サウジアラビア王国の料理人
サウジアラビアの首都リヤドで日本食レストランの料理長をされている片淵さんがゲストにお迎えしてお話を伺いました。
【片淵さん】
・元々は寿司の板前をしていた
・築地市場でも働いていた
・いつか海外で働いてみたいと思っていたので外務省の公邸料理人に応募
・カナダ、メキシコ、東ティモール、サウジアラビアと4つの候補国があった
・公邸料理人になると1ヶ月間休暇がとれるが、一番行きたいと思ったカナダは往復航空券が40万円とあまりに高く、メキシコは他の人に決まったので、最終的にサウジアラビアを選択
・サウジに決めたと外務省の担当者に伝えると、「本当にサウジに行ってくれますか?」「自分で行きたいという人はなかなかいないので」と驚かれた
・大使と面接して合格が決めると、またまた外務省の担当者から、「本当にサウジに行ってくれますか?」と念を押された
・担当者は、「特別何があるわけではなく、得体の知れない国だから敬遠されるんです」と説明されて納得
・公邸料理人を辞めたあとはリヤドの日本食レストランの料理長として採用され現在に至る
・日本より給料が1.8倍で、無税なので全て手取り収入なのが決め手
【外国人居住区】
・アメリカ人が多い外国人居住区から中継してくれました
・ゴルフ場や野球場、子供用の遊興施設などもある
・野球場では毎週土曜日に日本人達がソフトボールを楽しんでいる
・ゴルフはハーフ(9ホール)で居住者が80リアル(2,400円)、非居住者が150リアル(4,500円)
【日本】
・サウジアラビアでは日本は一番人気。アメリカは4番目くらい。
・アニメと車、ITの影響が強い
・サウジには日本人会が首都リヤド(アラビア半島の真ん中)とジッダの2箇所にある
・リヤドでさえ日本人会には250人程度(家族も含めて)なので、町を歩いて日本人に会うことは100%ない
・それだけ希少性があるので、サウジ人に日本人だと伝えるととっても感激してくれる
・商社マンと金融マンが多い。鉄道関係の人もいる。
・商社は水のプラントに関わっている人もいる
【ラマダン】
・4月いっぱいまでラマダン
・日中はタバコも水は禁止。ツバも飲み込めない
・外国人でさえ外でタバコを吸っていると逮捕される
・飲食店は昼間も空いていないので、他宗教の人にとっても辛い時期
【社会】
・通称MBSと呼ばれているムハンマド皇太子が行う変革の一貫で宗教警察もなくなった
・宗教警察に目をつけられると、長い棍棒で地面を叩かれながら脅されていた
・女性蔑視や刑法が厳しすぎると他国からも批判を受けていたことも変革している
・国内では「2030年ビジョン」と呼ばれるキャンペーンが盛大に行われている
・2030年までに近代化国家になり先進国の仲間入りを目指しているキャンペーン
・全身を覆うロングコート風の衣装「アバーヤ」や髪は専用のスカーフ「ヒジャブ」で隠す。 顔には目元以外を隠す布「ニカブ」などは黒一色だったが、強制はしないという方向に流れにしようとしているが、なかなか変わらない状況
・ただ若い女性は柄が入ったアバーヤを着始めている
・日本で言えば江戸時代から明治時代になる端境期のような時期
・片淵さんが赴任してきた4年前は女性は働く場所がなく、スーパーのレジでさえ全部男性が働いていた。今はたくさんの女性が働いている
・4年前の赴任当時は男性は白色、女性は黒色の服を来ていて、町は白と黒の二色だけだった
・女性の運転も禁止されていたが今は解禁
・ウーバーも女性ドライバーに2名も会った
【サウジアラビア】
・一言でいうと「解放された明るい北朝鮮」
・選挙はなく、全て王族が決める
・大臣などはほとんど王族が占めている
・民衆は民主主義に近い制度の中で守られている
・表立って政権を非難しないかぎり問題はない
・独裁国だが、中国などと違っていて、他国の情報は全て入っている
・ウクライナのこともオンタイム&検閲無しで報道されている
・YouTube、インスタ、ツイッター全てOK
【実は戦争中】
・サウジアラビアはイエメンと戦争中
・月に2~3回はイエメンからミサイルが打ち込まれている
・アメリカの迎撃システムで撃ち落とされている
・たまに空からものすごい音がしたらミサイル
