130. 斜視は,小児の視覚誘導によるリーチング時のサッケード運動に影響を与え,不良な両眼視がパフォーマンスに関与している
Temporal Eye-Hand Coordination During Visually Guided Reaching in 7- to 12-Year-Old Children With Strabismus
Kelly KR, Norouzi DM, Nouredanesh M, Jost RM, Cheng-Patel CS, Beauchamp CL, Dao LM, Luu BA, Stager DR Jr, Tung JY, Niechwiej-Szwedo E. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2022 Nov 1;63(12):10. doi: 10.1167/iovs.63.12.10. PMID: 36350622; PMCID: PMC9652716.
目的:我々は最近,斜視児における視覚誘導リーチングの遅さ,特に最終アプローチにおける遅さを発見した。ここでは,これらのデータを発展させ,斜視治療児の視覚誘導リーチング時のサッケード運動と時間的な目と手の協調について,対照群と比較して報告する。
方法:7~12歳内斜視と診断された30人の小児と,32人の年齢が近い小児(対照群)が登録された。眼球運動と人差し指の動きを記録した。両眼を開けた状態で,水平子午線に沿った4つの位置(±5°または±10°)のいずれかにランダムに現れる小さなドットに手を伸ばして触れた。サッケードの運動的指標(潜時,精度と正確さ,ピーク速度,矯正サッケードと到達関連サッケードの頻度)および時間的な目と手の協調指標(サッケードから到達時間間隔,サッケードから到達ピーク速度間隔)を比較した。また,パフォーマンス低下に関連する要因も評価した。
結果:視覚誘導によるリーチングにおいて,斜視児は一次サッケードの潜時が長く(斜視児:195±29ms,対照:175±23ms,p = 0.004),一次サッケードの精度が25%低下(0.15 ± 0.06 対 0.12 ± 0.03,p = 0.007),最終サッケードの精度が45%低下した。(0.16 ± 0.06 vs 0.11 ± 0.03,p < 0.001)また,コントロール群と比較して,リーチ関連のサッケードが増加(試行の16 ± 13% vs 8 ± 6%,p = 0.001) した。測定可能な立体視は,サッケードの運動の悪さと関連していなかった。
結論:斜視は,小児の視覚誘導によるリーチング時のサッケード運動に影響を与え,不良な両眼視がパフォーマンスに関与していることがわかった。最終的なアプローチで遅いリーチを示す以前のデータと合わせて,今回のサッケードのデータは,斜視の治療を受けた小児は視覚誘導リーチ時の効率的な代償にまだ適応していない,または形成されていないことを示唆している。
※コメント
斜視患者のsaccadeには異常が生じる。日常生活に落とし込んだ時に有用になる情報です。
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