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私は決して誰かの痛みを引き受けられない【映画 ファーストラヴ】

私もまた、予告での芳根京子の狂気な笑みに釣られて劇場へ走った1人だった。

映画、ファーストラヴを観た。

川沿いを血まみれで歩く女子大生が逮捕された。殺されたのは彼女の父親。「動機はそちらで見つけてください。」容疑者・聖山環菜の挑発的な言葉が世間を騒がせていた。事件を取材する公認心理師・真壁由紀は、夫・我聞の弟で弁護士の庵野迦葉とともに彼女の本当の動機を探るため、面会を重ねる 二転三転する供述に翻弄され、真実が歪められる中で、由紀は環菜にどこか過去の自分と似た「何か」を感じ始めていた。そして自分の過去を知る迦葉の存在と、環菜の過去に触れたことをきっかけに、由紀は心の奥底に隠したはずの「ある記憶」と向き合うことになるのだが…。
(公式サイトより)

容疑者の女子大生環奈と自分を重ねてしまう公認心理師の由紀。
この2人は同じような「痛み」を抱えていることから映画の中でつながり得る存在なのだけれど、正直私は誰にも共感がしきれなかった。

私は彼女たちを見て、通じ合える部分もありながら自分の何かを重ね合わせることはできなかった。

それでもこの映画を観て良かったなと感じるのは、分からないことを分かることができたからだ。
「誰かの痛みを理解しようとできる自分」に酔いしれていたことに気がつくことができたからだ。

私は決して、彼女たちの痛みを引き受けられない。それは私が当事者じゃないからだ。
いくら自分事で考えようとしたって、結局は完全に自分事にはできなかった。
痛みに寄り添うことはできても、決して引き受けられない。

ただ、この映画のとあるレビューを見てひどくショックを受けたことだけは事実だ。
「彼女たちの痛み、苦しみ方は何だか大袈裟だなって感じた」
嘘でしょ?大袈裟なんかじゃない!
そう言えるほど、私は彼女たちの痛みを知らない。それがただただ悲しくて、虚しくて、感想なんて人それぞれだもんねとそっと画面を閉じた。

それにしても、環奈演じる芳根京子さんはとても面白い人だった。
芳根さんの作品を観るのはべっぴんさん以来だったから、そのギャップに恐ろしくテンションが上がった。
強くて可愛い芳根京子も好きだけど、強くはいられない芳根京子ももっと見たい!
次回作も楽しみだ。

原作は小説なんだって!知らなかった…。
文字の世界の環奈はどんな人なんだろう?

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琴美(こつ)
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