システム運用・保守の依存症から抜けきれない日本のSIer
あくまで個人的な思いですが、スクラッチのSIビジネスはもうかなりむずかしいと感じたのが去年の1年間だったかな。
スクラッチの開発は難しいし、僕もなっていましたが運用・保守への依存症を克服しないままだとスクラッチ開発はできない。
運用・保守への依存症を克服していくなら千万円単位の10から50人月程度の大規模改修からリハビリした方がいいです。
運用・保守しか経験がないエンジニア・マネージャーがいきなりスクラッチ開発は無理です。
僕はシステム開発・導入をしてコスト削減、売り上げ上昇、業務改善などのどれかが可視化されないシステム開発はあまり好きではなくて。
目的のよくわからないシステム開発は開発者はストレスがたまります。
初期のERP導入はメインフレームのリプレースよりも会計業務のモダナイズがありました。
あとは2000年対応です。
目的がはっきりしていました。
クラウド化はいまは効果がはっきりしなくなったのですが、最初はITコスト低減の目的がありました。
いまはありますよ、開発という手段が目的化しているシステム開発。
リアル世界の業務を見直す目的ではないシステム開発があります。
SaaS・パッケージ自体の開発は目的がはっきりしないでやるケースはあまりないですね。
Salesforceを導入するとしてリアル世界の業務は変わります。
そこにSFAなら営業効率改善、CRMなら顧客満足の向上、MAならデータを分析して活かすなどの目的があります。
メーカー系SIer(御三家+NTTデータ+日本IBM)のオファリングへのシフトはある意味では手段を目的化しないで正しいかもしれないです。
目的に対していきなりスクラッチをやる提案をやめた。
目的は業務解決のソリューションをすることであって、スクラッチで人月単価の差を使ったピンハネをすることをやめた。
銀行で結局、メガバン以外でパッケージ・クラウド(共同センター)でないところはなくなったのでは?
銀行ですらスクラッチ離れが起こっている。
NTTデータの銀行向けクラウドのMEJARでの開発コストの回収は楽ではないと思います。
それでも参加行は増えているし、もうNTTデータが銀行ごとにスクラッチのシステムを開発しないで済むメリットを考えれば、投資効果はあったでしょうね。
運用・保守の依存症は気になっていたのですが、現場を見ていて、ここまで現場が荒れているとも思わなかったです。
学習とかで待機要員を大量に発生させても平気なのは運用・保守のマネジメント。
運用・保守でやるような作業事項確認や申し送りの朝礼が当たり前になっている。
運用・保守は待ちのイベントはありというか、待ちの業務。
開発だとそんなコストは発生させられない。
開発はとにかく手を動かせのマネジメントなんすよ。
開発は攻めの業務。
少しでも検証や成果物を出していかないとスケジュールがきつくなる。
そうすると学習はとにかく手を動かせですし、もともとリモートでTeamsなどのメッセージツールがあるのに朝礼などはいらなくなる。
マインド・スキルセットが運用・保守のままスクラッチのシステム開発をすると失敗すると思います。
マインド・スキルセットを変えないと生成AI時代のスクラッチ開発はできない。
リスク管理も運用・保守と開発だと違います。
こうなったのは企業がいまはシステム投資をするお金があるから、ここでモダナイズしたいと無理をしているんでしょう。
モダナイズはするけどDXはしない。
ただ、億の予算をコントロールできる営業もPMももういない。
億の予算は余裕があるように見えますが、それだけでかいシステム開発は綿密な計画がないと動かせない。
小さいシステムよりも逆に歯車がひとつ狂っただけ時の影響が大きい。
デスマーチ案件はDX投資で結構、あるんじゃないかな?
情シスでリーマンショックからこっちスクラッチ開発があったところはそんなに多くなかったですからね。
あったとしたらSalesforceの導入。
これでも苦労しているユーザー企業はあります。