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4人とわたしの髪が白くなっても

2012年12月5日、今はもうない仮設住宅の狭すぎる一室で、寝ている母の隣で聴いたオレンジ。

きっとふたりならぜんぶうまくいくってさってさ、私もそう思ってたのにな、と思いながら、泣いた夜。

今でも鮮明に思い出せる、好きになった瞬間。

次に再生した動画では、ナース姿の女の人が全力で走っていた。もっと聴いてみたい。そう思った。

あの日から、私の毎日にはクリープハイプの歌がある。

「後になって、『あの時、あそこにいたのが彼女で本当に良かった』って、幸運に感謝できるようなのが、一番幸せなんだよ」 

伊坂幸太郎 アイネクライネナハトムジーク


時々頭に浮かぶ、この一節。あのとき聴いたのがクリープハイプの歌で本当に良かったと、何度思っただろう。

きっかけは友だちが言った「Yくん(元恋人)はどんな音楽聴いてたの?クリープハイプとか?」という一言だった。

クリープハイプ聴いてそうと思われたあの人と付き合ってなかったら。別れてもへっちゃらだったなら。もしも違うバンドだったら。今の私はいなかった。

ドキドキしながら初めて観たライブ、とてつもなくかっこよくて、心を鷲掴みにされていた。
苦しそうに歌う姿に一緒に苦しくなって、祈るような気持ちで観たライブも、今が一番だって強く思ったライブも。母親やめたい向いてないもう無理だと思いながら陽を聴いて泣いた日も、イノチミジカシコイセヨオトメに自分の気持ちを重ねて踏ん張った日も。書ききれないほどのクリープハイプとの思い出が、今の私を作ってる。

巻き戻せば恥ずかしいことばかりの人生だ。

なんでこんな人間なんだろうと、何度思ったかわからない。でも、こんな人間だったから、クリープハイプを好きだと思えたのなら、少しだけ自分にやさしくなれる気がする。

クリープハイプの魅力を、言葉にするのはすごく難しい。ありきたりなことは言いたくないし、かと言ってわかったようなことも言いたくない。

変わりたいのに変われない、本当はそのままでいいよって言ってほしい、でも変わることを諦めたくない、腹が立つことばかり、自分なんていてもいなくても一緒、誰にも必要とされてない、必要とされたい、生きるの難しい、しんどい、でもちゃんと生きてる、生きるのをやめたくはない

そんな私にひびく歌。

絶妙な温度感でそばにいてくれる歌を、作り続けてくれる人たち。

これからも、いい曲を作り続けて、鳴らし続けて、可愛いおじいちゃんになっていく4人の姿を見ることができたなら。

そう願わずにはいられない。

そして一緒に歳をとってゆく私の耳に、心に、その人たちが鳴らす音楽が、変わらずひびいていてほしい。

やっぱりあのとき聴いたのが、このバンドの歌でよかった。心からそう思う。何度でも。

#だからそれはクリープハイプ

いつもありがとう。

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