【OSAKA】ワークショップレポート/奈良県 東吉野村/DIYスツールキットDo Kit Yourself「DKY」を家具職人と一緒に作る。
日本各地のモノづくりを支える人たちと共に考えて作った コト や モノ を伝え、各地の工芸の職人や製造業の職人達の技術や想いを繋げるミチを作る”コトモノミチ”のワークショップレポートです。
2022年3月13日にCOTO MONO MICHI AT PARK SIDE STORE 大阪店で開催された「吉野ヒノキ DIYスツールキットで椅子を作ろう」の様子をレポートします。
講師には奈良県吉野郡東吉野村で、吉野ヒノキを使った家具を製作・販売されている(株)維鶴木工さんをお招きし【吉野ヒノキを使ったDIYスツールキットDo Kit Yourself「DKY」】を職人さんのご指導を受けながらスツールを作るワークショップを開催しました。
こちらが今回作ったスツールキット Do Kit Yourself「DKY」
今回のワークショップでは、あらかじめフレームのみ完成させておき、ペーパーコードで座面を編むところをしっかり教えていただきます。
ペーパーコードは編みやすいように、約5mほどにカットして使います。カットした後でも最初は長いのでコードを八の字にまとめておくのですが、この八の字巻き作業に(私を含め)皆さん悪戦苦闘・・・しかし!キャンプや日常でも役に立つ方法とのことで覚えておいて損なことなし!!レクチャーを受けながら最終的には皆さん出来るようになりました。
まず、座面の縦を編みます。縦は座面の比率の長さが短い方を指します。あらかじめ付けておいた印を目印に、ペーパーコードを指定回数巻いていきます。巻き回数を間違うと戻ってやり直し・・・ここは慣れるまで、何度も回数を数えながら慎重に巻いていきます。
ペーパーコードの巻き込みの際に一緒に巻いている細い板は、座面のテンションが決まるガイドのような役目の板。この板を押しながらペーパーコードを巻いていきます。ペーパーコードを巻くたびに板をしっかり押すと硬めの座面に、板のしなりに合わせて巻いていくと柔らかいソフトな座面になります。板は最後には外します。
縦が編めると椅子らしくなってきました。今度は横を編んでいきます、折り返し地点です。トータルでは5時間のワークショップ。休憩を挟みながらの作業でしたが、維鶴木工さんの「木」に関するクイズなどもあり、知らない知識を吸収。長丁場ですが穏やかな時間が流れていました。
横を編む作業は、縦を編む作業より分かりやすく数える必要がありません。ここでペーパーコードの扱いや「編む」という作業に慣れてきた手は、一気に加速します。横を編むために通しておいた縦のペーパーコードに、上を通し、下を通しと編んでいきます。昔に編んだセーターを思い出させる編み方で、だんだん椅子の形になってきました。
裏側は、維鶴木工さんのひと工夫。半分編んだところで裏の通し方を少し変えます。これはぜひ動画でご覧ください。普段は見えないけれど、裏を返しても美しい・・・この感覚は、いつの時も持っておきたい心得のような気がします。
ラストスパートです。編む隙間が無くなってくるので、ペーパーコードを通しにくくなり少し四苦八苦しますが、あと少しで出来上がる椅子を目の前に間違いのないよう最後まで、気を抜かずに編んでいきます。
途中、休憩時間や編みながらの時間に、維鶴木工さんがお話しされていた事はとても心に残りました。木を愛し、日々木に触れている職人さんだからこそのお言葉。室町時代から続く最古の人工林「吉野林業」は循環型の林業だとおっしゃっていました。循環型とは、山から木を伐り出し木材として販売し、また植林を行い木を育てていくという、地球上にある資源のみで循環することができるというもの。
大切に育てるから大切に使う、そしてまた大切に育てていく。一見当たり前のようなこの循環が今、乱れてしまっています。
木に変わる安価なものは溢れています。木が消費されなくなると、育てる事が難しくなる。放置される山々も増加し、その山たちは倒木などで荒れ果てていきます。そこへ、雨が降り土砂災害が生じている・・・
悪循環になっている今の状況を、スツールキットDo Kit Yourself「DKY」が変えることが出来る、そう信じているとおっしゃっていました。先人たちが残してくれた資源と知恵を、大切に受け継ぎ未来へと残していく。自然資源を使い、残す、”循環し続ける”ということが良いのだとわかった今、椅子を作った私たちも想いを伝えていけたらと思っています。
参加者皆さん、時間内に無事編むことが出来ました。出来あがった時の嬉しい気持ちはひとしお、座った瞬間に愛着がわき自然と笑顔になりました。材料は同じですが、編んでいる人の個性は出てきます。座面の風合いやペーパーコードも3色あるのでまた違った雰囲気に・・・木の端に紙ヤスリをかけて丸くすると、椅子の表情が変わる技も教えていただきました。さらに唯一無二の”わたしの椅子“になりそうで、試してみたいと思いました。
紙ヤスリをかけると、吉野ヒノキの香りが漂います。ヒノキの香りはリラックス効果やリフレッシュ効果があるそうです。自分で作った愛着のある椅子でリラックスできる・・・少し贅沢な時間が味わえそうです。今回のワークショップで作った椅子と入れ子になる、通常販売されている椅子のキットも気になります。少し大きくなりますが、頑張ってチャレンジしたいです。奈良の吉野のヒノキの森を想いながら・・・
ぜひ、皆さんも維鶴木工さんのページをご覧いただけたらと思います。次世代へ繋げる、吉野ヒノキのスツールキットDo Kit Yourself「DKY」のワークショップレポートでした。
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