325. 先天性近視に対するオルソケラトロジーと0.01%アトロピンを併用した強膜後方補強の効果の観察:症例報告

Observation of the effect of posterior scleral reinforcement combined with orthokeratology and 0.01% atropine in the treatment of congenital myopia: a case report

Yan C, Zhao F, Gao S, Liu X, Yu T, Mu Y, Zhang L, Xu J. BMC Ophthalmol. 2023 Nov 28;23(1):486. doi: 10.1186/s12886-023-03211-w. PMID: 38012561.


背景:近視は近年、世界の公衆衛生にとって重大な脅威となっている。小児や青少年における病的な強度近視は、適時にコントロールしなければ、眼組織に不可逆的な損傷を与え、視機能に深刻な障害をもたらす可能性がある。後部強膜補強術(Posterior scleral reinforcement:PSR)は、後部強膜の拡張を制限し、眼球後部血管灌流を改善することによって、眼軸長と屈折を安定させることにより、強度近視の進行を効果的に抑制することができる。さらに、オルソケラトロジーや低濃度のアトロピンも近視の進行を遅らせるのに効果的である。

症例提示:3歳時に両眼性先天性近視と弱視と診断された女児で、初診時には眼鏡による視力矯正は行われていなかった。眼科所見では、屈折異常が強く、矯正視力が低いこと、眼軸長が同年齢の標準より長いこと、眼底検査では、後毛様動脈の血行動態が弱まっている後強膜ブドウ腫が示唆された。そこで、眼底の健康状態を改善するためにPSRが行われ、近視の進行を抑制するためにオルソケラトロジーと0.01%アトロピンの併用が行われた。最長8年間の臨床治療と観察の結果、近視の進行は良好に抑制され、眼底の健康状態は安定していた。

結論:この報告では、8年間の臨床観察により、PSRは脈絡膜の厚さと眼球後部血管の血行動態パラメータを改善できることが示され、術後オルソケラトロジーと0.01%アトロピンを併用した治療戦略は、近視を効果的にコントロールするための良い選択であると考えられる。

※コメント
強膜への侵襲的なアプローチとオルソ+低濃度アトロピンで近視進行を抑制しているという報告です。容易な方法ではありませんが、一方法として周知する必要はあるかと思います。

以下本文抜粋ー
後部強膜補強は、弱くなった後強膜に補強材を取り付けることで眼軸長と屈折を安定させる。このアプローチは強膜抵抗を強化し、コラーゲンの再構築を促進し、後部強膜の拡張を制限する。

オペ前の情報
右眼 -5.25/-0.75×180
左眼 -5.50/-1.00×55
矯正視力 20/125
眼圧 両眼とも16 mmHg
眼軸長 右眼24.60mm、左眼24.76mm

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