大好きなバンドと会えた日
世界で一番大好きなバンドSimple Planのライブと翌日のフェスPUNKSPRINGのため遠征。SPのライブの前にはVIPイベントもある。
パンスプにSPが出ると発表されてからのここ半年くらいは、この日を楽しみに生きていたようなものだ。
2023年3月24日。定刻の正午をすこし過ぎて、曇り空の羽田空港に着陸した。
到着ゲートを出ると、学生時代に知り合ったSP仲間の友達が待ってくれていた。空港で誰かに出迎えてもらうことってあんまりないので、それだけでも嬉しい。しかも5年半ぶりの再会。前回のSimple Planのライブ以来だ。
今回の会場はZepp Haneda。2019年に開業したばかりの羽田イノベーションシティにあるライブハウス。最寄りは天空橋駅と、空港からすぐなので、地方遠征組にとっては実に都合のいい立地だ。
早々にイノベーションシティに着いたものの、VIPの集合時間は15時半なのでまだまだ時間がある。
スーツケースをコインロッカーに預け、近くのカフェでランチしながら待つことにした。
友達とお互いの近況や仕事の話、それからSimple Planの話などなど。いろんなことを話していたら、いつの間にか15時近くになっていた。
外に出ると雨がぱらつき始めていた。カフェの数十メートル先の会場の入り口近くにはSPグッズを身に付けたファンと思しき人たちが徐々に集まってきている。わたしたちも、楽しみと緊張とちょっとの不安とでわくわくそわそわしながらその列に加わった。
15時半。VIPの受付が始まった。VIPアップグレードを購入した際の決済完了のメールとその日の公演のチケット、写真付き身分証明書を確認してもらい、入場列に並ぶ。並んでいる間にパスが配られた。相変わらずSPはデザインが可愛い。
そこから1時間以上待機してようやく入場。ずいぶん待たされたけど、SPに会える楽しみと、終わってほしくないからまだ始まらないでほしいという気持ちとで待ち時間は苦にはならなかった。雨に濡れて寒かったことを除いて。
会場内に入ると、SPのメンバーがステージ上で待っていた。
わたしたちはステージ下の柵に沿って並ぶ。ここで押し合ったりだとか割り込んだりとかせずにお行儀よく並んでいるの、ほんと日本だなと思う。
わたしたちと友達は、ちょうどステージに向かって右側寄りの、リズムギターのセブの前あたりに並ぶことができた。
また会えた。大好きなSimple Planのみんなが、いま、目の前にいる……なんという幸せだろう。
みんな全然変わらない。昔からずっと変わらない優しい笑顔だ。
その感動をしみじみと噛み締めていた。言葉にならなかった。
みんな同じ気持ちなのか、VIPの列はしーんとしていた。
ヴォーカルのピエールやセブが「随分静かだね」と笑いながら言う。それでようやくVIPの列から「Hello!」なんて声が飛び始めた。
VIPのメインイベントはサウンドチェックパーティー。SPがサウンドチェックしているところを見学できるというもの。その様子を写真に撮ってもOKだ。
ただ、サウンドチェックパーティーと称して実質スペシャルライブだった。
ピエールが「何かリクエストはない?」と訊いてくれる。
みんなが口々に曲名をリクエストするが、わたしには難しかった。だって全部好きだし何でも聴きたいんだもの、選べない。
3曲も演奏してくれた。
元気で明るいアップテンポな「Grow Up」
コーラスが美しいバラード曲「Astronaut」
ピエールの弾き語りで「The Lucky One」
すっごく贅沢な時間だ。特にAstronautを聴いたときには、思わず涙がこぼれてしまった。
サウンドチェックの後、メンバーがステージの下に降りてきてくれた。そこでまずは集合写真を撮影。
その後、ひとりずつ写真撮影。撮影後に何かひとつに直接サインをしてもらえて、その間に彼らと話をすることができる。
前記事で書いた通り、わたしは前回のVIPでまともに話すことができなかったショックから英会話教室に通い始めた。
昨年10月にZebraheadのライブ前にヴォーカルのエイドリアンと話ができたことで、少しは自信が持てるようになっていたが、果たして今回はうまくいったのか……
結果。まじで喋れんwww
いや、話せはしたのだけれども、本当に中学1年生の教科書の会話かってくらい簡単な言葉しか出てこなくて。一言喋っては相槌を打ってもらい、また一言……という感じで、会話した感はあんまりなかった。あと何を喋ったのか記憶がない。やっぱり本命相手だと頭が真っ白になってしまうようだ。
スタッフの方が写真を撮った後に気を利かせて動画に切り替えて撮影してくれていたのだけども、その動画を見返すと、彼らと話をしていた時間はほんの15秒ほどだった。もっと話せる人はもっと長い時間話していたから、もっとわたしの力があればと思わずにはいられない。
ただ、相槌を打ってくれたり言葉を返してくれたりしたので、気持ちは伝わっていたんだと思いたい。できればSPの方からも文章でリアクションが欲しかったけど、質問返ししてもらえないようなことしか言えなかった自分がいけないのだ。たぶんわたしの発言から語学力の低さがバレたんで簡単な言葉だけ返してくれた可能性もある。
大好きなバンドメンバーとの幸せすぎる時間は一瞬にして終わってしまったが、この後がライブ本番。VIP特典で優先入場できるから、最前列はほとんど確定したようなもの。お楽しみはまだまだ続くのだ。(続く)