(第一話)桜の咲くあの頃を思い出して。
今年も当たり前のように桜の蕾が膨らみを覚える。
僕は思い出したくもないような記憶を思い出してしまう。
出会ったのは数年前の少し暖かみを感じ始めたあの時。
「入学式」と書かれた大きな看板の横を通った時、
1人ぼっちで歩く僕の横を走る2人の女の子。
凄く明るくて僕とはかけ離れた世界にいるような2人だった。
教室のドアをあけ自分の机の位置が書かれた黒板を確認し、
大人しく座って時間が来るのを待っている。
先生が教室に入るのを感じ顔をあげる。
周りを見渡す。僕の頭の片隅に残っていた記憶が蘇る。
朝の子達が隣と前に座っている。こっちを不思議そうに眺める。
よろしく。とだけ呟き先生の話が始まった。