228. アジアの小児における近視進行予防における濃度の異なるアトロピンの有効性と安全性:無作為化臨床試験の系統的レビューとメタアナリシス
Efficacy and safety of atropine at different concentrations in prevention of myopia progression in Asian children: a systematic review and Meta-analysis of randomized clinical trials
Wei XL, Wu T, Dang KR, Hu KK, Lu XT, Gong M, Du YR, Hui YN, Tian XM, Du HJ. Int J Ophthalmol. 2023 Aug 18;16(8):1326-1336. doi: 10.18240/ijo.2023.08.20. PMID: 37602338; PMCID: PMC10398521.
目的:アジアの小児を対象に、近視予防における様々な濃度のアトロピンの有効性と副作用を評価すること。
方法:データベース(PubMed、EMBASE、Cochrane Library、Web of science)を開始時から2022年4月まで包括的に検索した。研究の種類は無作為化臨床試験(randomized clinical trials:RCT)とした。発表言語は英語に限定した。2名の研究者が、Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventionsに基づき、Cochrane risk of biasツールを用いて、含まれる研究の質を独立に評価した。出版バイアスの検出には、ファネルプロットとエッガーの検定を用いた。メタ解析はSTATA(バージョン15.0;StataCorp)を用いて行った。
結果:2268人の患者が参加した合計15のRCTが研究に含まれた。アトロピン群では、対照群に比べて等価球面値の進行が有意に低かった[加重平均差(weighted mean difference:WMD)=0.39、95%信頼区間(confidence interval:CI):0.23、0.54]。WMDが0.15mmであれば、眼軸長の伸びはより少なかった(95%CI:-0.19、-0.10)。投与量の違いによって統計学的に有意な差がみられ(P<0.05)、高濃度であるほど効果が向上する可能性があった。アトロピン投与群における明所視の瞳孔径の変化は0.70mm(95%CI:0.33, 1.06)、薄明視(低光量 (必ずしも暗いとは限らない) 条件下での明所視と暗所視の組み合わせ)の瞳孔径の変化は0.38mm(95%CI:0.22, 0.54)であった。今回のメタアナリシスでは、アトロピン投与による調節幅(accommodative amplitude:AA)の変化は認められなかった。アトロピン投与は副作用のリスクを1.37倍増加させた。
結論:1%未満のアトロピン濃度は、用量依存的に、アジア人小児の近視の度数と眼軸の伸長を効果的に遅らせることができる。一方、アトロピンは瞳孔拡大を引き起こしたが、この範囲ではAAに変化はなかった。最大限の効果と最小限の副作用を達成するために必要な投与量を決定するためには、さらなる研究が必要である。
※コメント
メタアナライシス等の報告が続々でてきますね。
総じて、低濃度アトロピンの有効性を示しています。
ですが、個人的には、臨床的な効果がどこまでかというところに今後も目線を置いていきたいと思います。
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