日本ブリーフセラピー協会学術会議のお知らせ【同業者向け】| 京都・四条の心理カウンセリング カウンセリングオフィスSHIPS 認知行動療法・ブリーフセラピー
こんにちは。カウンセリングオフィスSHIPS代表です。京都 四条烏丸でカウンセリングルームをしています。オンラインカウンセリングもしていますので、全国からアクセス可能です。
当オフィスは、ブリーフセラピー、認知行動療法を中心にしたアプローチで、プラグマティック(実用主義的な)支援を掲げてカウンセリングをおこなっています。
ブリーフセラピー(Brief Therapy)とは、問題の原因を個人のなかの性格や能力、病理など(内的資質といいます)に求めるのではなく、コミュニケーション(相互作用)の変化を促して問題を解決・解消していこうとする心理療法です。
背景にある理論・認識論としては、システム論、コミュニケーション論(語用論)、社会構成主義といったものがあります。社会構成主義は有名ですかね。
さて、そのブリーフセラピーに関する学会は日本にいくつかあるのですが、私が長年お世話になっている学会に日本ブリーフセラピー協会という学術団体があります。
その日本ブリーフセラピー協会の来年度2023年の学会である第15回学術会議が京都で開催されることとなりました。そして、私カウンセリングオフィスSHIPS代表が大会長を務めます。
いやー、開業ですでにてんやわんやしてるのにそんなこともして大丈夫かって感じですが、仲間にも恵まれ、どうにかこうにか現在鋭意準備中です。
でささやかながら学会にも貢献しようと思いまして、こちらのコラムでも広報させていただく次第です。
京都大会テーマ
いや、マニアックですよ。もうブリーフセラピーなんて聞いたことない人にとっては何言ってるかわからないと思いますが、大会テーマは「ブリーフセラピーらしくないブリーフセラピー ―ブリーフセラピーの多様性―(仮)」です。
・・・なんのこっちゃですね。いいんですそれで。
一応、どんなテーマかという説明載せておきます。
テーマ告知文
前回第 14 回大会では、大会テーマ「ブリーフセラピーにとってのアイデンティティとは」を受けて、ブリーフセラピーに通底する認識論、哲学、態度・姿について、つまりブリーフセラピ ーらしさについて参加者同士でディスカッションを深めました。それは、個人の内的資質よりも 個人間の相互作用やシステムに着目し利用していくこと、個人の自立よりもシステムのもつ自己 制御性・自律性を活用すること、過去・原因論から脱却して未来志向であること、変化を志向し短期的であること、個人のフレーム・ストーリー・ナラティブを尊重していくことなどあげられます。
ある特徴を取り上げると、その特徴に当てはまるもののと当てはまらないものとを二元論的に区別 することができ、それは差別化・区別化に役立ちます。ブリーフセラピーの特徴を表現することは、ほかのセラピーとの比較において差別化を図ることとなります。ただその一方で、その特徴を備えるか否かこそが本質であるとみなしてしまうと、「こういうことはブリーフではしない」「こういうケースはブリーフらしくない」というようなメッセージにもつながっていきます。しかしながら、そうしてセラピーのあり方を限定していくことは、かえってブリーフセラピーらしさを失わせることにはならないだろうかと危惧します。
たとえば、精神分析批判が目新しい時代は終わりました。それはブリーフセラピーにとっても短期治療であることが差別化につながらないことを意味します。そもそも精神分析との対比で生まれたブリーフという概念は、いま価値があるのでしょうか。ブリーフセラピーを謳っても、現場ではどうしても長期的な関わり・支援が必要なケースに出会うこともあるでしょう。頻回なセッションを希望するクライエントに出会うこともあるでしょう。
たとえば、学会発表、ケース検討の準備において、「このケースはブリーフセラピーらしくできたから発表できるな」「このケースは 100 回もやってしまっているから発表できないな」といった発想でケースを選んだ経験はないでしょうか。ブリーフセラピーの学会なのだから、ブリーフセラピーらしくないことは語ってはいけないという雰囲気を感じてはいないでしょうか。
長谷川先生は、ブリーフセラピーの特徴を「あれかこれか、ではなく、あれもこれも」と表現しました。過去や原因論にフォーカスする、長期に及ぶセラピーをおこなう、長期的支援を前提にかかわる、個人セッションに終始する、セルフケア・自立を促す、傾聴に徹し続ける、ゴールセッティングをしない、課題を出せない、ユーモアがない、コンプリメントがない、セラピストが発言・質問できない、マニュアルに沿ってセッションを進めることを求められる、自由連想をする、箱庭をする、一向によくならない症状に向き合い続ける、先の見えぬ未来に一緒になって途方に暮れる、といった支援を余儀なくされるケースは実際にありえます。そのような、 一見ブリーフセラピーらしくないものにもブリーフのエッセンスを活用していくこと、ブリーフ的に理解することはできるでしょう。
こうしたものの理解には、論理階梯の理解が役立ちますが、全ての言説を説明原理として扱うこと、特定の戦略・介入や技法、プロセスを絶対視せずに相対主義的な視座に立つ実用主義的認識論こそブリーフらしさといえるのではないかと考えます。システム論、相互作用論も、未来志向、解決志向的発想も説明原理であり、拘泥することがブリーフなのではありません。それが科 学だろうと、占いだろうと、宗教だろうと、どんなものでも絶対視せずにクライエントにとって問題にとって役立ちそうなら採用するという自由さ、徹底的な実用主義がブリーフセラピーをブリーフセラピーたらしめると考えます。
かたや「こうしないとブリーフではない」「ブリーフならこうする」といった発想がある場合、そのメ ッセージを発しているブリーフセラピスト自身が、ブリーフセラピーとはかくあるべきというフ レームにとらわれてしまっているのではないでしょうか。
ブリーフセラピーらしくあろうとすることが、かえってブリーフセラピーとしての自由度を狭めることになっては本末転倒です。すべての事象をブリーフセラピーの視点で切り取ること、すべてのセラピーをブリーフセラピーとして見立てることが可能な相対的主義的な認識論が、ブリーフセラピーにはあります。「どの療法が優れてい るか」「ブリーフならこう見る」といった視点から一段メタな視座に立ち、実用主義のもとにブリ ーフセラピーの多様性を再認識する、そのような大会にしたいと考えています。
参加者の皆様には、是非ブリーフセラピーらしくないケースの事例発表を期待します。ただクライエントの語りに耳を傾け課題提案しなかったケース、他流派が行うようなアプローチが奏功したケース、何年も何百回も面接を行ったケース、どのようなケースも、一緒にブリーフセラピーの切り口で分析・考察していきましょう。それがブリーフセラピーを、ブリーフセラピストをもっと自由にするはずです。
開催時期・場所
2023年9月30日(土)〜10月1日(月)
京都テルサ
です。
他にも決まっていくことがあればお知らせしていきます。
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カウンセリングオフィスSHIPSでは、ブリーフセラピーや認知行動療法に基づくカウンセリングをメインに実践しています。