160. 低濃度アトロピンが6歳から17歳の子供の両眼視と調節に及ぼす影響について

Effect of Low-dose Atropine on Binocular Vision and Accommodation in Children Ages 6 to 17 Years

Breliant R, Pang Y, Bandstra A, Kattouf V. Optom Vis Sci. 2023 Jun 6. doi: 10.1097/OPX.0000000000002031. Epub ahead of print. PMID: 37278695.


意義:低濃度アトロピンは、小児の近視進行に対する代表的な治療法の1つである。しかし、低濃度アトロピンが両眼視の測定に及ぼす影響については十分に検討されていない。

目的:6歳から17歳の小児を対象に、0.01%、0.03%、0.05%のアトロピンが視力、瞳孔径、両眼視、調節力に与える影響を明らかにすること。

方法:46名の小児(女児28名、男児18名)をプラセボ(n=10)、0.01%(n=13)、0.03%(n=11)、0.05%(n=12)の4群に無作為に割り付けた。アトロピンまたはプラセボを1回ずつ各眼に点眼した。点眼前、点眼30分後、60分後、24時間後に以下の測定を行った:遠見と近見の視力、瞳孔径、遠見と近見のdissociated phoria、開散と輻湊のfusional vergence、輻湊近点、輻湊近点の持久力と脆弱性、調節ラグ、調節幅。反復測定ANOVAを利用し、P < .05を統計的に有意とした。

結果:アトロピン3群すべてとプラセボを経時的に比較したところ、明所視と暗所視の瞳孔径の差は統計的に有意であった(Ps < .001)。0.03%および0.05%アトロピン群の瞳孔径は、30分後、60分後、24時間後のいずれの時点においても、明所視、暗所視ともにベースラインから拡大した(Ps < .05)。0.01%アトロピン群の瞳孔径はほとんど変化せず、暗所視60分時点のみ統計的に有意であった(P = .02)。アトロピン点眼液の3つの濃度はすべて、対照群と比較して、調節力、両眼視、視力に大きな影響を及ぼさなかった。

結論:瞳孔径は、0.03%、0.05%のアトロピンにより、明所視、暗所視の両条件で有意に拡大した。低濃度アトロピン点眼液は、対照群と比較して、調節、両眼視、視力に大きな影響を及ぼさない。

※コメント
低濃度アトロピンに関する報告。
瞳孔径はシチュエーションによって変化しますが、視機能には大きな影響はないとのこと。
日本での既報と同様な結果だと思います。

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