理不尽も破綻も一切ない!涙なしには語れない名ストーリー後半戦解説②
こんにちは、綿菓子と申します。この記事は前回の記事の続きとなります。まだの方はそちらの記事をご覧下さい。
見てもよく分からなかったよ!って人は
マヒト≒アオサギ
マヒト君めっちゃ成長してる
鳥は人の心の弱さを示している
ってことを抑えてくれればOKです!
それでは後半戦解説を行っていきます。
はじめに
皆さんは後半のストーリーを見てどう解釈したでしょうか。そのまま解釈すると次のように受け取ると思います。
「マヒト君がヒミちゃんと出会い、夏子さんと和解し、大叔父の提案を跳ね除け元の世界へと戻る物語」
私もこの解釈でみています。
しかし、今回語るのはマヒト君視点の物語ではありません。では誰の視点で語るのか
ヒミちゃんです。私は後半戦の主人公はどちらかというとヒミちゃんだと考えています。
というわけでヒミちゃん視点のストーリーを解き明かしていきましょう。
第1章 あの世界の裏で何が起こっていたのか
なぜヒミちゃんは1年間帰ってこなかったのか
さて、ヒミちゃんの視点での物語を語るために、まず、ヒミちゃんが何をしようとしたのか考察していきます。最初に考えるべきはヒミちゃんが1年間帰ってこなかったことです。
ここでなぜ1年間帰ってこなかったか、ということを考えてしまいますが、そもそもヒミちゃんがなぜ帰ってきたのか考えるとそれはマヒト君が今回の件を起こしたからなので・・・、
そもそもヒミちゃんは帰る気がなかった可能性が高いです。
さて、ヒミちゃんが帰ってこない場合、後半のストーリーはどうなるのでしょうか?この場合、マヒト君が生まれなくなり、マヒト君の分身であるアオサギもいなくなります。
よって登場人物は次の通りとなります。
後継者が欲しい大叔父
創作世界から帰る気のなかったヒミちゃん
おなかに子を宿した夏子さん
何か嫌な予感がしますね・・・。おそらく本来の後継者はマヒト君ではなく夏子さんの子供だったのではないかと思います。
とりあえず中間地点としてまとめるとこうなります。
「ヒミちゃんは創作世界に引きこもるために夏子さんの子供を後継者にしようとする。そこにイレギュラーとなるマヒト君が表れる」
こんなところになります。ではもう少し深堀りしていきましょう。
ヒミちゃんが起こそうとした計画
さて、ヒミちゃんが夏子さんの子供を後継者にしようとしたのはわかりましたが、なぜヒミちゃんが後継者になるのではなく夏子さんの子供が後継者なのでしょうか?
ヒミちゃんに無くて夏子さんの子供にあるものがある?もしくは逆?と考えた時に、あるシーンがつながってきます。
綺麗な積み木を渡されようとしてマヒト君は「僕には悪意があるから受け取れない」というシーンがありました。
ここから次のことを考えました。
ヒミちゃんは恐らくマヒト君と同じ結論にたどり着いたのではないでしょうか。そして「それから?」に対してマヒト君は外に出る選択をしましたが、創作世界に残りたいヒミちゃんはこう考えたのではないでしょうか。
「綺麗な積み木を悪意のないものに積ませてしまえばよい」
こうして生まれたのが楽園計画。夏子さんの子供を生まれてから創作世界に閉じ込め続け穢れに一切触れさせないことで悪意のない世界を作るつもりだったのでしょう。
恐らく夏子さんもヒミちゃんが外に出て亡くならないようにこの計画に協力することになったのではないでしょうか。(夏子さんだいぶエグい2択突きつけられてませんかね…)
ということで「創作世界に閉じこもり楽園計画を作り上げた少女」
これがヒミちゃんのストーリ―開始前の状況になります。
では後半戦のストーリーを解説していきましょう。
第2章 ヒミちゃん視点の物語
ヒミちゃんは人の悪意が、弱さがひどく嫌いです。今日もペリカンを焼き、インコを焼き・・・しかしそんな日々もあと少し。夏子さんの子供が生まれれば楽園を作ることができる。そんな時にマヒト君が表れます。
現れたマヒト君は彼を助けたヒミちゃんに彼の母親の面影を重ねます。しかし、ヒミちゃんにはそれは迷惑だったことでしょう。
