106. 累進屈折力レンズが調節ラグを効果的に減少させるためには,典型的な作業距離に合わせて付加パワーを調整し,装用開始後1年間は効果を維持するために少なくとも0.50Dのブースターの付加が必要である

Effect of multifocal spectacle lenses on accommodative errors over time: Possible implications for myopia control

Varnas SR, Kaphle D, Schmid KL, Suheimat M, Atchison DA. J Vis. 2023 Mar 1;23(3):3. doi: 10.1167/jov.23.3.3. PMID: 36862107; PMCID: PMC9987164.


目的:多焦点眼鏡レンズが調節誤差にどのような影響を与えるか,またそれが経時的に変化するかについての理解を深めること。
方法:18歳から27歳の近視52名を,1.50 D加入(PAL1)と,近用部周辺境界の異なる水平度数勾配を持つ 2 つの累進屈折力レンズ (PAL2) のいずれかにランダムに割り当てられた。グランドセイコーWAM-5500オートレフラクターとCOAS-HD収差計を用い,遠見矯正部とPAL近見矯正部でいくつかの近距離の測定から調節ラグを求めた。COAS-HDではneural sharpness (NS) metricを使用した。測定は,12か月間,3か月間隔で繰り返された。最終的には,0.25,0.50,0.75 Dのブースター付加パワーに対する遅れを測定した。ベースライン時以外は、両方のPALのデータを統合して解析した。
結果:グランドセイコーのオートレフでは,両PALはベースライン時にSVLと比較して調節ラグを減少させた(PAL 1とPAL 2はそれぞれ全距離でp < 0.05 とp < 0.01)。COAS-HDでは,ベースライン時,PAL 1はすべての近距離で調節ラグを減少させたが(p < 0.02)、PAL 2は40cmのみだった(p < 0.02)。COAS-HDで測定したラグは,PALを装着した方が目標距離が短いほど大きくなった。12か月装着後,PALは40cmの距離を除いて調節ラグを有意に減少させなくなったが,0.50Dと0.75Dのブースター付加により,ラグはベースラインの測定値以下まで減少した。
結論:PALが調節ラグを効果的に減少させるためには,典型的な作業距離に合わせて付加パワーを調整し,装用開始後1年間は効果を維持するために少なくとも0.50Dのブースター付加が必要であると考えられる。

※コメント
PALを使用していても,定期的にadditionを調整しないといけないよ,という報告です。

いいなと思ったら応援しよう!