107. 若年近視者において,非球面多焦点コンタクトレンズは加入度数とは関係なく調節反応を減少させる
Multifocal contact lens design, not addition power, affects accommodation responses in young adult myopes
Gifford KL, Schmid KL, Collins JM, Maher CB, Makan R, Nguyen E, Parmenter GB, Rolls BM, Zhang XS, Atchison DA. Ophthalmic Physiol Opt. 2021 Nov;41(6):1346-1354. doi: 10.1111/opo.12892. Epub 2021 Oct 4. PMID: 34605581.
目的:長時間の近業は近視の進行に関連していると言われている。異なる多焦点コンタクトレンズを装用した若年成人近視者の調節反応を比較した。
方法:18~25歳の近視成人20名(等価球面屈折-0.50~-5.50D,平均-2.1±1.6D)が,5種類のレンズを無作為に装着した:プロクリア単焦点遠用(SV),MiSight同心二重焦点+2.00D add(MS),Biofinity非球面中心距離+1.50D add(CD1)と+2.50D add(CD2)(すべてCoopervision),NaturalVue非球面(Visioneering Technologies)(NVue)。グランドセイコー社製WAN-5500オートレフラクターを使用し,両眼矯正の上,右眼の調節反応を4.0,1.0,0.5,0.33,0.25mの距離で10分間の順応後に測定した。動的測定は,6Hzで4秒間行われた。調節刺激と応答は4mを基準とした(すなわち,4mと各近距離の屈折差)。調節ラグと屈折の不安定さ(動的な反応の標準偏差)が決定された。比較のため,トライアルレンズが調節刺激を打ち消す絶対老眼の結果も得た。
結果:SVとMSでは,調節応答は刺激値とほぼ同じであった。非球面レンズCD1,CD2,NVueでは,SVとMSに比べて刺激範囲全体で約1.0D低い調節反応が得られ,変化率は1Dの刺激変化に対して約0.84Dであった。MSは他のレンズよりも屈折の不安定さが大きくなった。老眼の場合,屈折の変化はトライアルレンズと一致し,異なるレンズでの測定による補正は不要であることが示された。
結論:非球面多焦点コンタクトレンズを装用する若年近視者において、ラベルの「加入」度数とは関係なく,調節反応の減少が生じた。同心円状の二重焦点MSレンズは,ラグを最小限に抑えたが,他のレンズより不安定であった。この結果は,多焦点コンタクトレンズが近視の進行を遅らせるメカニズムは,少なくとも若年成人において,リラックスした調節(調節の緩和)によるものである可能性は低いことを示している。
※コメント
調節反応の減少が生じたということは,ある意味調節の緩和をしているとも言えるかもしれませんが,レンズによっては調節ラグの減少が生じなかったためこのような結論になったのだろうと思っています。なんにせよ,若年者に対する多焦点コンタクトレンズは調節を減少させてしまう可能性があるということのようです。
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