63. 強度遠視を伴う内斜視に対する斜視手術は手術成功率が高く,低矯正や過矯正の割合が低い。また,手術が成功した症例ではsensory fusionの確率が高い傾向にあり,内斜視発症から眼鏡をかけるまでの期間が短いほどsensory fusion獲得率が高い
Post-operative analysis of pediatric esotropia associated with high hypermetropia
Li B, Sharan S. BMC Ophthalmol. 2019 Jul 1;19(1):140. doi: 10.1186/s12886-019-1149-3. PMID: 31262252; PMCID: PMC6604460.
背景:強度遠視を伴う内斜視の小児の臨床的特徴,評価,外科的管理および経過について述べる。
方法:2009年から2015年にかけて,等価球面値が+4.0Dより大きい遠視を伴う内斜視に対して斜視手術を受けた小児のカルテを検討した。
結果:合計47名の患者が確認された。平均年齢は2.9歳。調節麻痺下の平均等価球面値は+6.0Dであった。全例が眼鏡矯正による大角の内斜視があった。内斜視の平均発症年齢は1.3歳であった。内斜視の発症から眼鏡矯正までの平均期間は7.2ヶ月であった。内斜視が恒常化してから斜視手術までの平均期間は28.1ヶ月であり、眼鏡矯正から斜視手術までの平均期間は21.8ヶ月であった。術後,74.5%の患者が10Δ以内のorthotropiaを達成した。全体として,66.0%の患者がsensory fusionを獲得した。手術が成功した患者では,71.4%がsensory fusionを獲得したが,過矯正または低矯正の患者では50.0%であった(p = 0.18)。また,内斜視発症6ヶ月以内に眼鏡を使用した患者では92.3%がsensory fusionを獲得したのに対し,内斜視発症後6ヶ月以降に眼鏡を使用した患者では54.5%だった(p = 0.02)。
結論:強度遠視を伴う内斜視に対する斜視手術は手術成功率が高く,低矯正や過矯正の割合が低い。また,手術が成功した症例ではsensory fusionの確率が高い傾向にある。内斜視発症から眼鏡をかけるまでの期間が短いほど,sensory fusionの発生率が高い。
※コメント
なぜ遠視度数が高いと術後のalignmentが良好かについて詳細な記述はありませんでした。
早く治療(屈折矯正)をする事で感覚面に働きかけるというら考えには同意します。
10Δ以内の眼位に持ち込むことが両眼視獲得には欠かせません。
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