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社会人クリエイターの為の目標の合意形成

頑張っているのに評価されなかったり、メンバーの立てた目標が組織と噛み合っていなくて、評価が困難だったりすることは無いでしょうか。多くの場合は目標を立てた時点で、合意形成が出来ていないからです。

目標設定は、SMARTの法則「状態目標」「結果目標」「行動目標」の3つを使い分けて評価者とゴール設定を行いその合意形成ができれば、大体なんとかなります。

今回は、そのうちの目標の合意形成についてクリエイティブ業界の視点を加味した考え方やステップをまとめてみました。

大枠の価値観や風土が噛み合っているのか

元も子もないのですが、目標を立てる上でもまず最初に考えるべき大切なことで避けては通れないので、シッカリ確認してください。

例えば、何が何でも安く速くアセットを作りゲーム開発をしたい組織だとしたら、どんなに品質の重要性を問うたところで生産性や効率の向上が求められます。目標もそれに準じたものになります。

組織の目的が良いゲームを作ることであれば、それにフォーカスした目標にするべきです。例えば、ゲームサイクルやマネタイズに関係の無いアセット制作に力を入れるというような目標を立てたところで、組織の目線としてはそれを高く評価することが難しくなります。

その業務自体が無意味だということではなく、どんなに頑張っている姿を応援したくて高く評価をして上げたくても、視座が事業の目線に近いほど組織の観点で評価をすることが難しい、ということです。

もしも大枠の価値観や風土が自分と違う、そして自分を変えることは出来ない。と感じるのならその組織から一刻も早く離脱するべきです。

採用においても重要なことで、価値観の根っこの部分が組織とずれていると、丁寧な目標設定しても組織が望む形の成長をすることは無いです。

また、例えばクリエイティブ方針としてロボットが出てくるゲームを作ることを目的にしている組織では、どうしてもキャラクターに特化したようなゲームを作るのに様々なハードルがあります。

そのような組織で「キャラクターゲームを作る」というような目標を立てる事自体がとても困難なので、入社前に自身の趣味嗜好を鑑みた上で、方針がそもそも合っているのか?ということも鑑みることがとても大切です。

合意形成の進め方

1.組織や上長のビジョン・ミッションの理解

まず自分よりも上位レイヤーのビジョンとミッションを明確に理解し、それらがどのように個々の目標設定に関わってくるかを把握してください。その把握が出来ると、自分の立てる目標が組織の目標と整合してきます。

具体的にはご自身の上位レイヤーの誰かに聞いてみると良いです。

不明瞭だったり答えてくれないのなら、聞く相手を変えるべきで、もし誰も答えられないのならその組織には居続けちゃだめです。

例えば、
良いゲームを作る組織の3Dモデル制作の業務を担当しているのなら、
・何をもって良いと判断しているか?(価値観)
・それを構築する3Dモデルアセットはどのような状態を良いとしているのか?(品質なのかコストなのかスピードなのか、そのバランスなのか)

またそれぞれ、どのような重要度と優先度になっているかを把握出来ると、自分がどこの何を目標とすると良いかのヒントが見えてきます。

2.個人の価値観・目標

次に、自分自身の価値観を明確にして、見えてきた組織の価値の重要度と優先度と照らし合わせて、それらがどのように組織のビジョン・ミッションにつながるかを考えます。

大切なことは、組織の価値観に無理に合わせることではなく、組織と自分の価値観の合致する範囲や、無理なく組織に提供出来る価値を探すことです。また、設定者側に立つ場合はそれを一緒に探してあげることを意識してください。

例えば、ご自身の価値観としてとにかく時間をかけてでも、良いアウトプットを出すことなら、時間をかけられるパートやアセットを受け持って、品質を保証するような目標を立てるべきです。

逆に、そこに手は早いが及第点のアウトプットを出すのが限界のデザイナーが、品質を保証するような目標を立てると、確実に悲惨な結果になってしまいます。

一方で手が早く多くのアウトプットを出すことを大切にしているのなら、期限が逼迫していたり、一点の質ではなく即時性を求められるようなパートを受け持ち、その機動性や効率性を意識した目標にすると良いでしょう。

どちらのデザイナーも自身の価値観や強みを理解出来ていて、適切に目標が立てられるのなら組織のなかで十分な活躍ができます。

3.価値観や目標を共有し互いの期待値をすり合わせる

組織や上長、同僚のチームメンバーへの共有もとても大切です。社会人クリエイターの多くの場合は、一人で業務の遂行をしているわけではないので、
周囲と価値観を共有するプロセスが重要になります。

例えば半期ごとの目標設定の面談や週に一度の1ON1などの定期的なミーティングや、目標を共有しブラッシュアップするワークショップを実施し、各メンバーがお互いの価値観や目標の理解が出来ると、よりご自身の目標がブラッシュアップされ、達成に向けて周囲の応援も得られやすい状態になります。

良いアウトプットは出せるが進行管理が苦手であれば、進行管理が得意なメンバーに協力を仰ぐこともできますし、そのメンバーがアウトプットに自信が無いのなら、手助けをしてあげたり持っている知見を共有してあげても良いかもしれません。

チームそれぞれがお互いの得手不得手や価値観を理解した上で、しっかり噛み合っているような目標が立てられていると、評価もされやすいですし、評価する側に立った場合も評価がしやすくなります。

これが合意形成をおこなう上でもっとも大切なことになります。

組織や上長、同僚や部下であろうと、それぞれが微妙には異なる価値観と違う視点の目標を持っているので、お互いの損得も含めて理解した上で、1つの目的地に向かって助けあう状態を作ることができれば、ご自身の目標も含めて最大の成果で達成をすることが出来ます。

組織においての合意形成とは、
他者との重要度と優先度のすり合わせなのです。

まとめ

合意形成はあくまでも目的を達成するための手段です。また成長するということ自体も目的を達成するための手段です。成長したという点のみにフォーカスして評価がされないという嘆きを聞くことは多いのですが、組織の目的につながっていて共感を受ける部分がないと、目的を見失っている自己満足な主張に感じられてしまいます。

合意形成については、迎合しているような感覚を持つ方も多いように感じていますが、全く違います。自身の価値観がシッカリあるからこそ周囲との対等な合意形成が出来るので、迎合しているような感覚に陥っている時点で、自身の価値観があいまいで脆弱なのだと気づくべきなのです。

究極「ゆるく仕事をしたいよ」という価値観でも全然良いと思っています。大切なのは自身の価値観に確固たる信念があるかどうかです。

目標設定そのものについては、効果的なフレームワークやサービスの活用、AIを使った検討などいくらでも手段はあるので、目的に対しての目標は立てやすくなっているはずです。

ただ、改めて感じるのが、自分がどうありたいのかという目的のゴールイメージがこれからの社会人にはより一層大切になるのだろうと痛感しています。

これまでは目的が無くてもそれなりに日々やることはあったかと思いますが、今後は物事がより一層加速して目的が無いと公私ともにとても空虚で振り回され続けるものになるのでは無いかと感じています。

例えば、目的が世間に振り回されない穏やかな人生を送るということなら、そもそもそれは目的がシッカリしているということです。

(考え始めたら面白いテーマだなと感じたので、また次の機会で続きを書きたいなと思いました。)

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