つようになり、発達障害と診断を受けるのが大人の発達障害です。

また、発達障害という概念が広く知られるようになったのは比較的最近のため、「子どもの頃から特性による困りごとはあったものの、発達障害だと気づかなかった」というケースも少なくありません。

ここでは、「ASD(自閉症スペクトラム症)」「ADHD(注意欠如多動症)」「LD(学習障害)」という3つの発達障害の種類について詳しく解説します。

ASD(自閉スペクトラム症)

「ASD(自閉スペクトラム症)」とは、以前は「自閉症」や「AS(アスペルガー症候群)」と称されていた発達障害の1つです。社会でのコミュニケーションの難しさや独特のこだわりといった特性が目立ちやすい傾向があります。

相手の言葉や表情などから考えていることを読み取ることや、自分の考えをうまく伝えることに不得意を感じやすく、学校や職場などさまざまな場面で人とのコミュニケーションや関わりに困難が生じる場合があります。また、特定のことに強い興味・関心を持ち、こだわりの強い行動が見られやすい点も特徴です。

ASDの多くは、幼少期から認められる脳の働き方の違いによって起こるとされています。子どもの頃からASDの傾向が認められる場合もあれば、大人になってから、日常生活や仕事で求められる行動基準が高くなって初めて困難さが明らかになるケースもあります。

ADHD(注意欠如多動症)

「ADHD(注意欠如多動症)」は、不注意や多動性、衝動性という3つの特性により、日常生活に困難をきたしやすい傾向があります。落ち着きがない、集中してものごとに持続的に取り組むことが困難、順序立てて行動することが苦手、といった特徴が多く見られます。

ADHDは、ケアレスミスや忘れ物の頻度が高い「不注意優勢型」と、落ち着きがなく衝動的な言動が見られやすい「多動・衝動優位型」、それら両方の特徴を持つ「混合型」の3つのタイプに大別されます。

LD(学習障害)

「LD(学習障害)」とは、読み書き能力や計算力などの算数機能に関する特異的な発達障害の1つです。LDは知的障害と異なり、全体的な理解力などに遅れはないものの、「読み・書き・算数(計算)」といった特定の課題の学習に困難が見られる状態を指します。

LDには、読字の障害を伴うタイプ、書字表出の障害を伴うタイプ、算数の障害を伴うタイプという3種類があります。

いずれも、単純に「国語の成績が悪い」「数学が苦手」といったものではなく、聴覚的・視覚的短期記憶や、聞いたこと・見たことを処理する能力など、認知能力における凸凹が、結果的に「読み・書き・算数(計算)」の苦手さや不得意として現われていると言われています。

LDに加えて、ADHDやASDを伴う場合もあり、総合的な特性を考慮した配慮や学習支援が求められます。

症状があるのに診断がつかない理由

発達障害の症状や困りごとがあるのに、医療機関を受診しても診断がつかないケースもあります。実際に困っているのに診断がつかないと、中途半端で気持ち悪いと感じる人もいるでしょう。

ここでは、症状があるのに診断がつかない理由を3つ紹介します。

発達障害の「重さ」、「軽さ」を測る医学的基準はない

まず発達障害の診断には、腫瘍マーカーやγ-GTPのような絶対的な数値基準が存在している訳ではありません。
診断は日常生活や社会生活上の困難・生きづらさがある点を確認することで行われます。

例えば現在診断基準とされるDSM-5※でもご本人や周囲の理解を数値化・リスト化しているだけとも言えます。
このため医師は断定を避け「グレーゾーン」や「傾向がある」という表現をすることが多いようです。

そもそも精神科や心療内科の医師にも得意・不得意があります。

「うつ」のアセスメントや治療が得意な医師や子どもの精神領域が得意な医師などがたくさんいる中で、発達障害の診断に積極的な精神科医師はまだ少数派のようです。

このため発達障害の診断を自信をもって行える医師が少ないこともあるでしょう。

発達障害の特性の出方は「スペクトラム = 連続体」と言われるように個々人により濃淡が様々です。

同じ人であっても環境(つまりいる組織や置かれる状況)や年齢などにより変化します。

すべての人がグレーという考え方も出来るほどですのではっきりと言わない医師が多いのも頷けます。



受診するタイミングや環境の違い

発達障害は、タイミングや環境によって表れる症状や特性の強さが変わります。

そのため、医療機関を受診した日は体調や環境がよく、症状があまり強く出なかったことで診断がつかなかった可能性があります。

先ほど紹介したとおり、発達障害は数値基準が設けられているものではありません。

そのため、受診したタイミングの症状が軽ければ日常生活にそれほど困難はないと判断され、発達障害と診断されないケースもあります。


ショックを和らげるための医師の心遣い

つ目の理由は、そうでなくとも日常生活で傷ついたり自信をなくしたりしていることの多い発達障害の方々に、しかも診断とともに明確な治療方法を提示できる訳でもないなら、せめて断言を避けることで与えるショックを軽くしよう、という医師の心遣いもあるでしょう。

この心遣いは逆効果になることもあります。

というのも、発達障害の特性を持った人は白黒つけて欲しい人が多いためです。

傾向があると言われるとはっきりとせずにかえって悩みが深まったということもしばしば聞く話です。

「グレーゾーン/傾向がある」=「困難の程度が軽い」とは限らない

では「グレーゾーン/傾向がある」と言われた当人は、それをどう受け止めたらいいのでしょうか。

まず、発達障害の傾向とともに他の精神障害の診断がはっきりついた方は、それらの二次障害の治療を優先させましょう。

発達障害が原因で二次障害を起こすケースや、背後にある発達障害が大人になるまで未診断で他の様々な精神疾患症状が診断されている、いわゆる「重ね着症候群」である場合もあります。