ヒミちゃんはマヒト君を遠ざけるために現実世界へと帰そうとします。
マヒト君の「まだ帰らない」という意見を無視し、ヒミちゃんは元の世界への扉を開きます。扉の先にはマヒトの父親がいました。
ヒミちゃんに「弱さ」を見せていたマヒト君は恐らく父親の元へ行くだろう・・・。そう考えていましたが、マヒト君はなお夏子さんの元へ向かおうとします。
マヒト君の夏子さんを助ける意思の強さを見たヒミちゃんは夏子さんの元へマヒト君を連れていくことになります。
ただ、この時にヒミちゃんはマヒト君が夏子さんを助けられるとは考えていなかったと思われます。
恐らくはマヒト君は使命感、もしくは優しさで夏子さんを助けに来たと考えていたのではないでしょうか。
夏子さんに拒絶してもらい、マヒト君に諦めてもらう為に夏子さんにマヒト君だけを進ませます。
そこで起きたのは、ヒミちゃんが目にしたのは、
互いを拒絶し、相手を憎み、相手に甘え、互いに弱みを全力でぶつけ合いながら、なおそこにある家族愛だったというわけです。
今まで人の悪意を憎み、体を炎で囲み、他人を拒絶していたヒミちゃんにその二人の姿は、その家族愛は、一体どのように映ったのでしょうか・・・。
ともかく、ここでヒミちゃんは自分の楽園計画が間違っていたことを認めます。
マヒト君に加勢し、それでも助けられなかった夏子さんを世界から解放するため石に、世界に祈ります。
そして恐らくこの世界への祈りが世界崩壊のトリガーになっています。
なのでこの異世界が滅んだのは大叔父の寿命でも、マヒト君が継承を拒んだためでもなく、
ヒミちゃんが楽園世界を望むことをやめたから、「バルス」を唱えたからこの世界は滅んだのではないか、と考えます。
第3章 崩壊する世界で
異世界の崩壊が始まり、大叔父は1日だけその期限を延ばし、マヒト君に後継者になることを提案します。しかし、マヒト君は提案を石に悪意があると拒否します。
ただ、すでにマヒト君は夏子さんと悪意と弱さをぶつける体験をしているので、悪意そのものを嫌っているわけではないと思います。
なのでここの解釈は「あなたの悪意"全て"を受け取ることはできない」だと考えています。
さて、後継者を拒んだマヒト君は、夏子さんに悪意をぶつける=赤ちゃんに穢れを与えるというタブーを犯したため処刑されそうになります。
これを助けたのがアオサギ、二人は協力し、ヒミちゃんを追いかけていきます。
一方ヒミちゃんは国王に連れられ、大叔父の元まで連れられます。
(ここで国王が大叔父に手を差し伸べるところで国王が大叔父の心の弱さということがわかります。)
ヒミちゃんは大叔父にいいます。
「どうしよう!マヒト君が!」
(私の代わりにこの世界に取り込まれてしまうかもしれない!)
それに対し、大叔父は「マヒトは継がないだろう」と優しく諭します。
そして再会後、マヒト、マヒトの心の弱さであるアオサギ、ヒミちゃん、大叔父、大叔父の心の弱さである国王の5人でこの世界最後の対談が始まります。
マヒト君は綺麗な積み木に魅せられつつも、アオサギと、自分の弱さと和解したことで、「自分には悪意がある」と言います。
続く「それから?」の問いにはヒミちゃんと違い、「外で友達を作る」と言い、創作世界から出ることを宣言します。
こうして世界の崩壊は確定し、崩壊する世界から2人は逃げ出します。
現世へのドアの前でヒミちゃんはマヒト君に自分が将来死ぬことを伝えられますが、「それでもマヒトを産みたい」といい、ドアに手をかけます。
マヒト君と夏子さんのような関係を自分の力で見つけるため、今までの、他人の悪意を恐れ、創作世界に閉じこもり、楽園計画まで作り上げてしまった悲しき自分自身、そんな自分自身をマヒト君と夏子さんに救い出してもらうために、彼女は元の世界へと帰るのです。
これで物語が一周します。
結論: マヒト君と夏子さんがヒミちゃんを救い出す物語
おわりに
ここでは多くは語りません。
できれば宮崎駿監督の大名作「君たちはどう生きるか」が多くの人に絶賛されてほしいと思います。
ではでは。