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イラク在住者のお話

イラクの日系NPOで働いている 牧野 アンドレ さんのお話をシェアします。

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牧野アンドレさん


・父はドイツ人、母は日本人で日本で生まれ、日本で育つ

・家庭内では父とはドイツ語で会話

・数年に一度、ドイツで生活しました

・ベルリンの大学に1年間留学

・ベルリンは人口の1%が移民だった

・当時、中東やアフリカから来る移民が話題になっていたので、春休みに1ヶ月間、ギリシャの現地へ行きボランティアをする

・日本の大学に進学。ヨルダンで1年間、アラビア語を学び、イギリスの大学院へ進学。

・2019年に現在のイラクはアルビルのNPOで働き始めた

 

NPO

・NPOは即戦力を求めているので、アンドレさんのような新卒採用は珍しい

・欧米のNPOは福利厚生もしっかりしており、休暇が多く、給料も同じ仕事の同じキャリアであれば、日本のNPOの倍は貰える

・欧米は寄付文化が根づいているのが大きい

・欧米と比べて日本は企業の協力がもっとあったほうがいいと感じる

・アンドレさんの給与はこちらで公表されています。

https://codamablog.com/2021/05/03/moneyandngo/

  

JIM-NET(日本イラク医療支援ネットワーク)

・元々は2004年にイラク戦争の時、アメリカ軍が核物質を使った劣化ウラン弾を使用したのが原因なのかは不明だが、特殊な型の小児がんが激増

・小児がんを救う為に活動をするようになった

・こういったマイナーな社会問題に取り組むことがNPOの役目。大きなことは国や国連などの大きな組織が行うので。

・かゆいところに手が届く活動をしているのがNPO

・徐々に改善されており、実績が上がっている

・アンドレさんは8時に出勤し、15時まで仕事をされている

・主にマネージメントをしていて、現場のプロジェクトを統括している

・イラクでは小児がん支援と難民支援をしている

・イラクには3つの難民キャンプがあり、来月からまた増える

・院内学級もある

・現場のことは主に現地スタッフに任せており、彼らを育てるのも重要なお仕事

 

クルド人

・現在住んでいるアルビルは、クルド人自治区内にある

・中東では、「人が良いのがクルド人」と言われている

・日本人に似て奥ゆかしい

・外国人だからといって声をかけずに、ちょっとひいて見ている

・外からのお客さんを大切にする

・イギリスの大学院時代にクルド人自治区を旅した時、クルド人の友人が食事代、宿代、タクシー代、全て出してくれた。次の町に行くと、紹介してくれた人たちが同じようにもてなしてくれた。お金を使ったのは町から町への移動代くらいなので、2週間で1万円くらいしか使わなかった。

  https://codamablog.com/2019/01/13/kurdistan1/

・彼らにとっては外からくる人は客か敵かという感覚

・客は貴重な情報源なので大切にされる

・現地スタッフがクルドの省庁に陳情に行くとき、外国人を連れて行くことがある。クルド人の国民性で外国人には良い顔をしたくなるので、有利に交渉を進めることが出来たりする。

・クルドでの生活は苦にならない

 

観光

・クルド人自治区だと日本人はビザ無しで入国できる

・ただし観光客はまだいない

・イラクの中央政府だとビザが必要(約50ドル)

・2018年にISから解放されたのに、すぐにコロナが始まったので観光はまだまだ

・ヨーロッパ人には山のトレッキングが人気

・ただし、地雷原がまだある

・数年したら観光もオープンされる予定

・メソポタミア文明の場所なので観光地はたくさんある

・砂漠のイメージが強いが、風光明媚な場所も多い

・食べ物は鯉が美味しい

・ケバブはラム肉のひき肉を使用

・パチャという羊を全て使った料理がある。腸にご飯詰めしたり。クルド人は朝から食べる。専門レストランがある。

https://twitter.com/andre_makino/status/1461464986828427266

・アルビルの円形の町の中心にはアルビル城がある(3000~4000年の歴史がある)

 

難民キャンプ

・クルド人自治区にはシリア難民が20万人いる

・クルドの難民キャンプの特徴は難民がそこで働けること

・ヨルダンの難民キャンプは悲壮感が漂っていた

・支援はあるが働けないので、男性は一日することがない。支援漬けのように見えた。

・クルドのキャンプは明るい。働けるかどうかが大きい。

・人生にとって労働は大事。働いて人生の主導権を取っている。

・支援にも差がある

・シリア難民のキャンプは石造りの家があったり、道路が舗装されていたり、緑が見える

・ヤズディ教徒のキャンプはテントばかり、道路は舗装されていない、緑がない

・お金を出す人や組織が誰を支援するかを決めるので、紐付けられている

 

