9. 眼と手の協調の障害や読書の遅れは,単眼のAE BCVA(弱視眼の最高矯正視力)ではなく,両眼のAE BCVAと関連している

Dichoptic and Monocular Visual Acuity in Amblyopia

Birch EE, Jost RM, Hudgins LA, Morale SE, Donohoe M, Kelly KR. Am J Ophthalmol. 2022 Oct;242:209-214. doi: 10.1016/j.ajo.2022.06.002. Epub 2022 Jun 21. PMID: 35738394; PMCID: PMC9847578.

目的:弱視児の標準的な評価には,健眼を閉じた状態で弱視眼の最高矯正視力(AE BCVA)を測定することが含まれる。これは弱視の基本である眼間抑制をなくすものである。したがって,測定されたAE BCVAは,自然な両眼視に対するその眼の寄与を正確に表していない可能性がある。本研究では,両眼と単眼のAE BCVAを比較し,その違いが眼と手の協応や読書速度と関連するかどうかを検討した。
デザイン:Cross-sectional study
方法:6~12歳の小児(弱視42名,治療後の正常AE BCVA24名,対照30名)の両眼および単眼AE BCVAを測定した。また,立体視,抑制,眼と手の協応,読書速度も評価した。
結果:弱視児の81%が単眼AE BCVAより両眼が悪く(平均差=0.15±0.11 logMAR,P < .0001),治療後正常AE BCVA児の71%が単眼AE BCVAより両眼で悪かった(平均差= 0.20±0.17 logMAR,P < 0.0001)。対照群では有意差はなかった。両眼AE BCVAと単眼AE BCVAの差は,aiming/catching課題(r = -0.48,95%CI -0.72,-0.14), 手先の器用さ(r = -0.37,95% CI -0.62,-0.06), 読書速度(r = -0.38,95% CI -0.65,-0.03 )における成績と相関があった。
結論:両眼AE BCVA障害は,単眼AE BCVA障害よりも悪化し,立体視や抑制の低下と関連しており,両眼視機能障害が関与しているという仮説と一致した。さらに,眼と手の協応の障害や読書の遅れは,単眼のAE BCVAではなく,両眼のAE BCVAと関連していた。弱視の子供たちの中には,目と手の協応を必要とする学校の課題や読書の時間を延長することで効果が得られる場合があります。

※コメント
弱視は両眼相互作用で評価されるべきだと示した論文の一つです。日常では両眼で物をみていますが,その時は弱視の影響を少なからず受けているというのを示しています。現場の臨床検査法では評価できない内容がある事を,我々視能訓練士は受け止めて,評価していく必要があると思います。

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