・ミサイルに当って亡くなることはないが、迎撃システムが撃ち落とした破片に当って亡くなる人もいる
・イエメンの内戦でサウジアラビアが暫定政権を支持したことなども戦争の原因となっている
・サウジアラビアもイエメンを攻撃している
【いろいろ】
【イスラム教徒】
・日本ではテロの影響で危険なイメージがあるが全然違う
・イスラム教徒は信仰に対して敬虔
・お酒は禁止されているが隠れて飲む人もいる
・なかには日本で豚骨ラーメンを食べた人もいる
【サウジアラビア人】
・温厚、フレンドリー、明るく、とても親切
・良い人が多い
・ただ仕事などで失敗したらまず言い訳から入る
【社会2】
・刑罰が厳しいので、恐ろしいほど治安が良い
・窃盗をして裁判所に行くと、「どちらの手で盗んだ?」と聞かれ、答えるとその手首を切り落とされる
・車の運転はひどい
・飲酒は禁止されており、ワイン1杯と覚醒剤1グラム所持は同じレベルの罪
・飲酒が見つかると、ムチウチの刑(50~100回ほど)
・外国人が見つかると、国力によって刑の重さが変わることがある(例:大国だと無罪だが、小国は3回ムチウチとか)
・絶対にお酒は持ち込めない
・警察には賄賂は通用されない
・ラクダ肉はパサパサで固い
【公邸料理人】
・サウジアラビアを選んだ理由の一つに大使館にダイニングテーブルだけじゃなく、カウンターがあったこと
・片淵さんは寿司職人なのでカウンターが良い
・カウンターだと少人数しか入れないので、色々と込み入ったお話をするのに丁度良く、親近感も湧きやすい
・大使館には当然王族の方々が来られることがあった
【王族】
・王族は大きなお屋敷に住んでおりあまり外出はされない
・現在のお店には王子が来たことがある
・ただ王子だけでも250~300人ほどいるので希少性はそれほどはない
・子供が王族として認められたときから最低でも毎月120万円ほど支給される
【観光】
・ムハンマド皇太子が観光に力を入れるようになったため、現在では他宗教の方にもビザを発行している
・リヤド市内から車で30分のところに赤い砂漠があり、レンタルバギーで砂漠を走れる
・砂漠の真ん中にゴルフ場がある
https://www.visitsaudi.com/.../adventure.../majestic-dunes
・遊牧民ベドウィンもいる
・リヤドから車で3時間のところにエッジ オブ ザ ワールドというグランドキャニオンのような絶景ポイントがある
手すりがないので毎年3~4人くらい滑落して亡くなっている
・世界一大きなクレーターがある
・ウラーという所は映画スター・ウォーズの世界のような景色
・聖地メッカは他宗教の人は入れない
【片淵さんのYouTube】
・肥満な人が多い
・成人病や糖尿病が極端に多い
・移動は車、外は暑いので室内にずっといるので慢性的な運動不足
・そういう事情もあって肉についている油分を全部取り外している
・鶏肉は皮を剥いだ胸肉のみでもも肉は食べない
・それでもデーツなど甘いものを食事前でも大量に食べる
・そうした事情を見て片淵さんは健康的な低カロリー高タンパクの日本食を広めたいとYouTubeを始めた
・サウジアラビア人の健康のためにもチャンネル登録お願いします!!
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コメント:
片淵さんのお話があまりに面白く上手なのでずっと聞いていました。質問したいことはたくさんあったのですが、ほとんど聞けなかったので第2弾是非開催したいです。
一番惹かれたのは今のサウジアラビアは日本で言えば江戸時代から明治時代に変わるかのような時代の転換期だということ。今だったらまだ昔の風俗や習慣が色濃く残っていると思うので、出来れば訪れてみたい国となりました。
驚いたのはサウジが戦争中だということ。世界の色んな国で紛争って起こっているんですね。
腕の良い料理人となれば色んな国で働けるチャンスもあるので、今からでも料理人になりたいなぁ。。。
片淵さんはサービス精神が旺盛で、外国人居住区を歩き回って色んな場所を中継してくださいました。ご親切に有難う御座いました。
片淵さんのツイッター: https://twitter.com/01Yochan