観光2

・北部イラクは緑が豊かで、豪雪地帯もある

・休日はピクニックに行ってBBQをすることが人気

・春は最高、夏は大変

・ヤズディ教の聖地では聖地全体で土足厳禁なので、道路も靴を脱がなくてはならないので大変

・ヤズディ教はキリスト教、ユダヤ教、イスラム教など色んなものが混ざっている

・太陽を崇拝している

・ヤズディ教徒以外とは結婚しないので、内容があまり知られていない

 

国内状況

・ISとの戦闘は限定的だが治安を脅かしている

・イラク国民の60%は親イランのシーア派と半イランのシーア派ナショナリスト、40%はスンニー派(クルド人など)(ざっとです)

・90%以上は石油収入、世界5位の産油国

・腐敗が酷いので、他の産油国のように国民に富が行き渡らない

・一部の富裕層のポケットに入っている

・ガソリンの購入には補助金がおりるが、クルド人自治区には降りていない

 

社会

・運転が荒い

・イスラム教の教えの影響で、スリなどの軽犯罪が全くない

・両替所などはお金が出しっぱなしで、山積みになっている

・中心地の一部地域は気を付けなければならないが、ほとんどは安全

・銃犯罪がちょこちょこある。各家庭には一丁ある。

・名誉が大切にされているため

・女性にちょっかいを出したり、土地を巡った争いなど、名誉を汚されると銃が使われる

・「結婚したい」と言って断られると、名誉を汚されたとされ殺されたりする(名誉殺人)

・イスラム教には恋愛はなく結婚があるのみ。学生は付き合っているとバレたら大変なので隠れて付き合っている

・いざ結婚となっても、全く知らないふりをして「町でみかけた」などと言ってごまかす

・10年前に女性がジーンズを履くなんて考えられなかったが、今は政府の後押しもあって女性の社会進出も広がっている

・政府は名誉殺人はよくないことだと宣伝しているので、ゆっくりと広まっている

・ヒジャブは被らなくても大丈夫

・ヨーロッパの女性が半袖短パンで歩いているが、現地の人達からはあまりよく思われていない

 

質問

Q「心が折れることはありませんか?」

A「初めて難民キャンプに行った時に、難民からたくさんの悲劇的な話を聞いてだいぶ感情を揺さぶれていたが、段々と話を聞いても自分ごとにせず、感情移入しないようになっていった」

Q「モチベーションを保つにはどうされていますか?」

A「現地スタッフの成長に協力出来たり、見守ることができること。彼らはパソコンを持てない貧しい家庭に育っているので、エクセルやワードなども教えて、出来るようになっている。基本的にNGOは部外者であるので、この先彼らが引っ張っていけるように育てることが大事」

 

いろいろ

・2020年には誰もマスクしておらず、8月にはコロナ問題を解決していた

・買い物は男性がしている

・今年は砂嵐がすごい。年に一回レベルの砂嵐が2週間に一回の頻度でやってくる

https://twitter.com/andre_makino/status/1530701956708151296

・砂嵐が来ると家から出られない。クーラーをつけると家に砂が入ってくる。口の中、砂の味がする。

・日本人はアルビルには10人しかいない。国連や領事館のスタッフが多い

・NetflixやKindleは使えるので娯楽がある。昔はベランダでタバコ吸うくらいしか楽しみがなかったそうだ

 

牧野アンドレさん関連リンク

ツイッター:https://twitter.com/andre_makino

ブログ:https://codamablog.com/

WorldVoice記事:https://www.newsweekjapan.jp/worldvoice/makino/

特定非営利活動法人JIM-NET(日本イラク医療支援ネットワーク):https://www.jim-net.org/

 
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まさかイラクに住まれている方と話せるとは思っていなかったです。アンドレさんが見せてくれたイラクの美しい自然の写真が印象的でした。ヨーロッパとはまた違うメルヘンの世界です。
 
さらに優しくおもてなし好きなクルド人、人生にとって働くことの大切さ、紐付きの援助など、ひとつひとつのお話が勉強になりました。アンドレさん、有難う御座いました。この先どんなキャリアを積んでいかれるのか注目しています(^_-)

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