310. 輻湊不全の診断に一貫性を持たせる:スクリーニング方法

Creating consistency in the diagnosis of convergence insufficiency: screening methods

Lavrich JB, Hamburger JL, Lee KE, Thuma TBT, Omega ML, Zhang QE, Gunton KB. J AAPOS. 2023 Nov 4:S1091-8531(23)00234-3. doi: 10.1016/j.jaapos.2023.08.019. Epub ahead of print. PMID: 37931838.


目的:輻湊不全の診断におけるさまざまな臨床検査の感度を調べること。

方法:輻湊障害と一致する訴えがあり、斜視手術、眼球運動、プリズムの使用、最近の脳震盪、その他の眼疾患や神経疾患の既往歴がない患者254名を募集した。各患者は輻湊不全症状調査(convergence insufficiency symptom survey:CISS)に記入し、以下のデータを収集した:遠見と近見での眼球アライメント、遠見と近見での輻輳と開散の融像幅、調節視標と赤レンズ(フィルター?)を用いた輻湊近点(near-point of convergence:NPC)、輻湊運動の質(quality of convergence movement:QoCM)と融像性運動の質(quality of fusional movementsQoFM)の評価。各臨床検査の感度を算出した。

結果:赤レンズを用いたNPCの測定、QoCMとQoFMの主観的評価は、輻湊不全と一致する近見症状に対する最も感度の高い診断手段であった:それぞれ93.3%、98.4%、94.5%。CISSスコア、近見での輻湊性融像幅、近見での外斜位の感度は低かった: それぞれ62.9%、46.0%、72.0%であった。我々の患者の大多数は遠見(96.8%)and / or 近見(98.8%)でheterophoriaまたはheterotropiaを有していたが、ほとんどの患者は小さなphoriaのみを呈していた。さらに、近見偏位があった患者のうち、近見外斜位が遠見外斜位を10Δ上回っていたのは22%だけであった。

結論:われわれの研究集団では、赤レンズを用いたNPCとQoCMおよびQoFMの主観的評価が、輻湊不全と一致する近見症状に対する最も感度の高いスクリーニング手段であることが証明された。

※コメント
調査票は入手をする必要がありますが、赤色レンズ(red filter)を使用しての輻湊近点であれば明日からでも評価可能ですので、非常に手軽であると思いました。

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