79. 間欠性外斜視術後のexodrift期間の中央値は24か月であり,術後1日目の偏位量がexodriftの程度に影響を与える可能性がある
Clinical factors affecting the rate of exodrift after surgery in patients with basic intermittent exotropia
Kim S, Ha SG, Suh YW, Kim SH. Sci Rep. 2021 Mar 22;11(1):6484. doi: 10.1038/s41598-021-86004-9. PMID: 33753783; PMCID: PMC7985371.
間欠性外斜視(IXT)患者における術後経過観察中のexodriftの期間と術後のexodriftの割合(程度)に影響を与える臨床的要因を検討した。IXTに対して両眼外直筋後転術を受け,exodriftを有する患者の医療記録の後ろ向きレビューを実施した。exodriftは,遠見と近見で10⊿を超える偏位量と定義した。術後exodriftの生存期間中央値はKaplan Meier生存分析を用いて分析した。術後exodriftの中央値の期間により2群に分類した(早期群,後期群)。術後exodriftの割合に影響を与える危険因子を調べるために,重み付けCoxの比例ハザード回帰分析を実施した。合計108名の患者を対象とした。術前の遠見・近見偏位量はそれぞれ30.3±7.2⊿,29.5±8.6⊿であった。術後exodriftの生存期間中央値は24か月(範囲:6~48か月)。術後1日目の偏位量は,早期群では-3.8±5.5⊿(範囲:-16~8⊿),後期群では-7.7±4.6⊿(範囲:-16~4⊿)(p < 0.01)であった。マイナス値は内斜偏位を意味する。回帰分析では,術後1日目の偏位量がexodriftの割合と有意に関連していた(p < 0.01)。術後exodrift期間の中央値は24か月であり,術後1日目の偏位量がexodriftの程度に影響を与える可能性がある。
※コメント
この研究から言えることは,
・両外直筋後転を行った,平均年齢5.2±3.7歳(範囲,1〜36歳)の間欠性外斜視のexodrift(戻り)の中央値は24か月。このことから少なくとも術後24か月の観察は臨床的に意味がある場合がある。
・術後1日目で過矯正が大きい(よりET)と戻りに影響を及ぼす。後者に関しては完全に同意です。