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理想を共創し、認知・認識から行動を変えるPR | アンティル 久井直人 × COTEN

株式会社COTENの挑戦を応援してくださる、法人COTEN CREW企業の皆様をご紹介します。
COTENを通じて人文知に投資することを決めた彼ら。
日頃、どのような問題意識を持って活動されているのでしょうか。

今回は、株式会社アンティル 取締役の久井直人さんです。

※COTENには、メンバー同士がフラットに「タメ語」で話す文化があります。その空気感をお伝えするため、今回のインタビューはタメ語&ニックネームで実施し、記事もそのままお届けします。

久井直人(ひさい なおと)
株式会社アンティル取締役。
大学卒業後ベクトルに入社しPR業務全般に従事した後、中国へ駐在。帰国後コミュニケーション全般のプランニング及び実施マネジメントに従事する一方、リスクコミュニケーション、経営層等へ向けたメディアトレーニング、大学・企業等での講演・講義なども行う。20年より現職。

世の中にとっていいモノ・コトを広めるのがPR

COTENインタビュアー(以下、ーー):アンティルはどんな会社なの?

久井直人  (以下、ひさいん):PR会社で、ベクトルグループのひとつ。ベクトルは今、PR業界でいうと日本で一番大きな会社になっていて、アジアでもナンバーワンになった。グローバルでは14番目かな。僕自身は、約20年前にたまたま新卒で入ったという。その当時は30人くらいのベンチャーだったけれど、今はグループ全体で言うと1500人規模になってるね。

ーーひさいんは見る目があったんだ!あらためて、PRってどんな仕事なの?

ひさいん:パブリックとのリレーション、関係作りがPR。なので、僕らの会社で扱える領域って皆さんが思うより多岐に渡っていて。企業で言うとインナーブランディングは社内におけるコミュニケーションだからパブリックの一部としてPRの領域だし、投資家との関係作りであるIR(インベスターリレーション)もPRに入るよ。
日本においてPRはメディアリレーションズとほぼニアリーで扱われることが多くて。だから企業の広報部門と言えばPRってイメージされるけど、広報はPRの中の一部だったりする。

ーーなるほど、PRと呼べる範囲って広報よりもっと広いんだ。

ひさいん:そうなんだよね。会社の話に戻すと、僕がアンティルの取締役になって3期目なんだけど、なったタイミングで社長と一緒にミッションを書き直して。「運命の出会いを、人と、モノと、コトの間へ。」と位置づけた。

ーー運命の出会いって何?

ひさいん:本屋さんでパッと見いい背表紙の本が並んでいて、「あ、この本いいな」みたいに思うことない?これは、欲しい本を自分が探しに行くというよりは、「本屋という森の中に行って、そこで出会ってしまったもの」だよね。これがひとつの運命の出会いだなと思ってて。誰かが意図的にやっているかと言うと完全に意図的ではないんだけど、本屋さんがそう並べていたりPOPを付けていたりする。世の中の運命をつないだり、裏側で少し後押しをしているみたいな。

ーーある種、偶発性な出会いを仕掛けていくような?

ひさいん:そうそう。実はこういう運命の出会いを世の中に作っていくことがPR会社がやることなんじゃないかなと。でも押し付けるのも違うから、何となしになんだけど。
あと、ひとつ言えることは、広めたいモノやつなぎたいモノが良いものであり、世の中のためになることが大前提だとは思ってる。
元々「関係作り」というのが抽象的な言葉だし、さらに僕自信が捉えるPRの抽象度も上がってきたので、ミッションを整理したところがあって。
最近だと「SNSはどうやったらバズるのか」みたいなところに寄りがちで、バズったから物が売れたみたいな話にどうしてもなる。まさに資本主義的で、それはそれで大事なんだけど、常に「それって本当に広めたいもので、世の中のためになる良いことですか?」には立ち戻りたいんだよね。

ーーなるほど。

認知・認識を変えて行動を変える

ひさいん:PRとは関係作りっていう定義付けをひとつしたんだけど、実は違う側面のPRの大事な仕事がもうひとつあって。

ーーそれは何?

