5. 0.05%アトロピンの良好な反応の予測因子は,高年齢と初回のAL短縮があること。また,年齢が低いほど,より高濃度のアトロピンを投与する必要がある
Factors Related to Axial Length Elongation in Myopic Children Who Received 0.05% Atropine Treatment
Cho H, Seo Y, Han SH, Han J. J Ocul Pharmacol Ther. 2022 Dec;38(10):703-708. doi: 10.1089/jop.2022.0036. Epub 2022 Oct 21. PMID: 36269657.
目的:0.05%アトロピン点眼による近視児の眼軸長(AL)の経時的変化とAL伸長に関連する因子を評価すること。
方法:単施設レトロスペクティブ研究。2016年11月から2021年5月までに0.05%アトロピン点眼薬を投与された-0.5D以上,4~13歳の小児を対象とした。AL 変化の予測因子を線形混合モデルを用いて評価した。
結果:109例(218眼)中,58例(53.2%)が男性で,治療時の平均年齢は8.5±2.0歳であった。ベースライン測定時の平均等価球面値は-4.05±2.34D,ALは25.00±0.97mmであった。平均追跡期間は25.4(12-58)か月で,追跡期間中の平均AL伸長は0.23±0.17mm/年であった。その後の来院で0.05mm以上のAL短縮が18例(26眼)に認められた。AL短縮のない群における平均AL変化量は,AL短縮のある群よりも統計的に大きかった(0.26±0.16mm/年 vs. 0.02±0.17mm/年、P < 0.001).線形混合モデルでは,アトロピン投与時の年齢と初期AL短縮はAL伸長に有意に関連していた(ベータ係数:それぞれ-0.032および-0.122,両者ともP < 0.001)。
結論:本研究では,0.05%アトロピン投与後の良好な反応の予測因子として,高年齢と初回AL短縮があることを明らかにした.また,年齢が低いほど,より高濃度のアトロピンを投与する必要があると考えられた。
※コメント
0.01%でも点眼後に眼軸長が一時的に短くなる症例はしばしばみられます。その辺りに注意して近視進行をみていけば、早期に戦略の方向転換を示すことができるかもしれないと思いました。