351. 近視児童における脈絡膜厚と屈折・眼軸長との関係
Choroidal thickness in relation to diopter and axial length among myopic children
Zhu H, Liu C, Gao M, Zhang S, Zhang L, Zhao Q. Front Med (Lausanne). 2023 Oct 20;10:1241352. doi: 10.3389/fmed.2023.1241352. PMID: 37928462; PMCID: PMC10623004.
目的:本研究の目的は、近視小児における屈折と脈絡膜厚の関係を脈絡膜厚の値から解析し、近視進行を評価する重要な指標としての脈絡膜厚を探ること。
方法:本研究では、大連医科大学第二病院の6~14歳の近視および正視の小児(156眼)を対象とした。参加者は等価球面屈折(spherical equivalent refraction:SER)により、弱度近視、中等度近視、強度近視、正視の4群に分けられた。脈絡膜厚は、ETDRS(Early Treatment Diabetic Retinopathy Study)グリッドレイアウトを用いて、Sub Foveaから0×0mm、3×3mm、5×5mmの同心円状に分割した9つの領域で測定した。画像はspectral-domain OCTを用いて手動で得られた。
結果:すべての近視眼において、ETDRSグリッドの9つの領域で脈絡膜厚に有意差が認められた。弱・中等度近視の脈絡膜厚の分布は、強度近視とは異なっていた。水平方向の脈絡膜厚は、すべての近視眼で耳側から鼻側にかけて減少した。垂直方向では、SER≧-2.75Dにおいて、perifoveaの脈絡膜厚はparafoveaよりも小さく、SER<-2.75Dではperifoveaの脈絡膜厚はparafoveaよりも大きかった。正視と近視を比較すると、脈絡膜の厚さは中心窩に近いほど有意差が大きく、perifoveaでは差が小さかった。すべての小児において、脈絡膜の厚さはすべての領域でSERに対して陽性、眼軸長(axial length:AL)に対して陰性であった。近視が1D増加するごとに、subfoveal脈絡膜厚は13μm減少し、ALが1mm増加するごとに、subfoveal脈絡膜厚は23μm減少した。さらに、SERおよびALは、下側領域の脈絡膜厚と最も強い相関を示した。
結論:OCTの結果から、近視小児では脈絡膜厚が薄いことが明らかになった。脈絡膜厚はSERに陽性、ALに陰性であった。したがって、脈絡膜厚は近視の進行度を評価するための重要な指標であると考えられる。
※コメント
近視が進んでいるため脈絡膜が薄くなっているのか(結果)、脈絡膜が薄いため近視が進んでいるのか(原因)、個人的には原因であることを推します。