298. 急性後天性内斜視患者における視覚皮質の機能障害
Deficits of Visual Cortex Function in Acute Acquired Concomitant Esotropia Patients
Hu Y, Wang S, Wu L, Xi S, Wen W, Zhao C. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2023 Oct 3;64(13):46. doi: 10.1167/iovs.64.13.46. PMID: 37902746.
目的:本研究の目的は、安静時fMRI(resting-state functional magnetic resonance imaging:rs-fMRI)を用いて、後天性内斜視(acquired concomitant esotropia:AACE)患者の皮質欠損を探索すること。
方法:25名のAACE患者と25名のマッチさせた対照群からrs-fMRI信号を収集した。反復測定分散分析(repeated-measures analysis of variance:RM-ANOVA)検定と2標本t検定を用いて低周波ゆらぎ(amplitudes of low-frequency fluctuation:ALFF)信号の振幅の統計的差異を調べ、相関分析を行って信号変化と臨床的特徴との関係を検証した。
結果:AACE群では両半球でALFFが対称的に減少し(t = 0.38, P = 0.71)、両中後頭回でtのピークを示した。左下前頭回上部のALFF信号は発症年齢と負の相関を示し(r = 0.62、P = 0.0008)、右上側頭回のALFF信号は近業時間と負の相関を示した(r = 0.63、P = 0.0008)。左房状回のALFF信号は、近見偏位(r = 0.48、P = 0.01)と遠見偏位(r = 0.44、P = 0.03)の両方と正の相関があったが、右では遠見偏位のみと正の相関(r = 0.44、P = 0.03)があった。また、発症年齢と近業時間は、信号変化の独立因子であった。
結論:rs-fMRIのALFF信号を用いて、AACE患者における一次視覚野と背側経路の機能障害を発見した。楔状回に機能的変化がみられ、偏位量が大きいほど変化レベルが高かった。これらの所見は、AACEと視覚中枢との関連を明らかにし、AACEの治療についてより多くの手がかりを与えてくれる。
※コメント
discussion抜粋-
rs-fMRIは、安静時の脳の本質的な機能構造をマッピングする上で重要な役割を果たすため、AACE患者の安静時の機能的差異を健常対照群と比較して明らかにし、AACE患者の特定の皮質領域における機能異常の存在を示唆する。しかし、その限界から、これらの機能異常とAACE患者における視覚障害、特に両眼視機能障害との関係を解明するには至っていない。
何かしらの異常がAACE患者にあるということですが、異常がある人がAACEとなり得るのか、AACEの状態になった故に異常が出てきたのかというところは気になります。