偶然だけど、偶然じゃないようなこと
少し前の土曜日、息子が朝から観ていたEテレを付けっぱなしにしていたら、ドキュメンタリーが始まった。
それはコンゴ民主共和国で起きていることについての番組で(3年前に放送されたものの再放送)、何も知らなかった私には、衝撃が大きすぎるものだった。
こんなことが実際に起こっているのか、これは本当のことなのか、あまりにもひどい、苦しい、嘘であってほしい。そう思った。
私は昔から、辛くて悲しい出来事から目を逸らしてしまう人間だ。たとえば戦争や虐待のニュース。知っても何も出来ないという事実に打ちのめされるのが苦しくて、いつも見れなかった。
でもその日、私はその番組から目が離せなかった。苦しくて、涙も止まらなかったけれど、これは知っておかなければいけないと思った。そして、ちゃんと目を逸らさずに、遠い国で起きている現実を見て(知って)、考えたいと思った。自分にできることはなにか。
しばらく放心したあと、スマートフォンでコンゴについて検索していたら、本の売上をコンゴ事業へ寄付するという旨のツイートを見つけた。その本の装丁は、見慣れた方のイラストだった。どこで買えるのかな~と思って取扱店舗一覧という記事を開いたら、千葉の本屋さん(母影を購入した)の名前があって、そこで購入することにした。
ぜんぶ私の大好きなバンドと、そのフロントマンと関係がある。繋がってる、と思った。
ひらいめぐみさんの文章はその本で初めて読んだのだけれど、好きな文章を書く方だった。そして、出てきた瀬尾さんの小説はどれも読んでいて、一番に好きな作品も一緒だった。源さんの好きな歌のフレーズも。ちょっと似ているのかななんて烏滸がましいことを考えたりもした。
でも、そんなことわたしは考えたことなかったなあ、ということも多くて、著者の視点がおもしろかった。
〈すきなものが最後まで残っているという希望〉〈物語の中のごはん〉〈性別のないごはん〉「おいしくない」は大人の味覚がとくに好きだ。読めてよかった。
あの日いつもはしないのにテレビを付けっぱなしにしていたこと、知らなかったことを知ったこと。
別にたまたまだけど、けど。わたしはわたしができることを、考えることをやめないでいたい と思う。
クリープハイプの〈自分の事ばかりで情けなくなるよ〉 という歌は、私にとってとても大切で思い入れの深い曲で、ドキュメンタリーを観たあとも聴いたのだけど、この歌が私の人生の中にあってよかった、って心から思った。これからも、何度でも聴いて生きていく。