273. 輻湊不全:患者の生活に変化をもたらしているのか、それとも時間の無駄なのか!
Convergence insufficiency: are we making a difference in patients' lives or is it a waste of time!
Jong J, Saleem Z, Simmons J, Rhodes M, Choi JL. BMJ Open Ophthalmol. 2023 Oct;8(Suppl 3):A4. doi: 10.1136/bmjophth-2023-BIPOSA.11. PMID: 37797993.
輻湊不全(Convergence insufficiency:CI)は、近見作業時のvisual performanceと快適性を損なう一般的な疾患である。この前向き研究では、CI患者を対象に成人斜視QOL質問票(adult strabismus quality-of-life questionnaire)(AS20)を用いて、臨床転帰とQOLに対する介入の有効性を評価した。2015年から2022年までの初診時に収集したデータベースからデータを抽出した。CI患者84例(平均年齢47.0±24.9歳)の人口統計学、介入、転帰を分析した。患者の56%に視能訓練(エクササイズ)が実施され、32%にプリズム、15%は無治療であった。最新の経過観察では、22.6%が訓練の継続を勧められ、28.6%がプリズムを受け、1人が両眼内直筋切除術を受け、2人がボトックスを受けた。追跡調査期間の中央値は5.5(5.0-55)か月で、88.1%が退院し、29.8%が不参加、9.5%が死亡した。輻湊近点(Near-point of convergence:NPC)は中央値15(6-50)cmから10(6-30)cmに改善した。来院時のAS20スコアの中央値は100(30-100)と47.5(0-100)であり、介入後の心理社会的要素と機能的要素はそれぞれ100(80-100)と77.5(12.5-97.5)であった。最新の追跡調査では、出席不良率はプリズム(15%)よりも訓練(36%)の方が高かった。NPCの改善(33%)が認められ、AS20の平均得点は心理社会的に9%、機能的に32.8%上昇し、介入による患者のQOLの向上が強調された。このコホートは、NPCとAS20スコアの改善から明らかなように、CIの臨床管理に関する貴重な洞察を提供するものである。しかし、本研究はまた、治療に対する長期的なコンプライアンスが本質的に困難であることを明らかにし、疾患教育の重要性を強調した。
※コメント
輻湊不全に対する介入(訓練やプリズム、オペ)は意味があるのか?という内容です。結果としてQOL向上に寄与するとの結論です。いつも思いますが、この手のアンケートは、良くなりたいという患者心理バイアスを無視できないところにlimitationがでてきますね。
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