一定期間の治療を経て効果が出ない場合は、より発達障害に詳しい医師や心理士、発達障害専門の就労支援施設などに相談されることをお勧めします。

なお重ね着症候群とは様々な精神障害の困難が重ね着のように見られる人の場合もその着物をはいでいくと発達障害が根幹にあるケースがあるという状態のことを指します。

また、「傾向がある」と言われて同時に薬(ストラテラやコンサータ)を勧められたり処方された場合は、実質的に少なくともADHDか、もしくは、ADHDを併発しているという診断が下ったと考えていいでしょう。

本来、その症状が確認され、ADHDを保険病名としてつけないとお薬を出されることはないからです。

重要なのは「グレーゾーン/傾向がある」という診断が必ずしも当事者の生きづらさの「軽さ」を意味しないという事実です。

発達障害の特性が見えづらいためにかえって周囲からの理解が得られずご本人の苦しみはむしろ深いケースも意外に多いものです。

ですから「グレーゾーン/傾向がある」程度なら放っておいていいと即断するのは禁物で困難や生きづらさがある場合はなんらかの対策・支援が望まれます。


グレーゾーンの人のよくある困りごと

発達障害の傾向があるものの診断はされていないグレーゾーンの人は、日常生活のさまざまなシーンで困りごとに直面することがあります。
ここでは、グレーゾーンの人のよくある困りごとを、仕事とプライベートのシーンに分けて見ていきましょう。

仕事での困りごと

グレーゾーンの人は、仕事の際に以下のような困りごとを感じることがあります。

  • 仕事の全体像を把握するのが苦手

  • 漠然とした指示を理解するのが難しい

  • 仕事の段取りが苦手

それぞれの指示の内容を結びつけて仕事の全体像を把握するのが苦手なので、バラバラに指示を出されるとイメージが掴めずに仕事をスムーズに進められないことがあります。

漠然とした指示が苦手なのも、発達障害の傾向のひとつです。そのため「なるべく早めに」など曖昧な指示を出されると、具体的な期限がわからず混乱してしまう人も多いでしょう。

段取りを立てるのが苦手なのも、よく見られる特性のひとつです。期限までに仕事が終わらなかったり、ケアレスミスを繰り返してしまったりする人も多くいます。

また、発達障害と診断されていないので、これらの困りごとを解消したいと思っても「結局どの対処法を参考にしたらいいのかわからない」という悩みを抱えている人も少なくありません。

プライベートでの困りごと

プライベートでは、人間関係に関する困りごとを抱える人が多いです。例えば、相手の話を聞きながら自分の言いたいことを考えるのが苦手な人は、うまく雑談ができないことがあります。また、発言の細かい部分が気になって質問を繰り返し、相手を困らせてしまうケースも見られます。
上記のように、相手とスムーズに会話を進められないことで人との距離を縮められず、友人関係の構築や継続が難しいと感じている人も少なくありません。



グレーゾーンの人ができる対策

グレーゾーンの人が仕事や日常生活での困りごとを解消するには、発達障害のある人が実践している対策を取り入れるのが方法のひとつです。

ここではグレーゾーンの人ができる対策を3つ紹介するので、ぜひ試してみてくださいね。


特性にあわせた工夫を取り入れる

代表的な対策のひとつが、仕事やプライベートで生じている困りごとや特性に合った工夫を取り入れることです。

例えば、段取りが苦手な人やケアレスミスが多い人は、自分がやるべき仕事を細かくリストアップして取り組むのがおすすめです。

優先順位や期限など判断に迷う場合は、上司にリストの内容や順番を確認してもらうと、よりスムーズに仕事を進められるでしょう。

「過集中で時間を忘れて没頭してしまうことがある」という場合は、一定時間でアラームが鳴るようにセットして、「アラームが鳴ったら一度手を止める」というルールを作っておくと効果的です。


周囲に自分の特性について伝える

仕事や人間関係の問題を解消するには、周囲に自分の特性について伝えることも大切です。

「診断はついていないものの、こういう特性がある」と伝え、できる範囲で周囲に理解や支援を求めてみましょう。

例えば漠然とした指示が苦手な場合、具体的な内容や期限を指示してもらえないか相談してみると、受け入れてもらえる可能性があります。


専門機関に相談する

自分だけで解決できない場合や、困りごとの内容が大きくなっている場合は、専門機関への相談も検討してみてください。グレーゾーンの人も相談できる専門機関はあるので、一人で抱え込まないことが大切です。

グレーゾーンの人でも相談できる機関を後ほど詳しく紹介していますので、そちらもぜひチェックしてみてくださいね。



発達障害グレーゾーンの場合障害者手帳は取得できる?


障害者手帳の発行には医師による確定診断が必要なため、発達障害グレーゾーンの人は取得することができません。

「障害者手帳」とは、障害によって日常生活や仕事における困難や支援を必要とする人に対して発行される手帳です。

障害者手帳を取得することで、税金の減免や公共料金の割引などが受けられるというメリットがあります。

障害者手帳の3種類のうち、発達障害の場合は「精神障害者保健福祉手帳」、発達障害と知的障害が見られる場合は「療育手帳」の申請対象となる可能性がありますが、確定診断が出ていないグレーゾーンの場合は取得対象外とされています。

ただし、障害者手帳や周囲からの配慮を必要としていることを医師に伝えれば、意見書や診断書を発行してくれるケースがほとんどです。


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