ひさいん:パーセプションチェンジをすること。パーセプションチェンジって頭の中、つまり認識が変わることなんだけど、さらにその先にあるのがビヘイビアチェンジ、行動が変わるということで。いきなりみんな行動が変わるわけではなくて、まず頭の中で捉え方や思考が変わって、結果として行動が変わっているんだよね。関係作りをしながら頭の中を変えましょうということ。


PRのピラミッド「パーセプション 市場をつくる新発想」(本田 哲也著)より。
※著者ご本人に掲載許可 取得済。

ーーおもしろい!パーセプションチェンジって捉え方や認識が変わる瞬間だよね。その変化によって言動が変わっていくというビヘイビアチェンジが起きるんだ。PRってそこをやってるんだね。

ひさいん:そう。だからめちゃくちゃおもしろいはずなんだけど、捉え方が浅いとメディアの方に記事を書いてもらう仕事だと思ってしまう。それも大事だけど、それだけだと多分つまんなくなる。
これでよしとしてた時期が僕も以前はあったんだけど、世の中の変化も含めて今そういう状態に向かっているという感覚もあって。われわれは代理店ではあるので、もちろんクライアントさんがやりたいことに対していくんだけど、「(先方が)本当にやりたいことは何なのか」をこちらが提示するぐらいの気持ちでいった方がいい。これは自分の会社でも最近よく言っていることなんだ。

ーー思想的なところを深掘りしていくんだね。すごく奥深いなあ。

ひさいん:もうちょっと言うと、僕たちアンティルは理想を共創していけたらいいなと考えていて。

ーーどういうこと?

ひさいん:PR会社としてのうちの会社や僕自身には、世の中を直接的に良くするためのプロダクトやサービスなどがあるわけではない。一方で、世の中にはたくさん、世の中を良くできるプロダクトやサービスがある。そして、理想の社会を創ろうとしている人たちがいる。だから僕らのやるべきこと、やりたいことは、そうしたモノやコトやヒトをコミュニケーションの力で世に出して広めていくこと。そして世の中のパーセプションを変え、最終的には人々のビヘイビアを変えていくことだと考えているんだ。

ーーめっちゃいいね!理想を共創することで、世の中をよりよくしていこうと考えているんだね。

COTENはひとつの旗を立てた人たち、世の中はもう変わり始めている

ーーPRのプロの立場からするとCOTEN RADIOはどんな風に捉えられるの?

ひさいん:COTEN RADIOはコミュニケーションの歴史くらいからハマって聞いていて。広報としてはすごく素晴らしくて、PR活動として極めてすごいなと思ってる。世の中に何かを広めるのは「コンテンツ×メディア」でしかない。
最初からCOTEN RADIOはCOTENの広報活動の一環だって言っていたしね。

ーーやっぱりPR活動として、素晴らしいんだ。

ひさいん:COTENは世界史データベースを作るという特殊な部分があって、売りたいものがあるわけじゃない。概念と考え方を広めるという意味で言うとすごく成功したんだろうなと。パーセプションが変わっていくきっかけを作っているので、その点では完全にPRなんだよね。

ーーCOTENはPR会社とも言えるのかもね。

ひさいん:まさに!メタ認知や人文知のPRをやっていると言えるよね。メタ認知という言葉自体はもともとあったと思うんだけど、それを広めたのは絶対にCOTEN!

ーー確かに!

ひさいん:歴史はもう動き始めていて、世の中的にはメタ認知や人文知が大事なんだと既になっているんじゃないかと思っていて。COTENはそこにひとつの旗を立てた人たち、ある種の変態じゃない?今の資本主義というものに対してひとつ方向性を指し示すことをやっている。そこを僕らの持っているPRという力でさらに加速させられないかなっていう気持ちは強くある。そういう意味で、法人COTEN CREWにならせてもらって、みなさんと話をすることで僕らからも何か影響を与えられたらいいなと。
ーー法人COTEN CREWみんなで、さらに加速させることを本気で考えていきたいね。

(編集:株式会社COTEN 内山千咲/ライター:坂本リサ


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