352. アトロピン1%とシクロペントレート1%による調節麻痺の比較
Comparison of cycloplegia with atropine 1% versus cyclopentolate 1%
Singh RP, Amitava AK, Sharma N, Gupta Y, Raza SA, Bose A, Meena GS. Indian J Ophthalmol. 2023 Dec 1;71(12):3633-3636. doi: 10.4103/IJO.IJO_1159_23. Epub 2023 Nov 20. PMID: 37991295.
目的:小児において、眼の屈折状態を知るために調節麻痺屈折は必須である。本研究では、シクロペントレート1%で誘発される屈折とアトロピン1%で誘発される屈折を検影法により比較した。
方法:この並行計画介入研究では、4歳から17歳の小児67人を対象とした。シクロペントレート1%(各眼に2回使用)で最初の検影法を行った後、1週間後にアトロピン軟膏1%(1日2回、3日間使用)で検影法を繰り返した。各眼の屈折を等価球面値(spherical equivalent:SE)に変換し、各薬剤下で各小児の両眼の平均値を求めた。SEをpaired t-test(JASP 16.4)で比較した。さらに、相関分析を行い、Bland-Altmanプロットを用いて一致を調べた。有意性はp < 0.05とした。可能な限り、95%信頼区間(confidence interval:CI)を引用した。
結果:アトロピンによる平均SEは+1.93±2.0Dであったのに対し、シクロペントレートでは+1.75±1.95Dであった。平均して、アトロピンはわずか0.18D(95%CI:0.07~0.29D、P=0.002)だけ大きな屈折を誘発した。2つの調節麻痺屈折は有意に相関していた(Pearson's r:0.975、p < 0.001)。Bland-Altmanプロットでは、一致の限界は1.06Dと-0.71Dであった。
結論:われわれの研究は、シクロペントレートがアトロピンと同様に調節麻痺を達成するためにほとんどの部分で有効であることを示唆している。5.0Dを超える遠視の15歳未満の小児にはアトロピンを考慮してもよい。シクロペントレートは、即効性と持続時間の短さが利点であり、多忙な外来診療において、最初に使用される局所調節麻痺薬となるはずである。
※コメント
インドからの報告
4歳から17歳の小児67人の平均年齢は10.85 ± 3.2歳。
8歳未満の対象者のみのサブグループ解析では、
アトロピン(2.28±1.45D)がシクロペントレート(2.04±1.26D)より0.24D大きかったがP値は有意ではなかった(P = 0.074、paired t-test)ようですが、8歳未満の患者は9人のようです。
いろいろな報告がありますが、内容をしっかりと吟味した上で解釈をする必要があります。