305. 両眼オルソケラトロジーを用いた近視性不同視小児の相対的角膜屈折力シフトと眼軸伸長の眼間差

Relative corneal refractive power shift and inter-eye differential axial growth in children with myopic anisometropia treated with bilateral orthokeratology

Lin W, Li N, Liu J, Zhang B, Wei R. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2023 Nov 6. doi: 10.1007/s00417-023-06301-z. Epub ahead of print. PMID: 37930444.


目的:オルソケラトロジーで治療された両眼性近視性不同視における相対的角膜屈折力シフト(relative corneal refractive power shift:RCRPS)と眼軸伸長(axial length growth:ALG)の関係を調べること。

方法:この前向き介入研究では、102名の近視性不同視の小児を眼鏡群とオルソケラトロジー群に無作為に割り付けた。眼軸長(Axial length:AL)と角膜トポグラフィーは、ベースライン時と12か月後の診察時に測定した。ALGは2つの測定値の差として定義され、RCRPSプロファイルは得られた2つのaxial mapsから算出された。

結果:オルソケラトロジー群では、近視の強い方の眼のALG(0.06±0.15mm)は、近視の弱い方の眼のALG(0.15±0.15mm、p<0.001)よりも有意に小さく、ALにおける眼間差は、1年間の治療後、0.47±0.32mmから0.38±0.28mmへと有意に減少した(p<0.001)。しかし、眼鏡群では、ALGは両眼で同程度であり、ALの眼間差は1年間で有意に変化しなかった(いずれもp>0.05)。オルソケラトロジー群におけるALGの眼間差は、RCRPSの眼間差(difference in RCRPS:dRCRPS、β=-0.003、p<0.001)およびベースラインALの眼間差(β=-0.1179、p<0.001)と有意に相関し、R2は0.6197であった。

結論:オルソケラトロジーは不同視の大きさを減少させるのに有効であった。RCRPSの眼間変動は、オルソケラトロジー後の近視性不同視におけるALGの眼間差の減少を説明する重要な因子である。これらの結果は、オルソケラトロジーによる近視性不同視の治療において、眼特異的な近視制御ガイドラインを確立するためのヒントを与えるものである。

※コメント
discussion抜粋-
オルソケラトロジーレンズで治療された近視性不同視の小児では、より近視が強い眼よりも、比較的近視の弱い眼の眼軸伸長が上回っていることがわかった。特に、眼軸伸長の眼間差と相対的角膜屈折力シフトの眼間差の間には、明確で統計的に有意な用量反応が確認され、オルソケラトロジー治療後に相対的な角膜度数の変化が大きかった眼ほど、眼軸伸長が少ないことが示された。これらの結果から、オルソケラトロジー治療を受けている近視性不同視の小児の眼では、相対的角膜屈折力シフトを増加させるようにレンズを改良することで、眼軸伸長の抑制を強化できる可能性がある。

不同視差
Binocular orthokeratology:−1.59±0.67D
Spectacle:−1.40±0.56D

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