236. COVID-19パンデミック時のオーストラリア人コホートにおける低濃度アトロピン療法の近視進行に対するReal-worldの結果
Real-world outcomes of low-dose atropine therapy on myopia progression in an Australian cohort during the COVID-19 pandemic
Usmani E, Callisto S, Chan WO, Taranath D. Clin Exp Ophthalmol. 2023 Aug 30. doi: 10.1111/ceo.14289. Epub ahead of print. PMID: 37648227.
背景:COVID-19パンデミック時のオーストラリアのコホートにおいて、近視進行予防のための低濃度アトロピン(0.01%および0.05%)の成績を報告する。
方法:2016年1月から2022年までに近視を呈した小児の記録を、総合眼科診療所で後ろ向きに検討した。治療を中断した小児、18歳を超える年齢、遺伝性疾患を有する症例は除外した。アトロピンによる治療後の近視進行率を過去のデータと比較し、この治療法の有効性を評価した。
結果:1001人の小児(平均ベースライン等価球面値[spherical equivalent:SphE][-3.70 ± 2.09 D]および眼軸長[axial length:AL][24.59 ± 1.00 mm])が分析対象となった。子供の平均年齢は10.4 ± 2.89歳で、61%が女性であった。平均追跡期間は17.9±12.5か月であった。0.01%アトロピン点眼薬によるALおよびSphEの平均進行率は、それぞれ0.219±0.35mmおよび-0.250±0.86D/年であった。0.01%アトロピンで治療された小児の68.1%は軽度進行者であった(0.5D/年未満の変化)。アトロピンの高濃度(0.05%)投与を開始したノンレスポンダーは、SphEとAL成長率がそれぞれ93%(p = 0.012)と30%減少した。家族歴、ベースライン時の近視の度数、年齢の若さ、治療期間の短さは、進行の速さと関連していた(p < 0.01)。いずれの濃度も忍容性は良好であった。
結論:低濃度アトロピンは、COVID-19パンデミックによる追跡調査の中断にもかかわらず、実臨床において有益であることが示された。0.01%が無効であった症例では、0.05%のアトロピン投与が有効である可能性がある。
※コメント
コロナ禍における低濃度アトロピン使用の近視コントロール報告です。
0.01%に対するノンレスポンダーが0.05%で効いてくるとなると、薬剤そのものへの反応が無いのではなく、シンプルに量が足りないという事になります。そう考えると、無効症例はいない(もしくは少ない)と考えるのが通りということになるでしょうか。