50. 先天性上斜筋麻痺の異常頭位は対側へのtiltが最も多かったが,後天性ではtiltとturnを同時に行っていた
Abnormal Head Posture in Unilateral Superior Oblique Palsy
Khorrami-Nejad M, Akbari MR, Kangari H, Akbarzadeh Baghban A, Masoomian B, Ranjbar-Pazooki M. J Binocul Vis Ocul Motil. 2021 Jan-Mar;71(1):16-23. doi: 10.1080/2576117X.2020.1845561. Epub 2020 Dec 16. PMID: 33326345.
目的:片眼先天性および後天性上斜筋麻痺(SOP)患者における異常頭位(AHP)の発現と重症度を評価し,AHPが顔貌に及ぼす影響を評価する。
患者と方法:先天性47名,後天性13名の計60名のSOP患者を対象としたケースシリーズ研究。先天性上斜筋麻痺と後天性上斜筋麻痺のAHPの違いについて検討した。先天性,後天性のAHPの正確なタイプは,直接観察に基づいて決定された。さらに,すべての患者のAHPのclose-up写真(40cm)を撮影した。AHPの重症度の評価と頭部の傾きの計測はCorel Draw X7ソフトウェア(Corel Corp,カナダ)で解析された。さらに,顔の非対称性の質的・量的パラメータは,異なる視線で撮影された患者の写真から評価された。
結果:1. 純粋なtilt,2. tiltとturnの両方,3. 純粋なturn,4. tiltとchin down,5. tiltとturnとchin downの5種類が見られた。AHPのこれら5つの症状の頻度は,先天性ではそれぞれ23(48.9%),10(21.3%),4(8.5%),5(10.6%),5(10.6%)名であり(P <.001),後天性ではそれぞれ1(7.7%),8(61.5%),2(15.4%),2(15.4%),0(0%)だった(P = .024 )。すべてのSOP患者において,AHPの最も一般的な症状は,それぞれ,純粋なtilt(40%),tiltとturnの両方(30%),tiltとchin down(11.7%)であった。先天性,後天性の平均頭部傾斜角度はそれぞれ15.10°±9.34°,9.61°±5.84°であった(P =.022)。
結論:先天性SOP患者のAHPは対側へのtiltが最も多かったが,後天性ではtiltとturnを同時に行っていた。後天性は先天性に比べ頭部の平均傾斜量が有意に高く,一方,顔面非対称の頻度は先天性では後天性に比べ高かった.
※コメント
顔面非対称は歴史的(時間的)な解釈で説明できますし,AHPについては複視を避ける頭位かどうかというので説明がつくのかなと思いました。
最近では顔面の非対称性は先天性でも見られないという報告もあるため,先天性=asymmetry,ではないことを念頭に置いておく必要は有るかなと思います。