157. 代償不全型monofixation syndromeについて(アメリカ眼科学会論文)

The decompensated monofixation syndrome (an American Ophthalmological Society thesis)

Siatkowski RM. Trans Am Ophthalmol Soc. 2011 Dec;109:232-50. PMID: 22253490; PMCID: PMC3259678.


目的:代償不全型を起こしたmonofixation syndrome(MFS)患者の臨床的特徴および治療に対する反応を説明し、そのような患者の代償不全メカニズムに関する仮説を提案すること。

方法:平均25年間症状が安定していた14名のMFS患者が、神経疾患や眼窩疾患がないにもかかわらず複視を発症した。レトロスペクティブ・チャート・レビューの後、患者は詳細な眼科検査を受けた。この横断的分析の結果を、安定したMFSを持つ16人の対照被験者のデータと比較した。

結果: 安定したMFS患者と比較して、代償不全患者は水平方向の融像幅が有意に劣るが、回旋方向の融像幅は大きかった。また、小さな垂直斜視を持ち、初期治療を受けるのが遅かった傾向があった。しかし、安定した被験者でも、水平方向だけでなく、回旋方向の融像幅はsubnormalであった。屈折異常、弱視、斜視の種類や治療歴、立体視、偏位量については群間に差はなかった。治療後、すべての患者がmonofixational アライメントを取り戻したが、3分の1に複視の継続があった。また、治療が成功した患者2名で症状が再発した。

結論:MFS患者は時間の経過とともに融像幅が減少する。その結果、感覚的な回旋が生じ、二次的な代償不全と複視が発生するケースもある。20歳から70歳まで、年平均7%の割合で代償不全が発生する。代償不全に対する治療は、運動面において優れた効果をもたらすが、感覚的な症状が持続し、再発を繰り返すことがある。MFS患者のルーチンケアとして、融像性輻湊幅のモニタリングと維持が必要である。

※コメント
水平方向の融像幅が減少することで回旋融像が代償しようとする働きは面白いです。
あまり意識した事がなかったので注目してみようと思います。

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