組織カルチャーを形成する「Coum Way」策定プロセスと浸透への取り組みとは?
組織づくりには様々な方法がありますが、組織の中核となるミッション・ビジョン・バリューの策定は非常に重要です。Coumでは、バリューを「Coum Way(コウム・ウェイ)」として策定し、社内への浸透に取り組んでいます。今回は、「Coum Way」策定の背景や、込められた想い、浸透にむけた取り組みや課題、人事評価や採用での活用について、代表・廣瀬のインタビューをもとにご紹介します。
―Coum Wayを策定した背景を教えてください。
創業当初から、事業の新規性のみで勝負するというよりも、働く人の姿勢やユニークさを通じて独自の価値を提供していけるようなプロフェッショナルファームを目指していました。特にミッション、ビジョンは会社の根幹を担う大事な考え方だと思っています。よって、創業時の早い時期にメンバー全員で策定しました。ミッション(いつまでも変わらない組織の存在意義)は「プロフェッショナルにとって最高の場所となる/顧客とよりよい明日を共創する」、ビジョン(いま目指したいCoumの姿)は「デジタルと洗練されたサービスで、顧客の価値創造と向上を実現する」と定めています。
しかし、永続的なミッションや長期的なビジョンを、日々の仕事や業務と関連づけるのはなかなか難しいものです。そこで、他企業の「カルチャー・デック(Culture Deck)*」の取り組みなども参考に、Coumのミッション・ビジョンに即した日々求められる行動特性を言語化しました。それが「Coum Way」です。
*Culture Deckとは、企業哲学や経営理念、社員に期待する行動などを具体的に表現し、網羅的にまとめたドキュメントです。
写真:Coumの共有作業スペースでは、日常的に社員同士がグループやチームでディスカッションを行っている
―Coum Wayはどのように策定されたのでしょうか?
Coum Wayを策定する際、そのプロセス自体が重要だと考えました。なぜなら、行動特性の浸透は、策定の段階から始まっているからです。Coum Wayの策定プロセスを社員全員が踏むことによって、「自分たちに必要な行動特性は何なのか。また、それはなぜなのか。」を考えるきっかけを作る狙いがありました。
ちょうどコロナ禍だったので、社員全員をオンラインで集め、プロフェッショナルとして働く上で大切にしたいこと、 組織を作る上で大切にしたい価値観、自分が大切にしていること、などをテーマにキーワードを出し合い、ディスカッションをするというワークショップを行いました。
その後、組織作りに関心のある社員2名をコアメンバーとし、ワークショップで抽出された11のキーワードを象徴する3つのキーコンセプトを言語化しました。また、キーワードやキーコンセプトだけでは、解釈が難しいと感じ、解説となるようなキーメッセージも策定しています。
この取り組みを実行するにあたっては、他社のベンチャーで行動特性をまとめ、浸透させるという経験ある友人からのアドバイスも参考にしました。コアメンバーとともに、プロジェクトの合間を縫って2ヶ月ほどの期間で最終化していきました。
―Coum Wayに込められた想いを教えてください。
Coumは、少数のスタープレーヤーによって牽引される組織ではなく、共通の価値観や行動特性をもつ社員が一丸となって「組織としての価値」を提供していくような組織モデルを目指しています。また、プロフェッショナリズムだけでなく、時代の変化や事業の将来性、人々の働き方やキャリア観の変化なども考慮しながら、「これからの時代のプロフェッショナルファーム」としての在り方を意識しながらコンセプトを策定しました。
Coum Wayは3つのコンセプトと11のキーワードで構成されています。プロフェッショナル・チームワーク・フューチャリスティック(未来志向)という3つのコンセプトのひとつひとつが重要で、この3つが合わさることでCoumらしさが体現できると考えています。
(図:COUM Wayの3つのコンセプトと11のキーワード)
例えば、「チームワーク」というコンセプトの中には、「感受性」というキーワードがあります。コンサルタントが多い組織としては、ユニークではないでしょうか。コンサルティングファームの中には、個々のクライアントワークの成果に重きがおかれ、組織としての一体感は重視しない組織もあります。
しかし、総合的な付加価値を提供することを重視するCoumでは、お互いを理解し、それぞれ強みを持ち寄ってクライアントの課題解決に取り組まなければなりません。ときに協働する相手は社外のパートナーのこともあります。そんな中、いきなりお互い理解し協力しなさいという前に、組織のカルチャーとして相手に興味を持つこと、相手を感じること、受け止めることから関係構築を始めることが大事だと考えています。
―Coum Wayを浸透させるためにどのような取り組みをされていますか?
このCoum Wayは、プロとして最低限守るべき最大公約数のようなキーワードが記載されているイメージです。各キーワードに例としてメッセージを記載していますが、解釈は個々人に任せています。Coum Wayを自分なりに咀嚼し、考え、自分が提供するサービスにどのように適用できるか考えてほしいと思っています。
Coum Wayを定着化させるために、チームの定例会議では、各自が持ち回りでキーワードに紐付く具体的なエピソードを述べてもらうことにしています。仕事を通して大事だと思ったキーワードでも、自分がこれからがんばっていきたいキーワードでも構いません。身近な話と重ねることで、キーワードを自らの体験として咀嚼し、自分のものにしていってもらうことが目的です。
(写真:Coumでは定期的に、チームでCoum Wayを振り返り、自分事化する時間をもつ)
―採用のプロセスでも、Coum Wayは活用されていますか?
Coumでは、カルチャーフィットを重要視した採用活動をしています。よって、ミッションへの共感やCoum Wayの3つのキーコンセプトとのフィット感も、専門性などのスキルと等しく、採用基準の大きなウエイトを占めています。
それぞれの採用プロセスで見極めの重みを変えていますが、例えば最終面接の私の段階ではフューチャリスティックをしっかり見ています。Coumそのものがこれから拡大や変化していく中で、積極性や挑戦心、そして好奇心を持って新たな可能性をもたらしてくれる方にぜひ入社してほしいと考えているからです。
―浸透における課題はありますか?
Coum Wayのすべてのキーワードを、それぞれが満遍なく網羅することが重要なのか、それとも個々人のパーソナリティや特性によって、得意・不得意があってもいいのかは悩むところです。
例えば、「協働」・「相互信頼」などは比較的浸透しやすいキーワードです。一方、「大局観」のようなキーワードは、日常の中で意識することが難しい社員が多いようです。半年に一度行う評価のタイミングで、「今後注力したい、Coum Wayのキーワードは何か?」と聞く項目を設けています。そのような機会に、それぞれが自身の伸ばしたいテーマについて、内省し目標設定した上で研鑽するサイクルを回して欲しいと思っています。
▶Coumに関する詳細は、採用サイトをご覧ください
※本記事は、Forbes CAREERに掲載されたコンテンツの転載記事です。