154. 間欠性外斜視(遠見時)を制御するのは、調節よりもむしろ輻湊であるという証拠

Evidence that convergence rather than accommodation controls intermittent distance exotropia

Horwood AM, Riddell PM. Acta Ophthalmol. 2012 Mar;90(2):e109-17. doi: 10.1111/j.1755-3768.2011.02313.x. Epub 2012 Jan 26. PMID: 22280437; PMCID: PMC4533887.


目的:本研究では、近見固視からの遠見外斜視の制御において、輻湊が調節を駆動するのか、調節が輻湊を駆動するのかについて検討した。この制御を説明するために、調節に対する高い調節性輻湊(High AC/A比)がしばしば用いられるが、輻湊で駆動する調節の役割(CA/C)はほとんど考慮されない。非定型的なCA/Cの特性は、一般的な臨床所見を同じように、あるいはそれ以上に説明することができる。

方法:4~11歳の19人の遠見外斜視と5~9歳の外斜偏位を持たない27人の対照者を、偏位をコントロールしながら比較した。2mから33cmの4つの固視距離で、ぼやけ(blur)、視差、近付いてくる状況を組み合わせた様々なターゲットに対する輻輳と調節の同時反応を測定した。刺激と反応のAC/AおよびCA/C比を算出した。

結果: 近見視標に対する調節反応(p = 0.017)および反応利得(p = 0.026)は、対照群よりも外斜視群で大きかった。臨床stimulus AC/A比が高いにもかかわらず、外斜視群は実験でのresponse AC/A比が低く(p = 0.02)、CA/C比は有意に高い(p = 0.02)ことが示された。すべての外斜視群は、レンズによって斜視角が変化する時(「調節による制御」)と遮閉時(「融像による制御」)にかかわらず、視標距離の主要な手がかりとしてぼやけではなく両眼視差を用いた。

結論:近見に対する間欠的な遠見外斜視を制御するために輻湊要求が増加すると、調節も著しく増加する。マイナスレンズ治療は、ぼやけによる輻湊を誘発するよりも、輻湊を制御することによって引き起こされる過調節を修正することによって作用する可能性が高い。輻湊が調節の主要な駆動源であることは、近見stimulus AC/A比が明らかに高いことを含む、遠見外斜視の多くの臨床的特徴を説明する。

※コメント
この報告から考えると、マイナスレンズ療法は、輻湊によって調節が過剰な間欠性外斜視患者には見え方の質を担保する意味では有用である可能性がありますが、眼位コントロールの意味合いは低いのかもしれません。

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