スピーチが苦手な人へ
日本人は欧米人と比べてスピーチの苦手な人が多いと言われています。
欧米では子供の頃から自分の意見を皆の前ではっきり主張するように教育されているようですが、日本ではこの点が少し欠けているため、社会人になって多くの人の前でスピーチをすることに抵抗を感じる人が多いようです。
そういう私も、実は人前で話をするのが苦手なタイプでした。初めて管理職として地方機関に転勤した頃、多くの人の前で挨拶をする機会がにわかに増えたのです。
緊張して自分の思っていたことを十分話せないまま終わってしまうことが多く、そのようなときは自分が何て「ダメな人間」なのかと思っていました。
本社に戻ってからも苦手なスピーチは相変わらず改善されることなく、挨拶が終わった後は「憂うつな気分」と「自己嫌悪の感情」に心が覆われていたのです。
その後心理学を学び、中でもREBT(論理療法)からはこの点について有益な示唆を受けました。
私はスピーチを前にすると、「部下の前では上司として相応しい立派なスピーチをしなければならない」と常に思っていたようです。
意識はしていなかったのですが、潜在意識の中で自動思考のように無意識的に思い込んでいたようです。
しかし、この思い込みが間違っていたのです。
そのため、スピーチの前から既に心の中は不安で一杯でした。これではスピーチが上手くいくはずがありません。
実際にスピーチが上手く行かなければ、落ち込むのは当たり前のことでした。こうなると、自分はダメな管理職だと思うのもまた当然の結果です。
REBT(論理療法)は私に教えてくれました。
人間は失敗する生き物です。私も人間です。だから私が失敗することも当然あり得ることなのです。
完ぺきに挨拶しなければならないという思い込みは不合理な考え方でした。
考え方が論理的に破たんしている上、どれほど優秀な人でも失敗することがあるのですから、私の考え方はいかにも非現実的なものでした。
また、このように思い込んでいると常に不安や落ち込みが心を支配し、決して有益なことはないのです。
そして、スピーチにおいて失敗したという一点をもって自分を「ダメ人間」扱いしていましたが、人間は長所もあれば短所もある複雑な存在です。当然、人間には失敗が付きものです。
失敗したという一点をもって、その人の全体をダメ評価することは理にかなっていないのです。
REBT(論理療法)を学び、目から鱗が落ちました。物事を不合理に考えているうちは心が動揺しますが、理性的に考えることによって情緒は安定することに気づかされたのです。
ちょうどその頃、私の同僚の管理職が部下を送る送別会の席で挨拶を行うことになり、私も同席しました。彼も私と同様スピーチが苦手です。当然緊張してはいるのですが、額に汗を流しながら、しどろもどろになりながらも、今日までその部下に支えられてお世話になった感謝の気持ちを切々と述べたのです。
挨拶が終わると拍手が鳴りやまず、同席した私もジーンときてしまいました。送られる方の部下も泣いていました。
そのとき私は気づいたのです。
スピーチで大事なことは、いかに流暢に話すかということではなく、伝えなければならないことを、いかに真心を込めて伝えるかということだったのです。
それ以降、スピーチのときは伝えなければならない内容をしっかり整理して、当日はそのことだけに集中するようにしました。
気がついてみると、ほとんど緊張することもなくなっていました。聞いている方は、こちらの話し方ではなく、その内容に関心があるのです。
緊張するときは緊張したままでいいのです。しどろもどろに話してもいいのです。話さなければならないことだけに集中すれば、それでいいのです。
スピーチの苦手な方は、是非試してみてください。
よろしければ、メールカウンセリングで詳しくお伝えします。
→ https://www.ningen-kankei.jp/
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回も、お時間のある時に読んでいただけたら幸いです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?