土佐つむぎ 郷土の織物でキモノを作ろう
土佐つむぎ(土佐綿紬)というのは高知県香美郡のローカル木綿織物です。高知では江戸時代から近代まで、綿花の生産が盛んでした。モンペにするなど丈夫な実用品としてたくさん売られていましたが、最後の機屋が廃業してしまい、現在はもう織られていません(手織りでの復活計画はあるらしい)。在庫品でお財布などを作って空港などで販売されています。あちこちの家に反物の在庫が眠っているようで、時々フリマに出てきます。
土佐つむぎの反物は、巻物ではなく、四角く畳んで糸で閉じてあります。
高知の実家の建て直しでキモノ類が送られてきた時、その中に祖母が買った土佐つむぎの反物が入っていたので、それでキモノを仕立ててみようと思いました。家で使うものを何か作るための在庫だったんでしょうね。昔は今のようになんでもすぐ買えるわけではなかったので、今必要がなくても、気に入った布があれば買って置いておいたものです。
仕立ては横浜の丹羽呉服店さんにお願いしました。木綿の得意なお店です。木綿はクセがあるので、慣れているお店で仕立ててもらいましょう。https://www.rakuten.co.jp/obebe/info.html
家で洗濯できるように
水通しあり
居敷当て
ばち衿
でお願いしました。木綿は水に通すとだいたい縮みます。仕立てる前に必ず水通しをしてもらいましょう。
さて、反物を糸もほどかずそのままお預けしたのですが…
「広げてみたら広幅でしたよ!」て連絡がきました。あらま。
普通、着尺の反物は幅33-36センチほどです。広幅は72センチほどあります。説明に「着尺」と書いてないものは、他の木綿織物でも広幅かもしれません。洋服など作るなら、広幅の方が便利ですものねえ。手間がかかることになりますが、それでもキモノに仕立てるのは可能です。しかし着物には長さが足りないとな。つ、対丈にしようかな!?
「いやいや、胴のところで継を入れていいならできます」
おはしょりになるあたりで隠れるように継ぎ足してもらうのですが、手間がかかります。とてもうまくやっていただきました。
出来上がったキモノで仕事。自分サイズで仕立ててもらうと着やすいですね。
木綿の長所は、丈夫で気楽に着られるところ。通気も良くて蒸れないし、虫も食わないし、シミがついてもご近所のクリーニングに出せます。木綿は普通単衣に仕立てますが、摩擦が強いので歩きにくいと苦手な方もいます。今回はやりませんでしたが、摩擦を軽減するため、胴抜きに近いような形で、大きな居敷当てや、八掛のような絹地を内側につけてもらうこともできます。それも洗濯可能な絹地でつけてくれる店もあるので、要相談です。
郷土の木綿は今も盛んに織られているところもありますが、やはり減っています。今のうちに縁のあるところの布は買っておこうかな… 木綿は、川越唐桟(とうざん)のような高級品もありますが、機械織りで一反1万円くらいです。
月兎耳庵