248. 小児におけるアトロピンの近視アウトカム研究:ヨーロッパ人集団における0.01%アトロピン連日投与の2年間の結果

Myopia outcome study of atropine in children: Two-year result of daily 0.01% atropine in a European population

Loughman J, Kobia-Acquah E, Lingham G, Butler J, Loskutova E, Mackey DA, Lee SSY, Flitcroft DI. Acta Ophthalmol. 2023 Sep 11. doi: 10.1111/aos.15761. Epub ahead of print. PMID: 37694816.


目的:Myopia Outcome Study of Atropine in Children(MOSAIC)は、主に白人のヨーロッパ人を対象に、近視進行抑制に対する0.01%アトロピン点眼薬の有効性と安全性を検討する、医師主導の二重マスク無作為化比較試験である。

方法:6~16歳の近視の小児を2:1に無作為に割り付け、夜間0.01%アトロピン点眼またはプラセボ点眼を両眼に2年間行った。主要アウトカムは、24か月後の調節麻痺下等価球面値(spherical equivalent:SE)の進行であった。副次的アウトカムは、眼軸長(axial length:AL)の変化、安全性、受容性などであった。統計解析にはランダム切片を用いた線形混合モデルを用いた。

結果:登録された250人の参加者のうち、204人(81.6%)が24か月の受診を完了した(治療群136人(81.4%)、プラセボ群68人(81.9%))。ベースラインの特徴、脱落率、有害事象発生率は治療群と対照群で同様であった。24か月後、SEの変化は0.01%アトロピン群とプラセボ群で有意差はなかったが(効果=0.10D、p=0.07)、AL伸長はプラセボ群と比較して0.01%アトロピン群で低かった(-0.07mm、p=0.007)。SE(0.14D、p=0.049)およびAL(-0.11mm、p=0.002)に対する有意な治療効果は、24か月目において、非白人(SE=0.05D、p=0.89;AL=0.008mm、p=0.93)ではなく、白人の子どもにおいて観察された。COVID-19による制限の影響が最も少ない被験者では、より大きな治療効果が観察された(SE差=0.37D、p=0.005;AL差=-0.17mm、p=0.001)。

結論:アトロピン0.01%は、このヨーロッパ人集団において安全で忍容性が高く、眼軸伸長を遅らせるのに有効であった。治療効果は民族や目の色によって異なり、また試験参加中のCOVID-19公衆衛生制限の程度によっても異なる可能性があった。

※コメント
MOSAIC研究において、0.01%アトロピン点眼はヨーロッパにいる白人に対して有効であったとの結果でした。非白人に対しては有効性は認められなかった様です。

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