250. 乳児内斜視の外科的治療を受けた患者における垂直偏位の発生とその後の進展

Occurrence and subsequent development of vertical deviations in patients treated surgically for infantile esotropia

Sharma M, Ganjoo S, Ganesh S. Indian J Ophthalmol. 2023 Jul;71(7):2835-2840. doi: 10.4103/IJO.IJO_2777_22. PMID: 37417130; PMCID: PMC10491062.


目的:本研究の目的は、交代性上斜位(dissociated vertical deviation:DVD)と下斜筋過動(inferior oblique overaction:IOOA)の発症、その後の進展、および術前・術後のパラメータとの相関を評価することである。

方法:2005年から2017年の間に手術を受けた乳児内斜視患者のカルテをレトロスペクティブにレビューした。手術前後にDVDとIOOAを測定した。患者は、来院時の水平偏位と垂直偏位に基づいて、乳児内斜視のみの患者(A群)と垂直偏位を発症した乳児内斜視患者(B群)の2群に分けられた。

結果:102人の患者のうち、DVDの発生は53人(51.9%)にみられ、IOOAは50人(48.04%)にみられた。DVDは初診時22例、術後31例にみられた。IOOAは初診時45人(44.1%)、術後5人(8.8%)にみられた。両群の手術年齢、偏位量、平均経過観察期間、平均屈折異常には統計学的な差はみられなかった。術後の運動転帰は両群間で統計学的に同等であった(P = 0.29)。融像(P = 0.048)と立体視(P = 0.00063)の感覚面の転帰はA群で良好であった。

結論:垂直偏位の発症年齢とその後の進展、屈折異常、偏位量、年齢、手術の種類との間に関連は認められなかった。垂直偏位を有する患者において、運動面の転帰は影響を受けないが、感覚面は影響を受けることがわかった。このことは、DVDとIOOAが、融像と立体視の本質的な障害によって発症することを示している。

※コメント
本文結論より-
初診時のDVDとIOOAの同時発症は、それぞれ23.5%と43.1%であった。DVDは平均48.3か月(最大19歳)、IOOAは平均13.8が月(最大14歳)で発症した。垂直偏位の発生・発症年齢と屈折異常、偏位量、年齢、手術の種類のいずれにも関連は認められなかった。

われわれの研究では、垂直偏位を有する患者において、運動面の転帰は影響を受けないが、感覚面は影響を受けることが示された。
このことは、「DVDとIOOAが、生後早期の融像発達の本質的な障害によって発症し、立体視の発達を妨げていることを示している」。このような患者では、手術年齢に関係なくDVDとIOOAが発症する可能性がある。

上記「」の部分ですが、融像発達の欠落が原因で立体視を妨げているのであるのであれば、立体視・融像が良好なDVDはどのような原因で起きていることになるのか。臨床的には感覚面が良好なDVDもいます。
このあたりが難しい解釈ですね。

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